ドラッカーが日本画と恋に落ちるきっかけとなった清原雪信の「芙蓉図」から始まり、若冲、白隠、崋山、玉堂、蕪村などの有名どころを始め、111点の作品の殆どは水墨画。
コレクションの白眉は「室町水墨画」の作品群だが、フランス印象派よりずっと早く、墨だけで光を表現した谷文晁の「月夜白梅図」は本当にすばらしく、長い時間見入ってしまった。
驚くのは、一連の展示作品どれもがピンと張りつめた独特の空気感を漂わせていて、見ているうちに深い精神性に浸る感覚に陥ったこと。
ドラッカーが水墨画に何故これほど惚れ込んだのか。
来場者は年配の女性が多かったが、40代以上の責任ある地位にいる(いた)男性にこそ、ドラッカーのコレクションを深く理解し、共感できるのではないだろうか。
仕事や人間関係に疲れたとき、水墨画がこれほど心に染み入る画だったとは、若いころには気づかなかった。