だんだん年をとってくると、楽しみが「食べる」ことになってくる人は多いと思います。
健康に関する「食」の情報は関心の高い事柄でしょう。
曰く「チョコレートやワインに含まれるポリフェノールは健康にいい」、「コーヒーを一日2杯以上飲む人は、飲まない人よりガンになりにくい」・・・
食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じたりすることを「フードファディズム」といいますが、食の安全に詳しい松永和紀氏によると、
「多様な食品を過不足なく食べることの重要性を無視する食の情報には、虚偽や誇張、フードファティズムが紛れ込む」恐れがあるといいます。
冷静に考えれば、
「身体に良いといわれる食品も食べすぎはよくないだろうし、身体に悪いとみなされる食品も節度をもって楽しむのは悪いことではない」くらいは、わかりそうなものですが、
「科学的に実証された」などといわれるとついその気になってしまいます。
そこには科学を装った似非科学の危険も付きまといます。
松永氏は著書「メディアバイアス」の中で、似非科学の実例として、
愛や感謝の気持ちが水を美しく変化させるという「水からの伝言」を取り上げています。
そして、氾濫する科学情報を識別する方法として、以下の十か条を挙げています。
・懐疑主義を貫き、多様な情報を収集して自分自身で判断する
・○○を食べればというような単純な情報は排除する
・危険、効くなど極端な情報は、まず警戒する
・その情報は誰を利するか、考える
・体験談、感情的な訴えには冷静に対処する
・発表された「場」に注目する。学術論文なら、信頼性は比較的高い
・問題にされている「量」に注目する
・問題にされている事象が発生する条件、とくに人にあてはまるのか考える
・他のものと比較する目をもつ
・新しい情報に応じて柔軟に考えを変えていく