2010年10月24日

『バ―テン、もう一杯たのむ』とできるだけ多くの言語で言う能力

1992年2月29日閏日に、芝・増上寺地下ホールで、「野生生物の日フォーラム」というイベントを行ったことがあります。(野生生物の絶滅について考えるのに最もふさわしそうな日ということで)
主催は、野生生物の共生・保護活動を行っている団体を集めて作った「動物会議‘92」(エーリヒ・ケストナーの「動物会議」から名付けて)。

当時の日本は、バブルの余韻いまだ冷めやらず、野生生物との共生・保護についての話し合いなどまったく実感のない頃でした。

それから18年余、生物多様性条約締約国会議が名古屋で開かれるまでになり、時代は確実に進んでいるんだなと思うわけですが、「動物会議‘92」のほうは、閏年ごとに皆で集まってまたフォーラムをやろうと思っていましたが、いろいろな事情で、結局1回きりで終わってしまいました。

最近読んだ本(※)に、面白いことが書いてありました。
人間の皮膚には、合衆国の人口ほどの細菌、菌類やウイルス、ノミ、ナンキンムシ、シラミ、ヒルなどが住んでいて、人自体多様な生物が暮らす生態系なのだそうです。

とりわけ顔には二種類のダニがおり、特にニキビダニはほとんどすべての人間に大量に生息。いくら額に石鹸を塗りたくり、熱い湯で勢いよく流しても、このニキビダニは一向にいなくならないそうです。

本の著者リチャード・コニフは、なぜか自分は48歳で死ぬと思っていて、ある朝、ピラニア(「ピ・ランナではなく、ピ・ラ−ニヤ」)がうようよしている水槽で、給餌の時間に泳いで見るのはどうかと、ふと思いつきます。

この「ピラニアが欲しいのは美味しい尻尾だけ(でも幸いにあなたのではない)」をはじめ、「地獄から来た四匹の雌」、「なんてこった、私はブタ」、「ちょっとした精子の機銃掃射」など、ユーモアあふれる愛情のこもった文章で世界中の生物、特にピラニアやカミツキガメ、スズメバチなど一般的に厄介者とか嫌われ者の生物、そしてそれらを研究するかなりおかしな愛すべき研究者たちを紹介しています。

シャレのわかった訳者の貢献もあると思いますが、プロローグの「求人」がまた、いい。

「応募者は地球上で最も遠く、最もワイルドで、最も奇妙で、時に美しい場所を訪れ、ほとんど何でも一回は試す覚悟が必要とされる。背広を着る必要は絶対ない。また、あなたの身分は人事も知らない。食事付きだが、キリンのジャーキー、イボイノシシのソーセージ、そして時々付け合わせに甲虫の幼虫がでることもある。
(中略)
時折の孤独感は仕事での危険だ。『バ―テン、もう一杯たのむ』とできるだけ多くの言語で言う能力がこの職業では貴重な助けになる」。

※「飢えたピラニアと泳いでみた」リチャード・コニフ著 (青土社)


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posted by カーサ at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | エコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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