「アフリカン・ジャイアント・ポーチド・ラット」と呼ばれるアフリカ原産のネズミ。
犬と同等かそれ以上の優れた嗅覚があり、反復的な作業をいとわないため、地雷に含まれる火薬の匂いを覚えさせ、地雷を特定させる訓練をさせたところ、モザンビークで、約200万u(甲子園球場145個分)の土地の地雷除去に成功。
そのネズミたちは「ヒーローラッツ」と呼ばれ、現在、約300匹が活躍。今年は約100万uで地雷817個、不発弾350個を発見したと言います。しかも事故はゼロ。
ヒーローラッツの特色は、
・低コスト(訓練に要する平均期間は9カ月。約70万円/匹)
・維持及び輸送の費用が安い
・事故がない(軽いので地雷が爆発しない)
・寿命が長い(熱帯地域特有の病気に対して抵抗力があり、平均寿命は6〜8年。訓練の成果を持続できる)
・作業時間が短い(200uの場合:約1.5時間で作業を完了。訓練された2人の作業員が金属探知器を用いて地雷の有無を調査すると約8時間かかる)
そして、なにより
・アフリカにある資源(ネズミ)を使うので、地元の人間によって地雷を解決できる。
つまり、先進国の援助に頼る必要がないということ。
これは、とても大きいことと思います。
日本でもロボットを含む地雷除去のための機器の開発が行われていますが、高価で重いロボットがこのヒーローラッツ以上の成果を上げることが出来るかどうか。
ちなみに、ヒーローラッツは病院から集められた唾液サンプルの上を歩くことで、結核菌を発見することもできるようで、既にタンザニアの5つの病院で結核判定の二次検査に用いられています。
優秀な研究員が顕微鏡を用いて40人分の唾液を検査して、結果が出るまで丸1日かかるところ、ヒーローラッツなら7分で調査でき、しかも、
医師が見落とした結核菌の含まれる唾液サンプルを毎週10〜15件も見つけるそうです。
鋭い嗅覚で人間の癌を見つけるという「ガン探知犬」がいますが、ヒーローラッツが「ガン探知」できる日も近いかもしれませんね。
参考:スーパーモーニング(テレビ朝日) 2010年11月10日
APOPOとヒーローラッツ
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