では、ロボットのユーザー企業でもある住宅メーカーは、ロボットや次世代生活支援技術をどのように住宅に取り入れ、普及を進めようとしているのでしょうか。そして住宅市場で期待されるサービスロボットとは一体どのようなものなのでしょうか。
主要住宅メーカーや住宅関連企業(住宅設備、家電等)など20社・団体に取材し、住宅における今後の市場動向、普及状況、有望分野などをまとめてみました。
その中で印象に残った担当者の言葉をご紹介します。
・今後ますます、家電のネットワーク対応が進むと思われる。そして、家電ネットワークのさらに先には、宅内で使用するロボットの可能性がある。
宅内でロボットが自律移動するためには、宅内の地図情報や床にロボットのための道標(RFIDなど)が必要となるが、技術的に可能だからといって何もかも取り入れたのでは膨大なシステムとなり、かえってお客様の導入を阻害してしまう。そのため、機能を最小限に絞り込むことが、次世代生活支援機器の普及には不可欠と考えている。
(住宅メーカーA社)
・個人住宅は電動化が遅れているが、なぜそうなのか。「便利」と「安心」をてんびんにかけた場合、「安心」を取るお客様が多いように思われる。鍵が自動で閉まるという利便性よりも、自分で鍵を閉める安心感を重視しているのではないか。住宅は家の中に資産があるため、安心のほうが重視される。
(住宅設備メーカーB社)
・3年おきにひとつの商品をリスクを張って出していくというだけでは、なかなかロボットは広まっていかない。家の中にロボットをいれなくても、家の中がロボット技術によって自動化して便利になっていけば、それがロボットなのだということがきっと広まっていくだろう。
これまで、単体のロボットは見掛けとか、もの珍しさとか、動きのおもしろさで売ってきた面があり、それを企業やメディアもイメージ戦略として宣伝に利用してきた。今後は家電や住宅設備にロボット技術が入ることで、それが便利で快適なものだということが一般の人に自然にわかるようになることが重要だと思う。
(ロボットメーカーC社)
・サービスロボットの市場拡大にあたっては、先ず商品コンセプトとしてロボットに何を行わせるのかが重要となる。一般に、人間の欲望を機械(ロボット等)が代替する、あるいは人間をサポートするということが求められるなかで、その有用性が何かわからないようなものを購入する人はいないであろう。特に、人間の代替としての人間型ロボットの実用化はコスト面も含めて技術的にもまだまだ時間を要するのは明白である。
むしろ、家庭用ロボットのように、既存の家電製品等がロボット化してより使いやすく、さらに新たなアプリケーションコンテンツを付加したものになると思われる。(団体D)
(つづく)
企業向けサービスロボットの導入ユーザーの評価と今後の市場
(2008.2.26)