先日NHKで放送された「新日本風土記 こんぴらさん」。
こんぴらさん(金刀比羅宮)は、身分や職業を問わず、どんな願いでもかなえてくれる庶民の神様。
江戸時代には海の神としてあがめられ、北前船の航路に沿って信仰が日本中に広がり、今では社の数800を超え、ハワイやブラジルにも建立されているそうです。
以前、東京芸大美術館で開催された展覧会で、金刀比羅宮書院に描かれた円山応挙や伊藤若冲の襖絵を観る機会がありました。
また今年春には、現在書院で進行している田窪恭治氏による「ヤブツバキ」の襖絵を観て、金刀比羅宮が放つその先鋭的な美意識と、こんぴら歌舞伎に代表される庶民の娯楽志向との落差に面白い神社があるものだと思っていました。
番組では、27代も続く「五人百姓」と呼ばれる神社公認の土産物屋(と言っても売っているのは「飴」だけ)の存在理由や、宮司が居ないため、難しいことがわかりそうという理由だけで、中学校の校長が代々祝詞を担当している与那国島の金毘羅宮などが紹介されていました。
こういうなんでもありなところが、日本の神様のおおらかで、よいところ。
もともと金毘羅宮は神仏習合(※)の結果、象頭山金毘羅大権現と呼ばれていましたが、神仏分離以降、ご神体は象頭山内の松尾寺金光院に秘仏として置かれているそうです。
さて、お座敷唄としても有名な「こんぴら ふねふね」ですが、そのちょっと酔狂で、リズミカルな調子が好まれ、榎本健一(サイコー!)、ザ・ピーナッツから、ピンキーとフェラス、そして初音ミクにまでカヴァーされています。
※土着の信仰と仏教信仰を折衷して、一つの信仰体系として再構成(習合)すること (ウィキペディア)
江戸ランドスケープ (2007.7.22)