特に内容が数十世紀も未来の話であったり、宇宙人との戦争話であったり、荒唐無稽なスペースファンタジーだったりすると、5ページと我慢なりません。
いわゆるハードSFも難解な理論など羅列されると、その時点でOUT。
いくら名作と呼ばれるものでも、体質的に受け付けないことが多いです。
でも、ジェフリー・A・ランディスの「火星縦断」、
これは、一気に読みました。
「2028年、6人からなる第三次探査隊が火星に着陸する。
先の二度の有人探査はともに隊員全滅という悲劇で終わっていた。宇宙開発の未来のためにも3度目の失敗は許されない。
着陸地点近くで待っていた帰還用の船に事故が発生。隊員一人が命を落とし、燃料も失われてしまう。
地球への帰還が最優先事項となった彼らは、新たな帰還船を求めて火星縦断6000kmの旅に出た ・・・」
作者はNASAの火星探査計画の最前線に立つ科学者。
それだけに、最新データ(2000年当時)に基づく火星の自然描写は実にリアル。
極限環境で活躍する、バイクのように疾走するダート・ローバーや岩をまたげる6輪大型探査車ロック・ホッパー、作者自ら設計に加わったバタフライと呼ばれるラム増強ハイブリッド・ロケット・エンジンなど、モビリティやロボットの形状も興味深い。
抽選で選ばれた民間人が危険な火星探査に搭乗する設定に疑問はあるものの、各宇宙飛行士の人物描写も丹念に描かれ、最後までぐいぐい引き込まれました。
<つづく>