資料の冒頭、人間の最も基本的な特性について、
「我々を未知の探求に駆り立てる容赦のない好奇心」と
「地平線の彼方にある神秘を求める探究心」
を挙げています。
荒俣宏氏の「博物探検史」を読むと、
ヨーロッパ人の大航海は、地球表面にある海と陸とが釣り合うためには、海ばかりが多い南半球にも大きな大陸がなければならないという「海陸均衡理論」による南方大陸探求の航海からはじまり、天体、地理学、生物学、博物学などの科学的観測を経て、極点探検へと進んでいきます。
ヨーロッパ人は世界航海で立ち寄った地の珍しい品や動植物を持ち帰り、一般に公開。
また美しい動植物の絵入り学術書や航海記を数多く出版することで、政府や自国民に大規模航海計画への支持取付けを積極的に行いました。
そうした結果、3次に渡るジェームズ・クックの世界航海、エジプト考古学の端緒となったナポレオンのエジプト遠征、ダーウィンが乗船し、進化論誕生のきっかけとなったビーグル号世界航海など、心躍る探検行が数多くなされました。
とはいえ、航海当初は熱病や壊血病、原住民との争いなどによる犠牲者も多く、1740年の英国・アンソンによる太平洋航海では、6隻中、5隻の船と、1955人中1000人を超える乗員を失っています。
そんなリスクを冒してまでヨーロッパ人を世界航海に向かわせた本当の原動力は実際なんだったかというと、それは、
地球の自然が多様で変化に富み、とても美しかった、それをできるだけ自分たちのものにしたい、という欲求に尽きる気がします。
今後、世界の人々の関心を宇宙に向かわせ、宇宙探査推進のコンセンサスを得るためにも、各国宇宙機関は、「地球の自然以上に宇宙が魅力的である」ということを自国民に納得させる努力をもっともっとする必要があるでしょう。
ちなみに、ジェームズ・クックの航海船、ディスカバリー号とエンデバー号の名前は、スペースシャトルに受け継がれています。
参考書籍:「荒俣宏氏の博物探検史」(平凡社)