大学生の時にロードショーで観て以来、久しぶりに鑑賞しましたが、リブ・ウルマンの神懸かり的演技にやはり圧倒されました。
ウッディ・アレン監督が40本を超える自身の映画作品についてインタビューに答えています。
「40作品中30本が傑作で、あとは8本の崇高な失敗作と、2本の汚点。そのぐらいの配分であってしかるべきだったが、そうはならなかった。
どれも映画界の標準からすればそこそこ楽しめる作品だったかもしれないが、黒澤やベルイマン、フェリーニ、ブニュエル、トリュフォーといった人たちの映画を見たあとに私の映画を見るといい。(中略)ある程度の年齢になると、人は自分の凡庸さを認めざるをえないものだ」。
村上春樹氏は著書の中で、
「若いときに優れた美しい、力のある作品を書いていた作家が、ある年齢を迎えて、病弊の色を急激に濃くしていくことがある。(中略)それまで培ってきたテクニックや方法をうまく用い、余熱のようなものを利用して作品の形をただととのえていくしかない。それはごく控え目に表現して、決して心愉しい人生の道のりではないはずだ」
映画にしろ、文学にしろ、30本も40本も作品を書き続けられること自体、それだけで大変な才能と思いますが、その中で10本傑作と言われる作品を残せる作家はどれほどいるのでしょうか。
黒澤明監督は別格として、小津安二郎、宮崎駿、北野武、ルキノ・ヴィスコンティ、デヴィッド・リンチ、そしてイングマール・ベルイマン。
チャーリー・チャップリン、セルゲイ・エイゼンシュタイン、ジャン・ルノワール、ジョン・フォード、ウィリアム・ワイラー、オーソン・ウェルズ、アベル・ガンス、スタンリー・キューブリック、ジャン・リュック・ゴダール、フランシス・F・コッポラ、溝口賢二、大島渚、小林正樹、伊丹十三、ベルナルド・ベルトリッチ、ルイ・マル、クエンティン・タランティーノ、クリント・イーストウッド、ジェームズ・キャメロン、ペドロ・アルモドバル、ラース・フォン・トリアーなど、名だたる映画人でさえ、傑作は10本ないでしょう。
ウッディ・アレンでなくても、いえ才人ウッディ・アレンだからこそ、その嘆きにも説得力がありますね。
参考 走ることについて語るときに僕の語ること(村上春樹著 / 文藝春秋)
神の沈黙 (2007.7.31)