2009年09月08日

史上最大級のロボット

今週11日(金)午前2時1分、宇宙ステーション補給機「HTV」が新型ロケットH-UBに搭載されて、種子島宇宙センターから打上げられます。

HTVは、ロシアのプログレス、欧州のATVに続いて、日本が製造した国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給機。サイズは大型バス並みの全長約10m、直径約4.4m、補給能力約6t。

一方、H-UBも全長56.6m、質量531tと日本のロケットでは一番大きく、固体ロケットブースターを4本装備しています。

H-UBは打ち上げ後、約15分でHTVを分離。その後1週間かけて、HTVはISSに近づき、ISSのロボットアームにより、ISSにドッキングします。

HTVはひと月ほどISSに留まった後、不要になった物資を詰め込んで大気圏に再突入し、燃焼廃棄されることになっています。

「宇宙船」そのものといっていいHTVは将来の月探査を視野に、今後、年に1回程度H-UBで打上げられる予定です。

それにしても、今回の打ち上げの主目的は、
「H-UBロケット試験機によるHTV技術実証機の打ち上げ」

もう少し細かく言うと
「H-UBの打ち上げからロケット第2段 / HTV技術実証機の分離確認までを行う打ち上げ計画」と「HTV技術実証機の運用管制計画」から成ります

H-UBロケットもHTVも、まだ試験機であり、技術実証機であり、今回が初めてのデビュー戦。
にもかかわらず、新政権移行前の駆け込み打ち上げというわけではないでしょうが、ロケット打ち上げの実験から、補給機の分離・ドッキング・運用まですべて同時にいっぺんにやってしまおうという、かなりアグレッシブな試みです。

失敗でもしたら、無責任なマスコミからなにをいわれるかわからない状況下、
H-UBロケットとHTVの製造を担当した三菱重工の関係者はもちろん、すべての関係者が胃が痛くなるような日々を過ごしていることでしょう。

打ち上げの模様は、11日午前1時半からインターネットライブ中継されます。

H-UBの打ち上げ、HTVの分離・ドッキング共に是非成功してほしいと思います。


月をみる (2006.10.6)
構想27年、稼動5年、制作費7800億円 (2009.7.20)
日本の文化としての二足歩行ロボット (2009.7.23)
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2009年08月12日

地震・雷・ロボット・システム

昨日の駿河湾を震源とした地震。

気象庁は最初の地震波をキャッチしてから3.8秒後に緊急地震速報を「高度利用者向け」と「一般向け」に発表しました※1。

この「緊急地震速報システム」は、2007年2月に「高度利用者向け」が、また2007年10月から「一般向け」の運用を開始。

「一般向け」の運用が始まってからまだ2年ということもあり、対象地域に主要動が間に合わなかったり、予測震度が最後までブレてしまったり、誤報があったりとこれまでも課題が指摘されてきました。

今回も地震発生時刻が早朝ということもあり、テレビやラジオをつけていた人がどれくらいいたのか、情報伝達の手段に課題を残しました。

まだまだ課題がある「緊急地震速報システム」ですが、この「緊急地震速報システム」のすばらしいところは、それがまさに「システム」として運用されていること。

「システム」であるなら、さまざまな課題も、改良、解決することが容易です。

ものづくりには長けていても、とかく、システムやフォーマット、コンセプトメーキングに弱い日本。

モノは簡単にマネされる可能性がありますが、システム技術や運用は高度のノウハウが必要なため、一朝一夕でできあがるものではありません。

「緊急地震速報システム」は、より精度を高めることで、日本独自のシステム技術として、やがて海外に輸出されていくことでしょう。

ロボットも、ものづくりとしてではなく、システムとしてどのように活用していくのかという視点がやはり重要です。※2


※1今回の緊急地震速報は地震波検知から約1分間に10回発表された。その内、一般向けは最初の1回のみ。
※2 ロボカーサ・ドットコム
ロボティック・カーサ  
次世代ホームネットワーク「SAN GENiS」(三洋ホームズ)の項 参照
ロボティック・システム 
「エレベーター地震時管制運転システム」(三菱電機) の項 参照
「RFS-1」(富士重工業) の項 参照


