報道によれば、
平田容疑者は年内中の出頭を決意して大晦日午後、オウム服とヘッドギアを身に着けて都内を歩き回ったり、牛丼店で注文の際、語尾に「〜ポア」をつけて話したりするなど、自分が特別手配犯であることを必死でアピールしたが、誰も気づかなかった。
午後9時前、JR大崎駅から歩いて事件の捜査本部がある大崎署に向かったが、署の入り口(受付は2階)がわからず、仕方なく引き返した。
その後、公衆電話から警察のフリーダイヤルに10回ほど電話したがつながらなかったので、110番して「平田の事件を担当している署はどこか」と尋ねると「警視庁」と言われた。
JR大崎駅から山手線で恵比寿駅へ行った。恵比寿はかつて教団の施設があった場所で、今生の見納めと周辺をしばらくふらついた。
午後11時頃、東京メトロ日比谷線に乗り、霞ケ関駅で降車。
午後11時35分頃、警視庁本部を訪ね、警備に立っていた機動隊員に「平田信です。出頭してきました」と名乗り出たが、隊員は「髪が長く茶色で、顔もふっくらしており、身長も180cmもないように見えたため、手配書の平田容疑者とは別人と思った。年明け直前でいたずらも多い時間帯なので、悪質ないたずら」と判断。「家に帰っておとなしく猪苗代湖ズでも見てろ」と門前払いした。それでも容疑者が逮捕してほしいと懇願したため、隊員は丸の内署に向かうよう指示した。
午後11時50分頃、平田容疑者は約700メートル歩いて丸の内署に着いた。丸の内署の宿直署員に「平田信です」と再び名乗り出たが、「家に帰ってジャニーズカウントダウンライブでも見てろ」と、またも門前払いされた。
平田容疑者は近くのコンビニに行き、手錠を購入。その手錠をかけ、「特別手配犯、懸賞金500万円」と書かれた指名手配書をコピーしたボードを首から下げて、改めて丸の内署を訪れた。
外にいた警察官に「平田信です」と再び名乗ると「うそ」と驚かれ、「ほら、背が高いでしょう」と言うと「本当にそうなの」とまだ疑いの目で見られたが、あくまでも自分が平田信であると言い張る熱意に負けて、署内に迎え入れた。
署内でふるまった年越しそばを平田容疑者が右手に箸を持って食べた(右利き)ことから、同署に続々駆け付けた幹部らの間にも、「どうやら本物らしい」という緊張感が走った。
その後、指紋やホクロの位置で平田容疑者本人と確認。元日未明、平田容疑者を逮捕監禁致死容疑で逮捕した。
真偽のほどは、よくわからない。
ただ、年内中に出頭したいという平田容疑者の思いだけは成し遂げられた。
生きているのか、それとも死んでいたのか、なんて (2010.8.4)