過去に当たった映画の俳優、監督、プロデューサー、脚本家、ストーリー等と、観客の嗜好や属性を掛け合わせ、動員予測などに活用する試みでした。
同じようなことは、自動車やビール、食料品、CMなど、様々な業種で、今も行われてはいます。
また、婚活や就活、果ては終活まで、自分や相手の情報がデータベース化され、マッチングされています。
インターネットやソーシャルメディアの普及・利用に伴い爆発的に増え続けるビッグデータの解析がマーケティングのトレンドになるなど、個人の嗜好や思考、生活パターン、各種情報と、企業の商品や社会生活データベース(健康・介護・防災など)をクロスさせて、購買推奨、各種サービス紹介などを行うケースが、今後も増えていくことでしょう。
クルマから生成される走行データ(フローティングカーデータ)を、データ通信によって共有することで東日本大震災での移動支援を行った「通行実績情報マップ」(ホンダ)のように、ビッグデータの解析と予測が社会活動に貢献した例もあります。
こうしたトレンドを受け、ロボットテクノロジーと社会生活サービス、高齢者支援データベースをマッチングさせて、高齢者向けの様々なサービスを提供する動きもあるようです。
しかし、それがそのまま個人の幸せに通じることになのか、どうか。
映画配給会社の試みにより、映画で大儲けしたという話は、とんと聞きませんし、最良の伴侶を見出す前に婚活疲れで鬱になったり、大志を抱く前に現実的な就活に奔走しては、なんのためのデータ利用なのかという気がします。
客観的なデータ解析は、思い込みやカンに頼りがちな現場の意識改革に役立つ一方、生身の人間の感情や感性をなおざりにするきらいがあります。
誰だって、「十把一絡げ」(※)にされて、いい気持ちになる人など、いません。
※十把一絡げ(じっぱひとからげ)
いろいろな種類のものを、区別なしにひとまとめにして扱うこと。また、一つ一つ取り上げるほどの価値がないものとしてひとまとめに扱うこと。[大辞泉]
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