先日開催された「海中海底工学フォーラム」。
毎回、海を巡る多彩なゲストを迎えて、楽しいスピーチが行われますが、
今回は、東地中海泥火山・塩水湖やインド洋中央海嶺・溶岩大平原の発見、台湾南方沖地震による海底ケーブル故障など、ニュースで報じられた旬なトピックから、日本の沿岸施設の安全保障や海洋教育の普及推進、沖ノ鳥島でのサンゴを増やす技術開発など、4月に交付された海洋基本法を意識した内容にもなっていました。
そんな中、異色だったのは、東京大学生産技術研究所の渡辺正氏の『「地球温暖化」の真偽と「対策」の虚実』という講演。
簡単に要約すると、
『地球温暖化はどうもあやしい。温暖化ということを言い出したのは、1980年代後半。公害問題が一段落した後、学者たちが急に騒ぎだした。自分たちの「メシの種」が必要だったからではないか。
いつの世も「時代の物語」が必要。戦後復興・平和・所得倍増、そして今は「環境」。それらは誰も反対しない「大きな物語」だからだ。
世界の平均気温が上昇しているといっても、それは経済発展で都市化が進んでいるからに他ならず、田舎の大部分は「ほぼ一定」である。都市化が進めば、気温は必ず上がる。
掘った石油や石炭、天然ガスのほとんどはいずれCO2となって大気に出るから、
温暖化を本気で止めるというなら、化石燃料を永久に封印するしかない。
しかし、それは経済の大幅縮小を意味するので、誰もそんなことは言い出さない。ただただ「サイエンス不在の政治経済ショー」が流行するだけだ』。
気象庁は、「お天気フェア」を開催していた当時(90〜95年)、長期的な気温の変化を見定めなければ、地球が温暖化に向かっているかどうか結論できないと大変慎重な態度でしたが、最近は様々な気象データから地球が急速に温暖化していると明確に表明しています。
そんなことを渡辺氏が知らないはずはなく、思うに、渡辺氏の真意は、
環境や地球温暖化をメシの種にしている「研究費亡者」の研究者や、科学的データに基づかない「根拠なきエセ科学」の蔓延、危機感を煽り、ただ「トレンド」として取り上げているだけのメディア、
そうした「本気」ではない人々への強い怒りではないか、と思いました。
最後に、渡辺氏は「CO2輩出の少ない技術・製品もペテン」と切り捨てながらも、「省エネだけは正しい。家計が助かるからね」と述べました。
(つづく)
参考 :
お天気フェアの頃 (07.5.20)
ロボット文化人 (06.4.10)