「いま私たちの怒りや悲しみ、死や愛といった感情をリアルに表現してくれるのは写真や映画になってしまった。かつては絵画が担っていたそのテーマをもういちど絵画の中に取り戻したい」
なんの予備知識もなく観たデュマスの作品でしたが、
その独特のタッチで描かれた人物像に、一瞬で心をわしづかみにされました。
特に荒木経惟の写真からインスピレーションを受けた「ブロークン・ホワイト」や写真家アントン・コルビンとのコラボレーション「ストリッパー」シリーズなど、「女」をとことん見つめた作品群は、どれも力強く、本当にすばらしいものでした。
来年、ニューヨーク近代美術館とロサンゼルス現代美術館で大回顧展が計画されているそうですが、是非全ての作品を観てみたい、そう思わせる卓越した表現力を持つ作家だと思いました。
それに引き換え、別室で観た岡本太郎の「明日の神話」。
ただデカイというだけで、何も心に迫るものはありません。
デュマスとの才能の差だけが際立つ展示になっていました。