もっとも影響を受けたのは、キング・クリムゾンの音楽でした。
キング・クリムゾンは、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを代表するグループで、「21世紀のスキソイドマン」や「太陽と戦慄」などのアルバムをはじめ、その登場から現在に至るまで、唯一「進化しつづける」ロック・バンド。
60年代後半から70年代はじめのイギリスでは、ピンク・フロイド、ゴング、ソフトマシーン、イエス、ジェネシス、EL&P、クイーン、ロキシー・ミュージック、キャメルなど多数のグループが、なんでもありのアグレッシブさでさまざまな音楽スタイルを取り入れ、独自のコンセプトアルバムを作り、ロック・ミュージックを劇的に進化させました。
現在のロボットシーンは、このプログレッシヴ・ロック登場前夜に似ているのではないかと思っています。
人口知能を取り入れたロボット工学、情報ネットワークシステム、認知心理学、生物学、法律学、感性工学、コミュニケーション理論、軍事戦略、遠隔医療、サイボーグ医療、デザイン・ファション、文学・映像コンテンツなど、ありとあらゆる分野を貪欲に取り込むアグレッシブさは、まさに「プログレッシヴ・ロック」的です。
ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックは、74年の第3期キング・クリムゾン解散と歩調を合わせるように終焉し、しばらく停滞します。
その原因は音楽があまりにも複雑で難解になってしまい、多くのオーディエンスが離れてしまったためといわれています。
ロックが再び輝きを取り戻すのは、セックス・ピストルズに代表されるパンク・ロックの登場まで待たなければなりませんでした。
パンク・ロックの特徴は、単純明快、現実直視というものでした。
ロボットは、その内部構造がどんなに複雑で、高度なものであっても、使う人に優しい、わかりやすい操作性が求められます。
ロボットに完成型は、ありません。 まさに「プログレッシヴ」です。
参考項目 : ロボサピエンス (12/16)