「モノづくりとしてのロボット」の片思い (2009.4. 8)
ちょっとだけ気になる商品(16) (2009.3.31)
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2009年07月23日

日本の文化としての二足歩行ロボット

(つづき)
6月に発表された宇宙基本計画の中で、「二足歩行ロボットや高度なロボットによる無人探査を行い、その後、人とロボットの連携による本格的な探査への発展を目指す」という目標が盛り込まれました。

この提案を行ったのは、宇宙飛行士の毛利衛氏。

毛利氏は提案した理由として、有人・無人を合わせた日本独自の宇宙開発の推進やミッション(月面探査)を明確にすることで、ロボットの開発を進展させるなどを挙げていますが、おもしろいと思ったのは、毛利氏が二足歩行ロボットにこだわる理由。

それは、
「二足歩行ロボットは日本の文化」だから。

多額の予算を使う宇宙開発は、多くの国民の支持がなければ成り立ちません。
多くの国民から支持されることとはなにか。
それは、日本人自らの手で築き上げてきた「文化」に根ざしていること。

ロボットの場合、それは「二足歩行ロボットである」と。

お台場の実物大「ガンダム」の人気を見れば、確かにそうなのかなとも思います。


日本のロボットが自ずと目指す先 (2008.8.19)
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2009年07月20日

構想27年、稼動5年、制作費7800億円

国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」が、19日に完成しました。

本来なら1994年に完成するはずだったISSは、主に米国の事情で遅れに遅れ、2年後の2011年にやっと全体が完成することになっています。

5兆円が費やされる巨大プロジェクトですが、米国政府は2016年第一四半期にもISSを大気圏に再突入させて廃棄することを決めています。

日本実験棟「きぼう」の運用には、年間400億円が必要といわれ、今後5年間で2000億円以上の税金が使われる計算です。

なんだかなぁの「ふたつのスピカ」の主人公たちが宇宙で活躍するためには、本人たちの夢やガンバリの前に、宇宙での「有人活動」が税金のムダ使いではないことをきちんと国民に説明する必要があるでしょう。
(つづく)


宇宙を駆けるパブリシティ (2007.4.19)
品行方正な夢のなさ (2009.3.10)
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2009年06月13日

海のものとも山のものとも宙(そら)のものとも

(つづき)

先月行われた宇宙エレベーター協会のワークショップ

日本大学法学部教授の甲斐素直氏が宇宙エレベーター(SE)の法律面での課題について講演しました。

その中で氏は、
・打ち上げ時に大量の塩酸ガスを発生するロケットを用いる限り、宇宙開発と環境破壊は同義語
・中立な運営、資金調達の面からSEを国連機関として設置することの重要性
・デブリからSEを守るための宇宙新条約の必要性
などを挙げました。

そして、
SEが具体的に実現できる見通しがたった場合、関係国の利害が複雑にからむため、国連で新条約が批准されるまでには、長い年月が予想される。そのため、SEが海のものとも山のものともわからない段階での働きかけが重要になるだろう、と述べていました。


いただいたご意見につきましては、今後の検討の参考とさせていただきます (2009. 5.31)
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2009年05月18日

ロボットを作り、戦わせるだけではなく

(つづき)
先日行われた日本初の「宇宙エレベーター」の公開実験

実験は、高さ200mのヘリウムバルーンから垂れ下がった「テザー※」(ポリエステルベルト)を「クライマー※」(昇降機)が上昇するというもので、上昇目標地点は地上150m。
しかし、強風で「テザー」が激しく揺れた影響もあり、地上40m程の短記録に留まりました。

アメリカでは、電磁波(可視光/赤外線レーザー/マイクロ波)を用いた外部エネルギーの供給に重点が置かれているようですが、これは半径100mくらいの大規模レーザー照射になるため、日本では「クライマー」の技術開発を進めることにしたようです。

地上150mであれば無線が届く範囲ですが、それ以上の高度では自律して上昇できる昇降機が必要になります。

それはまさに「ロボット」。

宇宙エレベーターを実現するには、昇降機の製作、システム制御技術、気象観測など、幅広い分野の統合が必要です。

ロボットを作り、ただただ戦わせるのではなく、地上と宇宙をエレベーターでつなぐという、非常にわかりやすいミッションを通して、ひとりでも多くの若者が宇宙へと飛び立ってほしいと思います。

