2007年11月05日

ロボット症人間テスト

戦時中のロボットに関し、その時代背景と共に記述した「日本ロボット戦争記」(NTT出版)。
実戦で使われた風船爆弾をはじめ、空想発案されたロボットや実証実験された兵器などが当時のイラスト、写真で数多く紹介されています。

著者の井上晴樹氏はそのあとがきで、アメリカの社会学者ルイス・ヤブロンスキーの「ロボット症人間」について触れています。

ロボット症人間の主な特徴は、
・過去への回帰志向が強い
・周囲と過度に同調的で、自己の考えより規定や規則に従って意思決定し、儀式張っている
・非常に独善的である
・常に疎外感があり、また他者に対して敵意を持っている

そんな人が増えてきたようにも感じます。
ロボットとの暮らしは楽しみですが、「ロボット症人間」にはならぬよう気をつけたいものです。
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2007年10月31日

情熱と近未来へのストーリー

(つづき)
やはりロボットは動いてナンボ。 静展示は辛いものがあります。

ASIMOのショーは、やるからにはちゃんとしたものを出すというホンダの社としての強い意志が感じられ、毎回楽しいショーになっています。

今回の大ロボット博でのショーも、ASIMOがいる家族の近未来のライフスタイルを実演と映像を使ってわかりやすく紹介したもので、
ASIMOがボールを蹴ったり、走ったりするたびに、観客から歓声や拍手が沸き起こります。

もちろんASIMOが実際の家庭に入るまでにはまだまだ長い道のりがあり、そう簡単にはいかなことは、皆わかっています。
それでもいつの間にかASIMOに感情移入し、ASIMOの成長をあたたかく見守っています。
観客は未来のストーリーをASIMOに感じているのです。

ホンダはこのショーを約100日間の実証実験としてとらえ、万全の態勢で臨むとしています。

ちなみに、今回の東京モーターショーでホンダが出品した「PUYO」は、やわらかい素材のシリコンボディでできていて、そのうちASIMOにも使われるかもしれませんね。
(つづく)

参考
ワールドカップ5大会分のストーリー (06.5.15)
仏神レプリカント (06.10.25)
ロボットイベントに想う (06.12.4)
ホンダもソニーもなく (06.12.15)
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2007年10月27日

プロトタイプ率95%の行方

東京モーターショーと大ロボット博がほぼ同時期に開催されています。

エンターテイメント性や目新しさから、マスコミはコンセプトカーやプロトタイプロボットを大きく取り上げ、「夢を見たい」人々もそれらに注目します。

東京モーターショーの出品車数は、約540台。
そのうちコンセプトカーは5%程度。
つまり、出品車の95%は売っている(もしくは販売予定)クルマ

大ロボット博の出品ロボット数は、約100台。
そのうち市販されているロボットは5%程度。
つまり、出品ロボットの95%は売られていない(もしくは販売予定のない)ロボット

今後、クルマのロボット化が進んでも出品車の95%が販売車という数値に変わりはないでしょう。

問題は、ロボットのプロトタイプ率95%という数値。
この数値が下がらなければ、市場形成も「夢」のままです。
(つづく)




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2007年10月25日

切りたくても切れない関係

都営地下鉄大江戸線で停電が発生してトンネル内で電車が立往生したトラブルは、変電所での保守点検の後に送電スイッチを入れ忘れた人為的ミスが原因だったようです。

航空機による人為的ミス(ヒューマンエラー)も多発しています。(※)

国土交通省は大惨事につながりかねない重大トラブルとして、管制官と機長の交信用語を簡素化し、混雑時間帯に管制官の支援要員を設けるなどの再発防止策を検討しています。

またAP通信によると、
NASAが商用旅客機のパイロット2万4000名を対象に空の安全に関するアンケートを実施したところ、多くのパイロットがニアミスの体験があると回答。
これらの数値が余りにも多かったため、NASAは調査結果を公表した場合にアメリカの航空旅客輸送の信頼性を損なうと判断し、調査結果をこれまで伏せていたという。

