経済産業省が4月に発表した「技術戦略マップ2006」。
情報通信、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造産業の4つの分野について、現状把握と向こう30年に渡る、新しい技術の導入シナリオ及び技術ロードマップが、300ページを超える分量で事細かに記述されています。
ロボット、宇宙、ナノテクなどを扱う製造産業分野で、「人間生活」という項目があります。
これは、「健康寿命80歳」を見据えての、人間の感性や生活空間と親和する技術革新について扱っており、誰もが安全・安心で健康に暮らせるための「4つの将来のゴール」を設定しています。
その4つの将来のゴールのひとつが、「安全快適なモビリティーの実現」。
それは、「乗ると元気になるモビリティーがあり、誰もが安全、快適かつ省エネで自由に移動することができる社会」を目指すというもの。
ここで重要なのは、移動する手段が「車」ではなくて、「モビリティー」としているところ。
高齢になっても、誰もが健康で生き生きとした生活をおくることを望んでいます。
肉体や感性の衰えがあったとしても、それを技術が補い、自由に移動できる手段(モビリティー)があれば、家に引きこもってしまうことも少なくなるでしょう。
機械に人を合わせるのではなく、機械が人間に親和すること。
昨年トヨタが発表した「i-swing」は、「安全快適なモビリティー」を具現化したものと思われます。
ロボットの要素技術は、ロボット単体だけでなく、人々の暮らしを豊かで幸せにする技術として、家やクルマ、環境など様々な分野にどんどん取り入られていくでしょう。
ロボットと暮らす上質で新しい生活、「ロボティック・ライフスタイル」は、静かに、そして確実に始まっています。