ひとつは、1969年9月のトロントでの「ロックン・ロール・リヴァイヴァル・ショー」。
これはプラスティック・オノ・バンド初のステージ演奏ですが、現地に向かう飛行機の中で打ち合わせをしただけという即興ライブだっただけに、ヨーコが書いた曲順や歌詞のメモを見ながら演奏しているジョンの様子が映っています。
メンバーはジョンとヨーコのほかに、ギターをエリック・クラプトン、ドラムスにYESのアラン・ホワイト、そしてベースを親友のクラウス・フォアマンが担当し、「コールド・ターキー」と「平和を我等に」は初演でした。
とはいえ、ジョンがビートルズ在籍のままに参加したライブなだけに、司会のムッシュかまやつ氏も指摘していたように、演奏にどうも「迷い」が感じられ、今ひとつ心晴れない感じがします。
それに対して、ヨーコはアバンギャルドパワー全開で、今見ても圧倒的なパフォーマンス。
ジョンもヨーコの強い毒気に当たって、たじたじといった様子です。
もうひとつは、1972年8月にニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデンで行なわれたウィローブルック障害児施設のための「ワン・トゥ・ワン・チャリティコンサート」。
ジョンは、プラスティック・オノ・エレファンツ・メモリー・バンドと共演しています。
ここでのジョンは、だいぶ迷いもとれ、「ホーム」という気安さからか、とてもいい表情で演奏しています。
映像からはヨーコの過激パフォーマンスは見られませんが、それでも最後の「平和を我等に」では2人してヘルメット姿でステージに立ち、しかもジョンのヘルメットには日本語で「全共斗」の文字。
ジョン・レノンは40年の生涯で実にさまざまな側面を見せますが、あらためてオノ・ヨーコとの出会いがいかに大きかったかを垣間見れるライブでした。
一般的には、ジョンとヨーコの活動はジョン&ヨーコという対で呼ばれています。でも本当はヨーコ&ジョンとしたほうが正確に二人の関係を表しています。