2009年8月には、国内発の「宇宙エレベーター技術競技大会」も予定されています。


※テザー  遠心力と重力の釣り合いにより静止軌道と地球を結ぶベルト状のワイヤー。
※クライマー  テザーを自力で上下する昇降機で、モーターと摩擦車を使った機構などが提案されている。
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2009年05月15日

宇宙へのインフラ

今月はじめ、日本初の「宇宙エレベーター」の公開実験が行われました。
「宇宙エレベーター」とは、地上と宇宙をエレベーターでつなぐ輸送機関のことで、「軌道エレベーター」ともいいいます。

アーサー・C・クラークのSF小説「楽園の泉」で広く知られるようになり、ロケットに変わる宇宙への輸送機として、実現が期待されています。

しかし、充分な強度をもつケーブル素材がないため、長らく夢物語とされてきました。

ところが1991年にNEC基礎研究所がカーボンナノチューブを発見すると、宇宙エレベーター実現の可能性がにわかに現実味を帯びてきました。

アメリカ航空宇宙局(NASA)も本格的な研究をはじめているようです。

宇宙ステーションに執心している日本(JAXA)では、いまのところまったく相手にされていないようですが、将来、実用化の芽が出てきたときには、大化けする可能性があります。

その理由として、
・カーボンナノチューブ
・ロボット技術
・リニアモーター
・システム制御
・精密機械
など、日本独自の技術が活かされること。
そしてなにより、大規模建造物としての土木・建設工事になること。

宇宙へのインフラ整備という21世紀前半の国家基幹事業になる可能性もあるやかもしれません。
(つづき)
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2009年04月08日

「モノづくりとしてのロボット」の片思い

先月発表されたロボット産業政策研究会の報告書

近い将来の市場化に向け早急に検討すべき「有望4タイプ」※の安全基準やルール策定の必要性を謳うと共に、
今年度16億円の予算でスタートする「生活支援ロボット実用化プロジェクト」や、国際標準化の主導、産業人材の育成の重要性などが取り上げられています。

ロボットの「モノづくり」だけでは市場が立ち上がらないことが、やっと共通認識されたのか、報告書では、介護福祉分野での厚生労働省との連携や、移動支援ロボットにおける国土交通省への協力依頼、またユーザーニーズに対応した付加価値の提供を強調しています。

とはいえ、
5年後、10年後にロボットやRT(いつの間にかロボテク)を用いて、具体的にどのような新しいサービスやシステム技術が生まれるのか、今ひとつはっきりしません。
そのため、報告書で否定しているにも関わらず、「はじめにモノづくりありき」の印象は否めません。

その「モノづくり」を進める上で注目したいのは、
複数存在する関係省庁の窓口を一本化する、ワンストップ窓口の提案。

現状では、ロボットを開発しても、関連法令への適否の判断をどこの窓口にすればいいのかわからない場合が多く、これまでもワンストップサービス的仕組みの必要性が言われてきました。

生活支援ロボットに多数関係する省庁といえば、やはり厚生労働省と国土交通省。
「モノづくりとしてのロボット」の片思いは、当分続きそうです。

※移動作業型(操縦中心)、移動作業型(自律中心)、人間装着(密着)型、搭乗型

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2009年03月10日

品行方正な夢のなさ

先日、10年ぶりに日本人宇宙飛行士が新に誕生しましたが、その選抜試験の様子がNHKで放送されました。

番組では、閉鎖環境施設に1週間過ごした10人の行動を心理学者などの専門家がモニターで観察し、宇宙飛行士の資質を見極める様子が映し出されていました。

そこで重視されたのは、

・リーダーシップ
・場を和ませる力
・緊急対応力 etc

宇宙船の船長となる人材を選ぶことが、今回の宇宙飛行士募集の主眼だったようです。

963人の応募者の中から最終試験に残ったのは10人。
職業はパイロット、医者、科学者など、世間的にはエリート層に含まれる人たちで、内実はともかく、外見的にも成績優秀、品行方正と思われる人たちでした。