ロボットが家庭に導入される際に暴発、暴動しないことが安全面での絶対条件になっていますが、
実際は人為的なミスによる事故のほうが多いのではないかとも言われています。

テクノロジーの進展とヒューマンエラーの関係は、切りたくても切れない関係。
今後も対で考えていく必要があります。

(※)
6月 離陸直前のスカイマーク機の前を着陸後の全日空機が横断。(新千歳空港)
9月 日航機が管制官の許可なしに滑走路を横断。(伊丹空港)
10月 エア・カナダ機が、管制官の許可を得ずに滑走路に進入し、降下中だった日本航空機が、再上昇して着陸をやり直し。(関西空港)
10月 全日空機が管制官の許可を出した滑走路とは別の滑走路に着陸。(伊丹空港)
これらの原因は、管制官の不注意又は管制官と機長との意思疎通が不十分だったことによる人為的ミスとされる。

参考 : 男と女 U (07.2.11)

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2007年10月22日

小松左京氏は語った「SFとは希望である」

昨夜を放送されたETV特集「21世紀を夢見た日々」。

19世紀に誕生したジュ-ル・ベルヌ、H・G・ウェルズの作品から、1962年のSF作家クラブの発足、エイトマン、スーパージェッター、ウルトラQなどのアニメや大阪万博でのSF作家の活躍、宇宙戦艦ヤマト、ヱヴァンゲリオンを経て、ジャパニーズ・サブカルチャーの世界的な拡がりまで、50年にわたる日本のSFの歴史を、当事者や現代の作家へのインタビュー、記録映像などを通して、コンパクトにわかりやすく紹介していました。

TVの創成期、万博開催、アポロ11号の月面着陸などの時代背景の中、星新一、小松左京、筒井康隆、手塚治虫などが文学の枠を超え多方面で活躍。そこには科学技術への信頼と希望が素直に語られており、熱いエネルギーに満ちていました。

番組で紹介されていた、怪獣を詳細に解剖する「怪獣大図鑑」は、今見てもすばらしい出来で、また個人的にもとても懐かしいものでした。

その後、ヘドロや大気汚染など科学技術の負の面が社会問題になると、SF作家たちの関心も明るい未来予測から予防に移っていき、「日本沈没」などの警鐘的作品が登場します。

日本のSF・50年を見て育った子供たちが今、日本のロボットに関わっています。
「SFとは希望である」という小松左京氏の言葉が、これからの50年にそのまま引き継がれる未来であると信じたいと思います。

参考
最難問 人のin+novare (06.11.26)
イノベーション25 中間とりまとめを、読む (07.3.1)
それでもボクはやってやる (07.3.5)
恐るべき子供たちに見放された日本の進むべき道 (07.7.2)
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2007年10月17日

2010年のロボット

NECソフトウェア東北が、パーソナルロボット「PaPeRo」のアイデアを競うイベントの参加者を募集しています。

家庭内にどうやってロボットを導入し、新たな市場を作っていくのか。

現在、それができないのは、
キラーアプリケーションがまだないからなのか、
販売価格が高い、費用対効果が伴わないからなのか、
現場ニーズに技術レベルが追いついていないためなのか、
充分な安全性が確保されていないからなのか、
それとも一般ユーザーのロボットに対する期待が高すぎるためなのか、
そもそも家庭内にロボットを必要としているのか・・・


多くのロボット関係者のさまざまな努力にも関わらず、なかなかその答えが見出せずにいます。

NECのイベントの募集内容は、2010年の「PaPeRo」を想定し、
どのような企業が、どのような人向けに、どのようなシーンにおいて、どのようなサービスを提供すると
『PaPeRo』が役に立つことができるのか

というロボット関係者誰もが知りたいストレートなもの。

そして、そのアイデアは、
現在もしくは近い将来に利用可能な技術の利用を想定したアイデア」であり、
いつ実現するかわからない夢のような技術を前提にしたアイデアは対象外」としています。

なりふりかまわず、と言った感じですが、来年3月に発表される審査結果には注目したいと思います。

参考 : 全国学力テストと、ロボットと共存する未来社会へのマーケティング (07.4.26)
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2007年10月02日

Do it yourself 系ロボット

以前、千葉県の鴨川で農作業を行っていたことがありました。

春の田植え、夏の草取り、秋の稲刈り、冬の味噌作りなど、とても楽しかったのですが、そのとき、定年後の長い時間を過ごすのに、農作業や野菜作り(ガーデニング含む)はいい選択のひとつだろうなと思いました。

農業と同じように趣味と実益を兼ねた作業として、家の修繕(Do it yourself)があります。

自動掃除機の「ルンバ」で有名なアイロボット社から、雨どいの落ち葉を落とすロボット「Looj」がアメリカで発売されました。
価格は$99.99〜169.99 (約12,000円〜20,000円)。

Loojを雨どいに置き、取っ手のリモートコントロールを操作すると、もぐらのように雨どいを進み、溜まった落ち葉などを振るい落とします。もちろんバックも可能。
映像で見るとかなりの勢いで落ち葉をふっ飛ばしています。

腰のショルダーケースで持ち歩け、本体の汚れもじゃぶじゃぶ水洗いできる、いかにもタフで、Do it yourself好きなアメリカ人向けロボットという感じですが、実用性はありそうです。

春と秋、ホームセンターは多くの人でにぎわいます。
単機能なだけに価格設定にもよりますが、日本でもLoojが活躍する日が来るかもしれません。

参考 :
何かひとつ役立つロボット (06.2.18)
「効用」のないロボットなんて (06.5.23)
ルンバ格差 (06.6.14)
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2007年09月05日

自動車業界頼み市場規模予測

(つづき)
今回の成果報告会では、ロボットの市場予測についても発表がありました。

これまでのロボット市場予測は、2001年5月の「21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書」をベースにしてきました。

そのときの2025年のロボット全体の市場規模は約8兆円

その後、「新産業創造戦略」(2004年5月)で、約6.2兆円に修正され、これがロボットに関する公式な市場予測数値となっていました。

今回は、RT(Robot Technology)製品を含めた市場規模予測を行っています。

RT製品とは、「機械システム製品のうち、その製品の主たる役割を果たすために必要な行為の全部又は一部を、センサー、知能・制御系、駆動系の3つの技術要素を組み合わせたRTを活用して動作するもの」と定義され、例として、
自動車のASVやエアコンの自動気流制御機能などを上げています。

そして2025年におけるRT製品(自動車、家電・住宅、建設機器など)の市場規模を1.24兆円と予測。

このRT製品を含め、次世代ロボット、生産に関連するRTシステム(ライン構築、システム設計など)、産業ロボット全体で、約5.4兆円と試算しています。

さらに、交通事故による社会経済的損失額(2004年度)、約6.7兆円がASVの普及で4割程度減少すると見込んで、社会経済的損失低減効果、約2.1兆円を足して、
2025年のロボット・RT関連産業の市場規模を、約7.5兆円になると推定しています。

将来の市場規模予測は、「当たらない」のが通常で、今後も修正が加えられていくと思いますし、民生用ロボットを取り巻く厳しい現状を考えれば、これまでの予測があまりにも現実離れしていたとも言えます。

また、ロボット単体としてではなく、ロボット技術を活用した知能システムとしてのRTを広くロボットとして捉えることにも異議はありません。

しかし、RT関連や産業用ロボット、社会経済的損失低減の大半が自動車関連のことであり、一般の人が思い浮かべる次世代ロボットが占める割合は1割程度でしかありません。

次世代ロボットが厳しい現状にあるとはいえ、これではあまりにも自動車業界頼みの情けない予測です。

これだけをみれば、次世代ロボットに未来はない、と云っているようなものです。

ロボット関係者はこの数値について、怒りを感じないのでしょうか。

また自動車がロボット市場を牽引していくことを明確にしていながら、技術戦略マップの委員に自動車関連の方が極端に少ないのはいったい何故なのでしょう。

RTの概念を日本の産業界に広く行き渡らせるためにも、自動車や家電、建設などもっと多くの関係者を巻き込んでいく努力が必要なのだと思います
(つづく)

参考 : ロボティックライフスタイル序曲 (06.8.15)
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2007年09月03日

知能モジュール

(つづく)
2004年に「RT (Robot Technology)」のコンセプトを前面に押し出して作成された「ロボット技術戦略マップ」。

2006年のローリング(見直し)では、そのRTの考えを「家庭や極限環境」にまで拡張しました。
そして2007年のローリングでは、「ロボットの知能化と環境の構造化」、特にロボットの知能化について重点的に取り扱っています。

ここでいうロボットの知能とは、仕事をするための知能、つまり「環境適応能力」のこと。

社会ニーズに合った機能をもつ知能ロボットを実現するためには、再利用可能な知能モジュールの必要性を強調しています。

そして知能モジュールを今後、ハンドリング、ロコモーション、コミュニケーションなど、ロボットシステムとして整備して、「知能の汎用性」を目指すとしています。
(つづく)

参考 : 製造極限生活 (06.8.8)


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2007年09月02日

アカデミック・ロードマップ U

(つづき)
「ロボット分野アカデミックマップ」は、ロボットに関係する学術分野3団体(日本ロボット学会、人工知能学会、日本人間工学会)が、人間系融合領域、情報系複合領域、工学系先端領域について記述しています。

日本にどれだけの数の学会があるのかは知りませんが、ひとつの学会だけでは解決できない学際的な研究が叫ばれている今、学会横断による具体的な異分野間の融合の試みとして、今回の「ロボット分野アカデミックマップ」は注目されます。

ただし、人間系、情報系、工学系それぞれが自由なとりまとめをしたことから、3者間に統一性がなく、読んでいても内容がばらばらの印象を受けます。

ロボットの場合、技術革新の研究開発にどうしてもお金がかかるため、国の科学研究費やプロジェクト予算に引っ張られ、ともすれば「国の下請け」に甘んじる傾向がありますが、
ロボット分野に文系アカデミアが入ることで、「人間がより幸せになるためのロボット」や、「人間や社会にとって本当に必要なロボット」など、ロボットをより大きな視点で、より深く考えるようになっていけばいいと思いました。
(つづく)
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2007年08月31日

アカデミック・ロードマップ

先日、経済産業省の地下ホールで行われた「ロボット分野アカデミックマップおよびロボット技術戦略マップ2007 報告会」。

2004年に作成された「ロボット技術戦略マップ」は昨年ローリング(見直し)がおこなわれ、今回が2度目。

また「ロボット分野アカデミックマップ」は、
ロボットに関係する学術分野3団体、日本ロボット学会、人工知能学会、日本人間工学会が協働で、ロボット分野の将来に向けた技術ロードマップをはじめて作成したというもの。

「ロボット技術戦略マップ」と「ロボット分野アカデミックマップ」との関係は、
前者が2025年までのロボットの具体的な技術の道筋を示しているに対し、後者は2050年から俯瞰したロボット技術の基礎研究を含む幅広い領域について記述しています。

今回は両者による「ロボット技術の中長期的なビジョンマッチング」という位置づけですが、主催者が認めているように、
「ロボット技術戦略マップ」と「ロボット分野アカデミックマップ」との整合性はほとんどなく、今後、共にローリングをすることで整合性を高めていきたいとのことです。
(つづく)

参考 : 市場規模0円 (06.8.7)
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2007年07月30日

美しい日本のロボット

雷鳴が轟いた夜、自民党は大敗し、イラクがアジアカップを制しました。

韓国に敗れた日本はオシム監督の責任問題が取り沙汰されていますが、オシム監督が目指す「美しいサッカー」の片鱗が見えた大会でもありました。

オシム氏が日本代表監督になってほぼ1年。また安倍内閣が「美しい日本」を掲げてから10ヶ月。

マスコミは敗戦するとすぐに責任問題を取り挙げますが、
プロであるならどんな分野であろうと「美しさ」を目指すのは、当然のことであり、特にチャレンジしている途上で批判するのは、大局を見誤る可能性があります。

ロボットに関わるどのくらいの研究者が「美しいロボット」を目指しているのかは、知りません。

中々立ち上がらないロボット市場。直接的であれ、間接的であれ、責任を問われている担当者は多いことでしょう。

でも是非「美しいロボット」を目指してください。
「美しいロボット」とは一体何か。

それはロボットならではの機能の美しさでもあるし、動きの美しさでもあるでしょう。
そしてなにより、ロボットに関わる人が「美しいロボット」を目指すという「精神の美しさ」であるべきでしょう。

止まるわけには行きません。前に進むしかありません。

参考 :
美しいロボット (06.7.29)
777色のビブス (06.8.28)
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2007年07月27日

バリアフリー、Intimateな技術の活用

(つづき)
「ヒトと機械のあいだ」(岩波書店)で廣瀬通孝氏は、バリアフリー技術 = 装着型の機器によって、障害を補完する技術、について言及しています。

人間はある機能が失われたとき、それをほかの機能が補うような形で変化する(適応)といいます。
例えば視覚を失うと、音だけでそうとう微妙なことを知覚できるようになり、鋭い人だと4m離れたところからでも6cmくらいの物体を認識することができるそうです。

廣瀬氏は、バリア(障害)を持つ人々は、何らかの部分で健常者とは違った特性を有するという観点から、「バリアは個性」であるとし、バリアがあるからこそ見えてくる「新しい世界」があると述べています。

それゆえ、機械を装着することで、健常者を上回る能力を身につける可能性について、

「技術への参入障壁が健常者より小さいことは大きなアドバンテージである」とし、発展途上国が新規技術を導入することでハンデキャップを一気にプラスに転じるリープフロッギング(Leap flogging 蛙とび)現象も可能ではないか。
そして、「全ての人々が新しい技術に対して洗練されているはずがないため、新しい技術が世の中に広く行き渡るためには、はじめの段階に先端的なユーザが必要であり、
拡張型の機械の世界の最も先端的なユーザのある部分は、バリアを持つ人々が担っている」として、
個性を持つ人々に単一の規格を押し付けることのない「Intimate※な技術の活用」の大切さを指摘しています。


※Intimate 「内心の、個人的な」の意。 メガネや入れ歯が個人だけのものであり、他人との共用がナンセンスであるように、今後コンピュータも個人と一体化していくというラップトップ型パーソナル・コンピュータの発案者、Alan Kayの言葉から。

参考 : 「ヒトと機械のあいだ」(岩波書店) 廣瀬通孝編

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2007年07月25日

自立支援ロボットに求められているもの

先日埼玉で開催された「次世代ロボットセミナー」。福祉・介護のロボット開発に携わる研究者が講演しました。

その中で立命館大学理工学部の手嶋教之教授から福祉・介護ロボットを開発する上で、以下のような指摘がなされていました。
簡単に要約すると、

現代の福祉のキーワードは、自分の生活は自分で決める自立・社会参加であり、国家経済が求めているのも自立支援ロボットである。
研究者はついつい機能に注目するが、福祉の目的は失われた機能の回復ではない。
自立支援ロボットの開発にはユーザニーズの把握が必要。そのためにはユーザを開発チームに入れ、特定ユーザのニーズを一般化すること。
ユーザもまったく存在しないものについて訊ねられてもきちんと答えられないので、すでに実用化されている福祉・介護ロボットを分析することが大切。
(オランダ製の自立支援ロボット「MANUS」のユーザが、かゆいところを掻くためにロボットを使っている例を挙げた)
そしてロボットの安全対策として、ロボットがなにかに触れたら、自動的に反対方向へ手を引っ込める反射機構や過大な力が加わると大きく変形するロボットアームなど、フェルセーフな力センサの開発が必要である。

(つづく)

参考 :
自立支援をめぐる言葉(1) (07.3.15)
自立支援をめぐる言葉(2) (07.3.16)
自立支援をめぐる言葉(3) (07.3.18)
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2007年05月11日

ロボットに関するいくつかの報告書 C

(つづき)
効果的な交通安全対策の実現のために」(日本自動車工業会)

日本自動車工業会は、少子高齢化社会における交通事故削減に向けて行政側に取り組んで欲しい要素をとりまとめました。

報告書では、
電動車いすが安全に走行できるよう歩道の整備の必要性や、
急増する高齢者ドライバーへの情報支援として、「車」と「道路インフラ」を通信でつなぐ
インフラ協調による安全運転支援システム
の重要性を述べています。

ロボットが街中で普及するためには、環境側からの支援が欠かせません。

電動車いすがインテリジェント化(ロボット化)されるのも遠い日ではないはず。
自動車の歩んできた歴史はロボットの未来を考える上でとても重要です。

これからの道路インフラは車と人との関係だけでなく、ロボットとの関係も見越した視点が大切になりますね。

参考コラム: エコとユニバーサルデザインの先へ (06.5.11)


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2007年05月09日

ロボットに関するいくつかの報告書 B

(つづき)
次世代ロボット安全性確保ガイドライン(案)」(経済産業省)

家庭用ロボットが普及するためには、「安全性」「共通基盤」「費用対効果」など、まだまだ乗り越えなければならない課題が多いですが、先月、その「安全性」についてのガイドライン案が発表されました。

次世代ロボットの関係主体を製造者、管理者、販売者、使用者、使用者以外に分類し、それぞれの安全性の「確保」についての指針を行っています。

ロボット独自の安全規格というよりも、既存の法律(製造物責任法、労働安全衛生法、産業用ロボットの安全基準など)の次世代ロボットへの適用、解釈といった趣ですが、
ポイントは、
一つの保護方策が十分機能しなかった場合でも事故防止が図られるようにする「多重安全の考え方」を取り入れている点。

将来、どんなロボットが我々の生活に入り込み、どのような働きをし、また我々がロボットにどう接していくのか現段階でわからない以上、細かな安全対策を論じても意味はないわけで、安全性確保の原則をまずは提示したことはとても正しい判断だと思います。

最終的に「素人」がロボットを扱うわけですから、自動車が誕生した後に様々な問題が生じたように、例え今、安全基準を完璧に満たすロボットを作ったとしても、様々な事故事例を積み重ねていく中でしか、より安全な策を講じることはできないでしょう。

しかし、家庭用ロボットがまだ普及していない段階で安全性確保のガイドライン案を作り、国民の意見も取り入れながら、世界にさきがけて実施していくことは、日本が世界におけるロボットの安全性のイニシアチブをとっていくためにも重要であり、意義のあることと思います。

ちなみに、韓国では人型ロボットの虐待問題やロボットと人間の適正な関係を定めた「ロボット倫理規定」(ロボットの役割や能力に関する倫理ガイドライン)を産業資源省が立案しているようですが、ロボットのことを心配するより、もっと先にやることがあるだろうと、ツッコミの声が聞こえそうですね。

また、英国科学イノベーション庁が昨年発行した報告書に「人権をロボットにまで拡大することが要求されるかもしれない」と記されていたことに対し、ロボット工学の専門家らが「機械が意思を持つという考えはおとぎ話のようだ」と反発して、人々がどのような機械の活用を望んでいるのかを知るための公開討論を先日行ったようです。

どんな結論になったのでしょう。
(つづく)

参考: 「平成18年度特許出願技術動向調査の結果について ロボット編」(経済産業省、特許庁)
ITmedia ニュース (4/25)
ThinkIT ニュース (5/7)

参考コラム :
日本の一番のアキレス腱 (07.3.11)
シンドラーのリスク (06.6.6)
シンドラーのリスク U (06.6.8)


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2007年05月08日

ロボットに関するいくつかの報告書 A

技術戦略マップ2007』(経済産業省)

2005年から公開されている「技術戦略マップ」。
2007年版では情報通信、ライフサイエンス、ものづくりなど25分野についての導入シナリオ、技術マップ、技術ロードマップが詳細に記載され、既存技術の検証とローリング(見直し)が行われています。
ものづくり分野の「ロボット」においては、知能化について検討が加えられています。

感心したのは「おわりに」と題した章。
そこで担当者は次のように述べています。
「当省と致しましては、(簡略)技術戦略マップに基づいた適切なプロジェクトの立案と実施中のプロジェクトについて不断の検証を行っており、
これによって、経済産業省の毎年約2300億円の研究開発プロジェクトに対する説明責任を果たしていきたいと考えております。(中略)
一方で、このような技術戦略マップという研究開発マネジメント手法は、当省として初めての試みであり、必ずしもパーフェクトなものが得られたとは考えてはいません。
今後、策定のプロセスも含め、見直すべき点を明らかにしつつ改善を行っていきたいと考えています。
継続は力なりと諺にもありますが、技術戦略マップが一過性の取り組みにとどまることがないよう、心して努めて参りたいと思います。
今後ともローリング活動を続けて参る予定ですので、引き続き皆様方のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます」

これを謙虚な言葉ととるか、予算獲得のための方便ととるかは人によって見方は違うと思いますが、僕は近未来に実現するだろう世界をまずは信じてみたいと思います。
(つづく)

参考コラム: 4つの将来のゴール (06.6.2)
ロボットの国の予算 (06.12.26)


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2007年05月07日

ロボットに関するいくつかの報告書 @

GW前にロボット関連の報告書が省庁などからいくつか発表されました。
その紹介と簡単なコメントを。

イノベーション創出の鍵とエコイノベーションの推進(中間報告)」(産業構造審議会)

我が国では、「供給能力の高まりの中で物質的な飽和感が蔓延しており、受け手が機能を求めるのではなく多様な感性の充足を求める、人間重視のイノベーションの重要性が高まっている。
イノベーションは、技術シーズだけで実現するものではなく、持続可能な社会において受け手・ユーザーに有益な価値として認められなければ実現しない。(中略)
したがって、21世紀におけるイノベーションは、供給サイドではなく、環境を重視し、受け手である人間を重視する」と、エコイノベーションの重要性を説いています。

つまり、日本の強みである「環境・ものづくり・感性」を活かし、新たな融合を起こすエコイノベーションの実現こそ、「他国にまねることのできない国際競争力の源泉であり、新しい経済成長のエンジンとなる鍵」だと述べています。

この中間報告では69ページに渡ってエコイノベーション推進の道筋が綴られていますが(ロボットに関しても当然記述あり)、その中で理科離れの対応策のひとつとしておもしろい提言をしています。

その名も「日本の強みプラザ」の創設。

これは、環境・エネルギー・感性関連で日本の強みと考えられる成功事例(ハイブリッドカー、研磨技術、J ポップ、アニメ、温泉等)を一堂に展示するというもの。
環境や理科教育として活用するほか、「殿堂」化を図り、将来的には、国内外のイノベーティブな人材を惹きつける、シリコンバレーのような「知の融合拠点」を目指すとしています。

楽しいような、ちょっと恥ずかしいような。
(つづく)

その他参考 : 「イノベーションの実現を加速する社会還元プロジェクトについて」(総合科学技術会議)

伊野辺家と世界の人々 (07.3.14)
それでもボクはやってやる (07.3.5)
イノベーション25 中間とりまとめを、読む (07.3.1)
最難問 人のin+novare (06.11.26)
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2007年04月26日

全国学力テストと、ロボットと共存する未来社会へのマーケティング

先日行われた全国学力テスト。その中学校国語Bでロボットについて出題されていました。

中学生の「前田」さんがロボットについて調べたことを発表する原稿(A)とレスキューやコミュニケーションロボットの性能・特徴を紹介(写真付)する表(B)が掲載されています。

設問三 [A]の文章中に ロボットと共存する未来社会 とありますが、あなたは、どのような未来社会を想像しますか。次の条件1と条件2にしたがって書きなさい。

条件1 人間とロボットの未来の関係についてのあなたの考えを書くこと。
条件2 [B]の表に示されているロボットの「性能・特徴」のいずれかに触れること。

これは学力テストという場を借りた全国規模のマーケティング調査のような設問ですね。

若いユーザーがこれからの人間と機械との関係をどのように思っているのか、全員の回答を是非読んでみたいと思います。

この設問だけでいいので、出題に協力した(社)日本ロボット工業会は、回答例を公開できるよう文部科学省と調整すべきでしょう。

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2007年04月23日

ボナンザに感じる「擬似感性」

先週末、NHKBSで放送された「運命の一手 渡辺竜王VS人工知能・ボナンザ」。

昨年の「世界コンピュータ将棋選手権」で優勝した将棋プログラム「ボナンザ」とプロ棋士・渡辺明竜王との公開対局を軸に、一手一手に込められた両者の心理と葛藤を追った112手3時間10分に及ぶ攻防は、大変見ごたえがありました。

チェスの世界チャンピオンが、IBMの「ディープ・ブルー」に敗れたのは1997年。
取った駒を使え、敵陣で「成る」ことができる将棋は、チェスに比べてより複雑なため、現在の将棋プログラムの実力はアマ6段ぐらいの棋力だろうと思われています。
しかし、終盤の読みの速さ、正確さではすでに人間は太刀打ちできなくなっているともいいます。

2005年秋、日本将棋連盟は公の場で許可なく将棋プログラムと対局することを禁止しました。
そのためプロのトップ棋士と将棋プログラムによる公開対局 = 真剣勝負は今回が初めてであり、大変注目を集めた一戦でした。

ほとんどの将棋プログラムは、プロの対局を参考に無駄な手筋を捨て、候補を絞り込む方法ですが、ボナンザは全ての可能性をしらみ潰しに調べる「全幅検索」を採用し、江戸時代までさかのぼる過去80万対局すべてのデータを入力。
また局面が有利なのか不利なのかを数値化して判断する「評価関数」を取り入れ、計算科学で使われる「最適化」という手法も用いています。

それにより、ボナンザは1秒間に400万局面を計算し、最適な「手」を打つことができるようになったといいます。

実際、番組ではボナンザがはじき出した局面の数値から、終盤ではずっと形勢「有利」と判断していたことを紹介していました。

「機械と指しているのではなく,まるで人間と指しているよう」(日本将棋連盟 米長邦雄会長)

面白いのは、ボナンザが高度な探索アルゴリズムによって強いというだけでなく、局面を優勢にするために駒損となる手を指すなど、人間味のある「棋風」を感じさせる将棋を指したということ。

「棋風」はいうなれば「感性」に通じるわけで、将棋プログラムにそのような「擬似感性」が感じられたということは、今後、人間の「心」を持つロボットを開発する上で参考になるかもしれませんね。

参考 :
・産経新聞 3/18
・感性ロボティクスワークショップ (06.3.13)
posted by カーサ at 12:13| Comment(1) | TrackBack(0) | ロボット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする