その中であきらかになったこと。
(1)震災での活動
国際レスキューシステム研究機構(IRS)のロボット研究者たちの対応と行動は、素早かった。
震災当日(3月11日)、アメリカのCRASAR( Center of Robot-Assisted Search and Rescue災害対応訓練所)でレスキューロボット「Quince」の実証試験を行っていた田所会長は、震災の報を聞くと直ちにCRASARに出動を要請。
翌12日には、テキサスA&M大学のRobin Murphy(ロビン・マーフィー)教授(9.11などの災害現場にロボットを出動させた実績あり)に支援の意向を知らせた。
日本に急ぎ戻り、13日に仙台市消防局に「能動スコープカメラ」の適用を申し込み、14日には東北経済産業局、宮城県、仙台市に適用可能なロボットのリストを配布。「Quince」をスタンバイした。
15日から19日にかけては久慈市や八戸港、鹿島コンビナートなどでニーズ調査も実施している。
しかし、自治体から倒壊家屋への支援要請は、なかった。
その理由として、
・阪神淡路大震災と違い、建物崩壊で亡くなった人が少なかった。
・津波で取り残された人を助け出すことが優先された。
・津波による被害は大規模かつ広範囲で自治体もどこから探していいのかわからない状況だった。役場にも電話が通じず、ほとんどの人が被災者となり、対応できる職員も居なかった。
・被災現場へのアクセスが格段に悪かった、など。
その後、港の復旧にニーズがあることがわかり、4月19日から23日にかけて沿岸部の海中の遺体を捜索する水中ロボットによる調査を実施した。
これは、自治体(宮城県三陸町の町長と岩手県災害対策本部)からの要請で行う初めてのケースとなった。
(つづく)