「宇宙に行きたい」という子どもの頃からの夢にチャレンジする人に、なんの罪はないけれど、あまりにも「立派」な人たちが日本の宇宙飛行士の姿というのも、なんだか夢がないなぁ。

参考 : NHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた」

978日×3宇宙食 (2006.9.17)
月をみる (2006.10.6)
黒いヴェルベットのスクリーン (2006.10.20)
バブルの扇子は宇宙で花開く (2006.12.17)
男と女 U (2007.2.11)
宇宙を駆けるパブリシティ (2007.4.19)
地球の自然以上に宇宙が魅力的であることの証明 (2007.6.13)
必要なのは、宇宙日本酒 (2007.6.28)
宇宙トイレの活用法 (2007.7.8)
飲んだら飛ぶな 宇宙禁酒法 (2007.8.2)
「宇宙」と「音楽」の親和性とロボットの代表曲 (2008.2.6)
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2009年02月04日

栄光ある撤退

先日のNHKクローズアップ現代。

「意思が伝えられなくなったときは、呼吸器を外して死なせてほしい」。

運動神経が侵され、全身の筋肉が動かなくなる難病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)。
千葉県勝浦市で暮らす患者は、死を求める要望書をかかりつけの病院に提出しました。

病院は医師、臨床心理士、同じ病気の家族、教育委員会教育長など14名からなる倫理委員会を設置。
1年間にわたる議論の末、倫理委員会は昨年、倫理上の問題はないとして、全会一致で患者の意志を尊重すべきと判断しました。
『患者の意思を尊重しないことが「反倫理」になる。患者の意思の重みを大切にしてあげたい』と。

しかし、病院側は、患者が生死を選ぶ権利は認めながらも、現行法では呼吸器を外すと医師が自殺幇助罪等に問われる可能性があるとして、「患者の意思をどこまで尊重すればいいのか社会全体で考えて欲しい」とまだ結論を出さずにいます。

病気は情け容赦なく患者の機能を奪っていきます。

歩行ができなくなり、自ら食べることも、口を動かすこともできなくなり、今ではわずかに動く目と右の頬を使って、パソコンの音声により意思を伝えています。
今後、まぶたが開かなくなれば、永久に暗闇の世界に身をおくことになってしまうという「恐怖」。

その恐怖はいかばかりものか、思うだけで胸が締めつけられます。

「意思表示ができる間は最後まで生き抜く。しかし、意思が伝えられなくなったときは、呼吸器を外して、栄光ある撤退を認めてほしい」。

ゲストの柳田邦男氏は、「精神性をもった命の重みは刑法だけでは計りきれない。一人ひとり個別性のある生と死であるべきで、一律に選別すべきものではない。刑法を棚上げし、国レベルの第三者機関である倫理委員会を設置して、そこでとことん議論し、その議論をオープンにすることが大切。そして、一つの結論が出てもそれを判例とするのではなく、その後も「個別性」の事案として一つ一つ議論し、長い年月をかけて判断していくべきもの」と語り、そして、
「個別性のある生と死が日本人として、また社会にとってどんな意味があるのかを考えると共に、患者の苦しさを支えていくシステムや患者の精神性を讃える文化を育てていく必要がある」と述べていました。

現在、原因が不明で治療方法が確立していないなど治療が極めて困難な特定疾患は、ALSをはじめ、悪性関節リウマチ、ベーチェット病など全部で123疾患

果たして、難病患者にロボットテクノロジーはどう答えていけばいいのか。
深く、重い課題です。

ちなみに、脳血液量の変化を利用してYes/Noを判断できる装置が実用化されています。


番組:NHKクローズアップ現代『 “私の人工呼吸器を外してください”〜「生と死」をめぐる議論〜』(2009.2.2)
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2009年01月20日

