2007年04月08日

余計な説明はしない心地よさ

最近は韓流映画の影響でしょうか、それともテレビ的な映画作りのせいでしょうか、やたらと泣き叫び、くどくどと説明する映画が多いですね。

文京区の小石川植物園の一角に旧東京医学校本館(現東京大学総合研究博物館小石川分館)はあります。
ここに東京大学が明治10年の創学から収集してきた600万点を超える各種学術標本の一部が展示されています。

建物の内部は現代的な補強と改築がなされてはいますが、創建(明治9年)当時の雰囲気は十分感じられるつくりになっていて、小さい頃によく遊んだ上野の国立科学博物館の湿った空気の感触を、ふと思い出しました。

無造作に置かれた学術標本や理化学機器のほとんどにキャプションはなく、一体それは何なのか、創造力を刺激します。

その東京大学総合研究博物館と写真家・上田義彦氏とが取り組んだのが、「CHAMBER of CURIOSITIE」。

古びて、価値を失った各種学術標本が、上田義彦氏の手により新たな生命を吹き込まれ、漆黒の闇に凛として浮かぶ、緊張感ある「芸術作品」に仕上がっています。

これほど知性を感じ、知的感覚を奮い立たせる写真集もないでしょう。
当然ですが、データ以外の余計な説明は一切ありません。
(つづく)
posted by カーサ at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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