2007年01月14日

硫黄島の彼方

土曜日の夜、「硫黄島からの手紙」を観てきました。

黒澤明監督の幻の映画、山本五十六と真珠湾攻撃を描いた「虎! 虎! 虎!」のように、孤立無援の戦いを強いられた栗林中将のトラジティ(悲劇)を描いた映画と捉えることもできるし、パン屋を営む庶民・西郷の家族愛を描いた映画とも捉えることができる、映画を観た人それぞれが様々な想いを抱けるような作りになっています。

もちろん、アメリカ生活体験者の栗林中将やバロン西が理想的な良い指導者像として描かていたり、5日もあれば陥落するといわれた硫黄島を長期にわたり死守した栗林中将の緻密な戦略の全体像や地下要塞下での想像を絶する飢餓の実態など、もっと描いてほしいことはたくさんあったとは思います。

実際、昨年夏に放映されたNHKスペシャル「硫黄島 玉砕戦」のほうがそのあたりの実情をしっかりと描いていたと思いますが、
今やハリウッドの良心となった感のあるクリント・イーストウッド監督は、現場叩き上げのカツドウ屋らしいどっしりとした映像リズムと独特のリリシズムを漂わせながら、硫黄島の戦いを押さえた色調で静かに描いていきます。

説明のための描写はなく、戦争を真摯に見つめる、イーストウッド監督らしい映画です。
TVではなく、是非映画館で観ることをお勧めします。

ちなみにこの映画の製作はスティーブン・スピルバーグ。
硫黄島の彼方に、アフガンやイラク戦争、そして9.11以降の眼差しを、感じます。

参考コラム :
陸・海・空ロボット (7/11)
ロボット兵器の行方 (7/14)
ヒズボラ・ロボット・アタック (7/19)
慶びの地と哀しみの地 (9/6)
0対35 (9/10)
posted by カーサ at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | シネマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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