リスクの実績主義と絶対主義

ニューヨークのハドソン川に緊急着水を行ったUSエアウェイズのエアバスA320型機。

ラガーディア空港を離陸直後に鳥の群れが衝突。2機あるエンジンの両方がほぼ同時に停止したことが墜落につながったと見られています。

今回、飛行時間1万9000時間以上というベテランパイロットの経験と力量が多くの人命を救ったわけですが、通常、航空機は飛行中にジェットエンジンのタービンブレードが部分的に破壊されても墜落を起こす可能は少なく、また、海水面に不時着しても1時間は水面に浮かぶよう設計されています。
こうした航空機の安全設計への信頼が、不測な事態でもパイロットが冷静に対処できた要因であったかもしれません。

2007年7月、経済産業省は次世代ロボット※1の安全性確保のガイドラインをまとめました。

今のところ、次世代ロボットが市場にほとんど出回っていないため、次世代ロボットの安全設計の基本はJISなどの安全設計に準じており、新しい商品が生まれたらその都度安全性を個別にチェックするという考え方。

しかし、次世代ロボットの技術的要因から生じるリスクについてはあらかじめ定めておく必要があることから、現在、安全関連部の構成部品の故障率、単位時間あたりの平均危険率などのデータを基にしたリスクの発生確率の基準づくりが日本ロボット工業会などで進められています。※2

「ヒヤリハットが度々報告されている。又は災害の経験がある」高いリスク(1/10000以上・10のマイナス4乗)から、「日常ではミスはほとんど起こりにくい」低いリスク(1/1000000未満・10のマイナス6乗)まで、危険事象の発生確率を4段階に分けて検討しています。

機械分野では、事故発生確率の最低リスクを1/10000000000000未満(10のマイナス13乗)にすべきという考え方もあるそうですが、理論計算上それをどう証明するか説明できないため、一般的には1/100000000未満(10のマイナス8乗)が一番低い数字とされ、鉄道では1/100000(10のマイナス5乗)に設定されています。

ちなみに航空機は、前年度の「10万飛行時間あたりの死亡事故件数」と「輸送実績1億人キロあたりの死亡乗客数」で次年度の安全設計目標を決める「実績主義」となっており、絶対的な安全設計=絶対主義ではないとのこと。
(つづく)

※1 次世代ロボットとは軍事、医療、極限空間、産業用ロボットを除く、サービスロボット全般のこと(人と協調する産業用ロボットは含まれる)

※ロボットビジネス推進協議会 安全対策検討部会 (部会長 池田博康・労働安全衛生総合研究所)


ロボットとリスクマネジメント(2006.2.2) 
「効用」のないロボットなんて(2006.5.23)
一日3機のジャンボジェットが墜落(2006.5.31)
シンドラーのリスク(2006.6.6)
シンドラーのリスクU(2006.6.8)
一日20時間、3年以上壊れないロボット(2006.8.9)
男と女U(2007.2.11)
日本の一番のアキレス腱(2007.3.11)
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2009年01月04日

ロボット・リサーチの罠とスーパールーキー

今年の箱根駅伝は、一人のスーパールーキーの快走とその活躍に刺激された部員たちの発奮により、東洋大学が初の総合優勝をしました。

企業が商品を開発・生産・販売する場合、大きく分けて「作ってから売り方を考える = プロダクトアウト」と、「購買者の視点、ニーズを重視する = マーケットイン」という手法があります。

ロボットは、良く言われているように、これまで極度な「プロダクトアウト」型の開発シーズ先行商品が多く、その結果、市場が立ち上がらない状態が続いてきました。

その反省から、ニーズ重視の「マーケットイン」型商品開発へと舵を切りつつありますが、数々の調査結果が示すように、一般ユーザーのロボットに対する要求は多種多様で、かつ汎用性が高く、しかも廉価であることなど、越えるべきハードルが極めて高い。

Ken Okuyama Designの奥山清行氏はその著書※の中で、方向性や目指すビジョンが見えてこないうちにニーズ調査をすることの危険性について、
「一旦リサーチして、「知ってしまった」ら、調査する前の「知らない」自分たちに戻ることはできない。情報には思わぬ力があるから、出てくるアイデアも影響を受けてしまう。
(中略)
今の時代、メーカーの技術力に大きな違いはない。違いが出るのは特色の部分で、そこで選ばれなければ、生き残ることは不可能だ。
特色をどう出すかも考えずにリサーチするのは、自殺行為に近い。まず自分たちの作りたいもの、作れるものを確認し、プロダクトの方向性を決める。それから、その方向性を軸にリサーチをかけ、結果に基づいて修正を加える。そうしなければ、ものづくりの世界で生き残る手段は、価格競争以外になくなる

また、
ものづくりとは、未来の顧客のために創造し、物語を売ることであり、常識ではなく、良識を持つこと。実用的で必要だから買うものではなく、「買いたくて仕方のないもの」を作る「覚悟」が大切
とも述べています。

一般ユーザーは必ずしも自分が欲しいものを明確に知っているわけではありません。
ロボットのような新しい製品やサービスは、やはり提供側が「メニューを提案」し、「ユーザーメリットを示す」必要があるでしょう。

一人のスーパールーキーの登場により、チーム全体が発奮し、総合優勝した東洋大学のように、まずは「買いたくて、仕方のない」スーパールーキーなロボットの登場こそ、ロボット市場全体を牽引していく、やはりそれが理想の姿のような気がします。

※「人生を決めた15分 創造の1/10000」(ランダムハウス講談社)

継承と変奏 (2008.11.3)
別次元のロボット(2008.8.23)
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2008年12月04日

ネットワークロボットの行方

ロボットがあらかじめ決められたプログラムだけではなく、その場の状況に応じて、自ら行動し、コミュニケーションを行うためにはどうすればいいか。

その答えの一つがインターネットを介して、膨大な情報をやりとりすることで、円滑なコミュニケーションや、機能のバージョンアップを図る、いわゆるネットワークロボットという考えですが、これが今ひとつ具体的なイメージが湧いてきません。

事実、例えば、ホームネットワークビューワなどと、なにが違うのか。

もちろん機械本体に「動き」があるということが最大の違いでしょうが、ロボットの手足がバタバタ動くだけでは、それがロボットでなければならない理由がわかりません。

先日発表された東京大学IRT機構の「思い出し支援技術」。

これは、ロボットと室内カメラが連携して、日用品をどこにしまったかを教えてくれたり、人の動作を見守ることで、例えば薬を飲んだことなどを教えてくれるというもの。

まだ応用例が少な過ぎて、今後の展開も未知数ですが、
見守りロボットが人の行動を画像データベースで管理して、ネットワークを介して検索。その結果を「動き」や音声、あるいはTVモニターの画面で伝えるという、ネットワークロボットの一つの方向性を示していました。
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2008年10月26日

シャクルトンの氷

月探査衛星「かぐや」による調査で宇宙航空研究開発機構(JAXA)は氷の存在が期待されていた「シャクルトンクレーター」について、地表に氷は見つからなかったと発表しました。

「シャクルトンクレーター」は、月の南極点にあり、アイルランドの探検家アーネスト・シャクルトンにちなんで名づけられたもの。

アーネスト・シャクルトンは、1914年にエンデュアランス号で南極に向け出航しましたが、南極大陸まで320kmの地点で氷塊に阻まれ、身動きが取れなくなります。
その後、氷の圧迫でエンデュアランス号が崩壊したため、徒歩とボートで約500km離れたエレファント島に上陸。
救済を求め、数名の隊員と共にボートで荒れ狂う南氷洋をサウスジョージア島を目指します。
1000km以上航海し、やっとの思いでサウスジョージア島に到着したシャクルトンは休む間もなく2名の部下と共に未踏の山脈を越えていきます。
そして遂に捕鯨基地にたどり着くと、エレファント島に残した隊員を救うため、外国の船を借り受け、全隊員の救出に成功します。

その想像を絶する苦難を思えば、たいがいの「困難」などなにほどのことでもない、といつも思います。

そんなシャクルトンの名を冠したクレーターです。
地中には必ずや氷は存在する、そう信じたい。


火星へ (2006.9.12)
結局のところ、最後は星か、無。 (2006.9.13)
月をみる(2006.10.6)
黒いヴェルベットのスクリーン(2006.10.20)

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2008年10月14日

ロボットの3Dとアンダーウォーター

ROBO_JAPAN 2008で講演したiRobot社会長のヘレン・グレイナー氏。

家庭用掃除ロボットの「ルンバ」と、爆弾処理ロボット「パックボット」のヒットにより、2005年にナスダックにも上場したiRobot社ですが、おもしろいのは初めから掃除と軍事に的をしぼってロボットを研究開発してきたわけではないということ。

1990年の会社設立以来、エンターテイメントから産業用までさまざまなロボットを開発した中で、「掃除と軍事が残った」というのです。

それだけにロボットビジネスに関して、グレイナー氏の考えは明確です。
3つのD、すなわちDULL、DARTY、DANGEROUS。

そして、ロボットビジネスで成功するための条件として、
・あきらめない持続性
・柔軟性
・顧客に耳を傾ける

を挙げました。

iRobot社は今年、水中のロボットを開発してきた企業を買収
今後、港湾の安全、海洋気象、資源探査などの水中の分野に取り組んでいくようです。


何か「ひとつ」役立つロボット (2006.2.18)
ルンバ格差 (2006.6.14)
殺しの烙印 (2006.6.15)
海の一攫千金ロボット (2006.7.17)
海底下のロボット対抗戦 (2006.7.12)
Do it yourself 系ロボット (2007.10.2)
戦士の顔 (2007.12.3)
クイックル先進国と、ルンバ (2008.4.28)

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2008年10月08日

「人の役に立つロボット」始動!

ノーベル物理学賞が発表された同じ日。
ロボットスーツ「HAL(福祉用)」のリース販売開始の発表がありました。

35年前に発表された論文が評価されるのに比べれば、だいぶ早いけれど、
それでも開発者の山海先生からすれば、ずいぶん長い助走の末、ようやっと離陸したという心持ちでしょう。

「HAL(福祉用)」は当初個人にではなく、福祉や介護施設向けにリースで販売され、今後ユーザーの声を反映した様々な改良と新たな展開がなされていくことと思います。

とはいえ、そのリース料金は月々、単脚タイプで15万円、両脚タイプで22万円。
年額にすると180万円と264万円です。
これは5年リースの場合なので、5年間使用するとそれぞれ900万円と1320万円かかることになります。

2006年4月の改正介護保険法の施行以来、多くの介護事業者はぎりぎりの経営状況が続いており、大和ハウス工業が販売を手掛けるとはいえ、リース料金の妥当性、特に費用対効果についてはやはり厳しく問われることになるでしょう。

しかし、重作業労働支援や災害現場でのレスキュー活動など、「人の役に立つロボット」として幅広い分野で様々な可能性のあるロボットスーツなだけに、事業として是非成功してほしいと強く思うのです。

今のところ、大和ハウス工業も長い目で考えているようです。
(つづく)
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2008年08月19日

日本のロボットが自ずと目指す先

北京オリンピックでのメダル獲得数は、開催国の中国はもちろん、韓国も日本を上回っています。(8/18現在)

三国は、体操、柔道、卓球など、得意種目がダブルこともあり、また顔も似ているので、ユニフォームや国旗がないとわからなくなることがありますが、競技スタイルはやはり少しずつ違うようです。

あくまで印象の部分もありますが、大雑把に言って、中国は「正確さ」、韓国は「がむしゃらさ」、日本は「美しさ」を追求しているように感じられます。

そして、上記プラス「独自の技術」に磨きをかけた選手が勝者になっているように思います。

今後、中国、韓国、また欧米諸国とロボットで競合するようになると、似たような特徴のロボットが出てくると思いますが、その時、日本が目指すべきは、やはり「美しい」ロボットでしょう。
それはデザイン的な美しさはもちろん、機能面でも独自性が感じられるロボット。

そう考えると、日本のロボットが目指す先は、自ずと「美しいヒューマノイド」に向かう気がします。

美しいロボット (2006.7.29)
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2008年05月31日

MRJもつらいよ

3月下旬に三菱重工が国産初のジェット旅客機・MRJ(三菱リージョナルジェット)の事業化を発表したとき、全日空から25機の受注が決まり、トヨタ自動車、三菱商事、三井物産などから300億円を超える出資を受けてのことであり、さすが政府が支援する国家プロジェクト、官民一体で順調にスタートするのだなと思ったのですが、
先日のNHKクローズアップ現代「国産ジェット 離陸への格闘」によると、そう簡単な話ではなかったようです。

MRJが参入する100客席未満のリージョナルジェット市場は、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルが市場を独占しており、ロシアや中国のメーカーも国をあげて参入を目論んでいます。

MRJの最大のウリは、燃費効率30%UPの高い経済性。
これは新型エンジンと主翼、尾翼に使用した炭素繊維複合材(強さが鉄の10倍で、軽さがアルミの6割〜7割)により実現したもの。

当初は欧米2社、国内2社の受注を見込んでいましたが、結果は全日空1社のみ。
しかも、その取引条件は「値引き+パイロット用意」。
また10機分はオプションのため、実質は15機とのこと。

事業が軌道に乗るには、少なくとも350機の受注が必要のため、前途は相当多難といえます。

航空会社の機種決定のポイントは、飛行機の性能や価格はもちろんのこと、運行後のメンテナンスやサポート体制の良し悪しが重要な要素となります。

ボンバルディア社では、航空会社からの修理要請や数100万点の部品供給に、技術スタッフが24時間体制で対応しています。

MRJもスウェーデンの航空機メーカーがサポートを行うようですが、いずれにしろ機体性能の信頼獲得、サポート体制の充実までには長い時間がかかるでしょう。

番組では、MRJが10年から15年の赤字を覚悟していると伝えていました。
それは航空機製造が技術の高度化を進める総合技術の固まりであり、それが日本の産業競争力を高めることに繋がるからとしています。

ホンダもソニーもなく (2006.12.15)
ロボットメーカーが鞍替えを決断する日 (2007. 7.5)
みつびし印のない大型科学技術プロジェクトはない (2007.10.12)
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2008年05月12日

ロボットのマイバッハ

(つづき)
ダイムラーの高級車ブランドのひとつ、マイバッハ

4モデル(約4500万円〜6000万円)が、2002年から発売されています。

装備や仕様はすべてオーダーメイド。
内装の化粧板をウッドから大理石にすることや、前席と後席を液晶で瞬時にさえぎるパーティションの設定も可能です。

マイバッハ・セールスセンターは1日1組限定の予約制で、オーナーともなれば専用のメカニックが入念に点検整備をしてくれるなど、世界共通の至れり尽くせりのサービスが受けられます。

しかし、任意保険の加入条件が厳しい(盗難のリスクが高いので)ことを除けば、代金を銀行振込みとする以外に特別な購入条件はありません。

日本では、昨年19台が成約となり、これまでに約130台が販売されています。(全世界では約400台)

もちろん、マイバッハに乗れる人は、限られています。
そして、ロボットを手に入れる人も限られています。

その違いは、明快です。

ロボットが高いから買えないのではなく、満足できるロボットがないから、買わない。

技術的な課題がゴマンとあるのは百も承知ですが、「ロボットのマイバッハ」を目指すロボットメーカーの登場は、果たしていつになるのでしょう。

参考 :
ロボットとCRM (2006.1.15)
プレミアム・ロボット(2006.1.18)
posted by カーサ at 10:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月23日

ロボットの効用のひとつに

柏市の商工会議所青年部は、柏を応援する「チアリーダーズオーディション」を先日実施しました。

18歳以上で、柏を応援することに興味があれば、誰でも応募できるということで、18歳〜50歳台までの女性18人が参加したようです。

審査基準は、地元愛、笑顔、明るさ、協調性など。
その中から10人が選ばれ、これから週2回の練習を積んで、柏祭りでのデビューを目指します。

街を応援するチアリーダーというのは、全国でも珍しいとのことですが、柏に限らずなんらかの形で地元を応援したいと思っている人はたくさんいるわけで、今後、他の地域でも増えていくかもしれません。

参加者の地元愛を満足させ、なにより、お金をかけずに話題となり、多くの人に共感される、とても良い企画だと思います。

ロボットが普及しないことのひとつの理由として、ロボットの効用がわからないというのがありますが、「人を楽しませ、街を元気にする」というのも、まぁありかなと思います。

参考 : 「効用」のないロボットなんて (2006.5.23)
posted by カーサ at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする