2006年12月26日

ロボットの国の予算

<つづき>
平成19年度の政府予算案が決まりました。

全体の歳出が抑えられる中で、科学技術関係費だけは1.1%増の1兆30億円。
18年度に比べて約140億円の増額です。

このうち宇宙開発関係費は経済産業省など7省合わせて37億円増。
これは全体増額約140億円の1/4を占めます。

その中でも文部科学省分だけが前年度プラスになっています。
そして文部科学省の宇宙開発予算1840億円のうち、JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)の予算は約1839億円。
その予算のほとんどは、すでに決定している科学衛星打ち上げや宇宙ステーション関係費で占められています。

それらをロボットと考えると、来年度のロボット予算は、かなりの額ともいえますが、
小惑星探査機「はやぶさ」や月周回衛星「セレーネ」の後継機の開発、外惑星を飛行するまったく新しい技術「ソーラー電子セイル」の基礎研究など、野心的なプロジェクト関係費はほんの少し。
関係者の歯軋りが聞こえそうです。

ちなみに経済産業省の次世代知能ロボットの初年度予算は19億円に決まったようです。

コラム参考 : エスの評価 (12/12)

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2006年12月12日

エスの評価

経済産業省で進めているロボット関連政策とプロジェクトは、現在、4つ。

@人間支援型ロボット実用化プロジェクト
(H17〜19年度) 8億6千万円 × 3年
A次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト
(H17〜19年度) 3億8千万円 × 3年
Bサービスロボット市場創出支援事業
(H18〜19年度) 4億2千万円 × 2年
C戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト
(H18〜22年度) 10億7千8百万円 × 5年

そして経済産業省が来年度概算要求しているのが「ロボットの知能化のための開発プロジェクト」で、初年度の予算額は21億円です。

この開発プロジェクトは、省庁を超えた科学技術政策の方針を決める総合科学技術会議(議長は首相、関係閣僚と各界の有識者14人が議員を務める)が、総額1兆円規模の概算要求の妥当性を審査し、優先順位をつける評価査定で、S評価(積極的に実施)になっています。

「ロボットの知能化」は、愛知万博に向けて行われた「次世代ロボット実用化プロジェクト」(H16〜17年度・約50億円)から始まった一連のサービスロボット実用化のための国の支援策のトリを担うプロジェクト。
予算としてそのまま通ればH19〜23年度 21億円 × 5年。

H16〜23年度の8年間に経済産業省が実施するサービスロボット関連支援策の総額は、単純計算で、
約254億5千万円。

国民が納得するロボットが本当に登場するのか、S評価の本当の真価が問われるのはこれからです。
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2006年11月26日

最難問 人のin + novare

<つづく>
現在、日本をはじめ世界各国で科学技術やイノベーションをめぐる政策がはじまっており、研究開発への投資が拡大しています。
日本も今後5年間で総額25兆円を費やす計画です。

そこで肝心の「イノベーション」の定義ですが、
ラテン語のinnovare(新たにする)が語源。

単なる「技術革新」という狭義の概念ではなく、
社会のシステムや制度を含めて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすこと

安倍内閣が進める「イノベーション25」の意味合いについて、安倍内閣特別顧問の黒川清氏が産官学連携サミットで明確に答えています。

『20年先の細かな科学技術を予測することにはあまり意味がない。
「イノベーション25」とは、技術革新のことだけでなく、イノベーションを行う人材、システム、風土を作ること。
つまりイノベーション創出のカルチャーを作っていくことが大事である
』と。

つまり、技術だけが新しくなるのではなく、人のこころの内も変わらなければならないわけで、
イノベーションを興す文化を育む必要があるということ。

人のIn(内部を) + novare(変化させる)、難問ですね。
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2006年11月24日

非侵襲ロボティクス

<つづき>
現在早稲田大学には、人文、社会、情報、科学などのプロジェクト研究所が約140あるそうです。(有名なヒューマノイド研究所もそのひとつ)

それらプロジェクト研究所を統括しているのが「総合研究機構」。
その研究成果報告会が行われました。

テーマは、ロボットに関わる医療、福祉、安全、倫理について。

この中で、これからの医療ロボットは、患者や医師の負担を最小限にする低侵襲化がますます進み、
小型で知的なロボットによるカテーテルのような「非侵襲治療」になると指摘。

脳腫瘍手術も「歯医者の虫歯治療」のようなイメージだそうです。

長生きはしたいものですね。

早稲田大学は高度な先端医療を発展させるため、東京女子医科大学との医工連携を進めています。
<つづく>

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2006年11月23日

大学病院プラットフォーム

慶応大学と共立薬価大学との業務提携の発表がありました。

先日開催された産学官連携サミット
講演者の一人、東京大学総長の小宮山宏氏が東京大学で進めている「病院を中核にしたイノベーション」について、軽く触れていました。

病院は、病気の治療(医薬)はもちろん、経営(経済)、安全(法律)、食事(農)、医療器械・建物(理工)、 サービス(文)とさまざまな領域にまたがる社会の縮図。
大学が病院を持っていることを最大限利用して、「大学病院をプラットフォーム」にした先端医療産業の創出を目指すそうです。

東大が大手企業7社と進める「少子高齢化社会と人を支えるIRT基盤の創出」でも大学病院でロボットの実証実験をすることでしょう。

また、病院を持たない東京工業大学でも低襲侵組立式手術ハンドや縫合器などの手術支援ロボットを東京医科歯科大学と協同で開発を始めています。

今後、理工系大学と医科系大学、また総合病院との医工連携がますます強まっていくようです。
<つづく>
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2006年11月16日

同じ轍は踏まぬよう

NHKで深夜放送された「史上初!ハイビジョン生中継 LIVE宇宙ステーション」。
なんだか気が抜けたビールのような、だらっーとしたものに終始しました。

宇宙ステーションからの映像は、国際宇宙ステーション(ISS) → 中継衛星 → NASA → NHKを経て、各家庭に送られます。

番組冒頭では「生中継まで後○○分」とカウントダウンしながら、中継の調整に時間がかかったため、ゲスト出演者のつまらないトークで「場」をつなぎ、だいぶ遅れてスタート。
中継中も映像や音声がしばし途切れ、そのたびに興ざめ。
生中継にこだわったことが裏目に出てしまいました。

またハイビジョン映像は、美しい地球の姿を映すには良いのですが、ISSの雑然とした室内や味気ない食事場面、普通のポロシャツを着ている宇宙飛行士の姿など、「宇宙生活ってこんなものか」と思ってしまった人も多かったのではないでしょうか。

そして、子供が見ていることを意識したゲスト出演者のピンボケ質問や日本人宇宙飛行士のおもしろみに欠ける優等生的受け答えも、なんだかなぁな感じ。

来年から建造がはじまる日本の実験棟「きぼう」の紹介も兼ねての今回の試みだったと思いますが、宇宙への夢やISSへの期待を抱くというより、単にハイビジョンの宣伝だったという印象が残ります。

多くの子供たちが寝ている時間帯だったことが、かえって救いだったかもしれません。

TV放送は、宇宙を一気に身近な存在にしてくれます。
それだけに、来年予定されている月周回衛星「セレーネ」のハイビジョン放送で同じ轍を踏まないようにと、願います。

参考コラム : 黒いヴェルベットのスクリーン (10/20)
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2006年10月31日

海底ふたり

<つづき>
これまで月面に降り立った人類は、12人。
そしてエベレストに登頂した人数は、1200人以上。
では、もっとも深いマリアナ海溝に舞い降りた人類は・・・

たった二人、だそうです。

陸上の平均高度840mに対し、海の平均深度は3795m。

海中では電波が届かないため、水中機械を遠隔操作するには直接ケーブルで繋ぐか、伝送速度の遅い音響通信に頼るしかありません(毎秒1500m。月に電波が届く倍以上の時間)。

深い海は、闇に包まれた暗黒の世界。

それゆえ自立型ロボット(AUV)の活躍の場でもあります。

AUVを使って南極の氷の下を横断する計画もあるようです。
ロボットにしかできないチャレンジですね。


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2006年10月24日

ロボット普及の前倒し

10月になるとクリスマス商品が、おもちゃショップや雑貨店などで数多く見られるようになります。

年々早くなるクリスマス商戦ですが、最近は正月もバレンタインも前倒し傾向で、肝心の当日には、もうイベントは終わってしまったような雰囲気。
今日から実施される番号ポータビリティ制も同じかもしれません。

その点、「科学技術の前倒し」という話はめったに聞きません。

リニアモーターカー、超音速旅客機、核融合発電など巨大プロジェクトに代表される巨額の予算を使いながら、コトが計画通り進まない印象のほうが強いです。

「ロボット技術戦略マップ」によれば、ロボットの本格普及は2025年頃。
少しでも前倒しされることを期待したいですね。

参考コラム : 「市場規模0円」 (8/7)
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2006年10月14日

大きな一歩、でもカケヒキジョーズには気をつけて

<つづき>
日本は、ロボット用ミドルウェアの日本主導による国際標準化を進めるため、ソフトウェア技術に関する非営利国際標準化団体OMGに加盟し、アメリカと協力して原案を作成。

それが今回、OMG標準仕様案として採択されました。

OMGでの標準化へのプロセスは、OMGメンバー間でアイディアを出し合い、議論を通して共通認識を作り、その理解者を増やすことで合意を目指すというもの。

今回は日米を中心に韓国とも協力して、標準化仕様案を策定したようです。
それだけに、欧州諸国の反応が気になります。

というのは、国際的な標準化のお墨つきを与える団体といえば、各国の代表的標準化機関が参加する、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)があり、そこでの標準化案審議が欠かせないからです。

OMGの標準化案に、欧州諸国が対抗案を出してくる可能性も考えられます。

日本は過去、ISO9000や14000シリーズといった標準化策定で、いいところをほとんど欧州に持っていかれたという苦い経験を持っています。

いくらロボット技術で先端を走っていたとしても、標準化で足元をすくわれてはたまりません。

OMG標準化はとても大きな一歩だと思いますが、カケヒキジョーズな欧州諸国に土壇場でひっくり返されぬよう念には念を入れて、取り組んでいってほしいと思います。

国の力量も問われますね。

ちなみにOMG仕様案は2007年秋、標準仕様文書としてOMGのホームページで公開され、誰でも無料で、仕様に準拠したソフトウェアを自由に開発、販売できるようになるようです。

posted by カーサ at 09:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

ロボット普及のキモ

先日、日本の提案をベースにした「ロボット用ミドルウェア」の国際標準仕様原案が国際標準化団体OMGで採択されました。

ロボット用ミドルウェアとは、ロボットシステムの機能(センサ、モータなど)の通信インターフェースを標準化して、ユーザのニーズに合わせたロボットシステムを構築する基盤技術のこと。

標準仕様のソフトウェアがあれば、どの企業で作られたロボットモジュールでも、それを組み合わせてロボットシステムを作ることができるようになります。

現段階では、ロボットの構成要素とソフトウェアの開発が企業や研究機関で個別に行われているため、相互共有が難しく、また膨大な経費もかかることから、効率的なロボット開発のネックとなっています。

ロボット技術の標準化が進めば、共有化によるロボット開発のコスト削減ができ、多くの新規企業の参入や多様な生活支援ロボットの低価格商品化などが期待できます。

今後はこの標準仕様を基に、音声認識、画像認識、位置認識など様々な機能を持つモジュールの標準インターフェースの策定が進められる予定とのこと。

まさに、ロボット普及のキモ、といえます。
<つづく>




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2006年10月06日

月をみる

今年のSEATECで一際目立ったのは、大型のフルハイビジョン対応テレビ。
鮮やかな色彩をきめ細かく再現し、くっきりとした黒を際立たせる画像はとてもきれいです。

惑星探査機が撮影した太陽系の写真集「BEYOND」。
太陽、月、金星、水星、火星、小惑星、木星、土星、天王星、海王星の美しい姿を観ることができます。

特にお気に入りは、ボイジャーによる土星の写真。

精緻な工芸品のようなリングの美しさは、ただただ魅入るばかり。
間近で見ることができたならどれほど感動するかと思います。

2007年夏、日本初の月探査機「SELENE(セレーネ)」が打ち上げられます。

それは2007年最大のサイエンス・トピックになることでしょう。

というのもSELENEには、NHKのハイビジョンカメラが搭載され、月や宇宙の映像を生で観ることができるからです。

青い地球をバックに漆喰の闇に浮かぶ月の姿は、さぞかし美しいことでしょう。

宇宙への夢がふくらみます。

ちなみに写真集「BEYOND」に、冥王星の写真はありません。
資金難でボイジャーが到達できなかったというのが真相のようですが、冥王星が惑星から除外された今となっては、なんとも皮肉な話です。

参考コラム : 壮大だけど、実に人間くさい話 (8/23)
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2006年10月01日

人に役立つロボット最前線

10月1日は、赤い羽根をつけた人やピンクのリボンをつけた人を街中で見かけます。

先日開催された、「国際福祉機器展」。

10月1日が「障害者自立支援法」の施行日ということもあり、利用者の自立を支援し、介護する人の負担を軽くする福祉用具、要介護者にならないための介護予防器具が数多く出品されていました。

介護が誰にとっても人ごとでない時代。

それでも福祉用具の市場規模は、1兆1千8百億円余り、2000年度からほとんど横ばいだそうです。※

「障害者自立支援法」により、補助具の利用者負担は1割に、また日常生活用具は市町村で対応できるようになり、あらたな市場の開拓が期待されています。

介護福祉は今後、清掃・警備と並びロボット化が期待されている分野。
人に役立つロボット」の真価が問われる最前線でもあります。

しかし、世界一の癒し系ロボット「パロ」でさえ、介護保険の対象とならない実情をどう打破していくのか、じっくりと見守っていきたいと思います。

※日本福祉用具・生活支援用具協会調べ
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2006年08月16日

後は「やるだけ」

<つづき>
「ロボット技術戦略マップ」の成果報告書では、
@産業用ロボット
Aサービスロボット
B特殊環境用ロボット
CRT関連応用技術
それぞれについて現状把握と問題点、実用化に向けてのロードマップを作成して、将来を見据えた「ミッション型開発」を提案しています。

また、
・生活の中でのロボット利用についてのアンケート
・シェフロボット、高齢者支援ロボットなどの利用が想定されるユーザ企業(ファミリーレストラン、マンション管理サービスなど)へのヒヤリング
・2015年のRT社会のイメージ

など、
延べ140名の専門家による、事細かな分析と将来像が描かれています。

もちろんこれらの実現に向けては、ロボット単体だけでなく、ロボットが動き易い環境作りや社会インフラの整備も同時に進めていく必要はあるでしょう。

また世の中の動きに配慮した修正を加え(ローリング)、今後も引き続き戦略の制度を高めていく必要もあるでしょう。

そして、時間もかかるでしょう。

でも、後は「やるだけ」。

技術者、研究者はもちろんロボットに関わるすべての人が、
がむしゃらな気持ち強いプロ意識をもって、「人に役立つロボット」を、
「やるだけ」です。
posted by カーサ at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月14日

どれも大事。でも市場ニーズがあるのは・・・

<つづき>
災害レスキュー、原子力プラントメンテナンス、宇宙・海洋などの特殊環境下は、ロボットの活躍がもっとも期待され、またロボットの存在意義が一番明確になる分野。

人間にとって危険な状況を避けるところに、そのニーズがあります。

ただし、技術の高度化による我が国の産業競争力向上には貢献するものの、いずれも「特殊な環境」なだけに、ユーザは限定されがち。

そんな中、市場ニーズもあり、またユーザも多いのが、建設・土木の分野。


建設物解体時の作業員の安全や危険物の飛散防止、廃棄物処理に伴う分別・再資源化など、日本のいたるところに「人間にとって危険な」 = ロボットが活躍できる、「作業現場」が溢れています。

技術的困難さやコスト的課題など多くの問題は、もちろんあるでしょう。
また脚光を浴びる災害レスキューロボットなどの必要性にも異議はありません。

でも、裾野の広さと影響力、また市場ニーズを考えたとき、「特殊環境」におけるもっとも重視すべき分野は、きっと地味な「建設・土木」でしょう。
<つづく>]


posted by カーサ at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月13日

クルマを売って、ロボットを買う

<つづき>
これからの日本の大きなテーマ、「少子高齢化」。
その解決策のひとつとしてロボットが期待されています。

特に高齢者の自立した生活を支援するための「察し」「気が利く」ロボットが求められています。

成果報告書ではその具体例として、
高いところにある棚の箱の上げ下ろし、天井の電灯の交換、重いゴミや新聞紙の外出し、電気器具の使い方説明など、
わざわざ人を呼び出すほどではないが、何らかの困難の伴う作業
をロボットができることをあげています。

つまり「気兼ねなく頼める」ロボット。

子供や他人になど迷惑をかけたくない、自立した老後を過ごしたい。
誰もが願うそんな生活ができるのであれば、100万円のロボットの出費など安いものでしょう。

クルマを売って、ロボットを買う。そんな高齢者も多くなるかもしれません。

そうでなければ、現在大半の人がロボット利用で考える※「現実価格」から、なかなか抜け出せないのではと思います。
<つづく>

※「生活の中でのロボット利用について」のアンケート結果によれば、半数以上の人が妥当として挙げている金額。
 ロボット購入、10万円〜20万円。
 レンタル利用、時間1000円。






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2006年08月09日

一日20時間、3年以上壊れないロボット

<つづき>
現場で30年の使用実績があり、6000億円の市場規模がある産業用ロボット。
その次世代型産業用ロボットが目指す方向性は、大きくわけて2つ。

ひとつは、自動車生産に代表される組立て作業の完全無人ロボット化。
もうひとつは、人とロボットとの作業分担又は協調作業。

どちらもロボットによるセル生産を念頭に置いています。

セル生産とは、一人で全部あるいはほとんどすべてを作り上げるやり方で、現在は多能工が行っている作業を、ロボットが長時間連続で行うことを想定しています。

今後、組立て部品の移動や移載、柔軟物のハンドリング、人の作業支援などをロボットが単独で、又は人間と協調して行えるようになれば、
自動車のような大工場だけでなく、中小の工場でも幅広く活用することができ、産業界の競争力をより高めるられると期待されています。

また、安全基準さえまだ定まっていないサービスロボットを考えるとき、
ロボットセル開発の意義はとても大きいと思われます。

@現場で30年使用されてきた実績がベースにあること
A工場内という隔離されたスペースでの使用(基本的に関係者のみ)
Bプロ作業員との協調作業(扱いに慣れない素人ではない)
C二足歩行である必要性が無い(床が平ら)
Dナビゲーション、ユーザインターフェース、環境とのインタラクションなど機能強化
E企業間取引(B to B)であること(コンシューマ向けではない)
F使い勝手を試すことで、サービスロボットへの応用

他にもメリットはあるでしょうし、また逆に教示やコストなど、いろいろ問題点もあるかとは思いますが、
サービスロボットのブレークスルーにとって、
この次世代型産業用ロボットの普及はとても大きなカギを握っていると思います。
<つづく>

◎参考
 現在、産業用ロボットの平均故障間隔は、2万時間。
 一日20時間動かして、3年以上も壊れない計算になります。

 これは、液晶テレビのバックライト寿命(約7年)や自動車の走行距離
(5年10万キロ)に相当するそうです(稼働時間比較)。
 しかもロボットは1台3〜10本の腕を使って休まず働くことができるため、
 成果報告書では、
 今後10年で、100万台のロボットセルの導入を提案しています。
posted by カーサ at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月08日

製造極限生活

<つづき>
「ロボット技術戦略マップ2006」のポイントは2つあります。

ひとつは、
生活支援分野に限定していた調査を、製造技術、極限作業(原子力、災害など)、ロボット以外の製品分野(自動車、住宅など)にも拡げた点。
ロボットの適応分野の拡大をめざしています。

もうひとつは、
将来、必要とされるロボットシステムは何かを明らかにするため、ミッション指向の取り込みをベースにしたこと。

ミッション指向とは、
「真剣にロボットの導入を検討している具体的なニーズを持つユーザから情報をとり、それを解決するための技術を明白にする」こと。

技術のための技術ではなく、ちゃんと市場を意識していきましょうよ。
助成金は出しました、作ってもみました、でも誰も使いません、だから製品にもなりません。そんなことはもうやめましょうよということ。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、このロボット技術戦略マップを踏まえ、
将来の市場ニーズ及び社会ニーズが高いと考えられる
「製造技術分野」、「生活支援分野」、「極限作業分野」で、
具体的な用途を行うロボットの技術開発を支援する
戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」を今年度から5年間かけて実施。
応募申請された43件の中から委託先17件を決定しています。

今年度の事業規模は10億7800万円

ちなみに3年後に中間評価を行い、もっとも成果の上がった開発者だけを引き続き重点支援するステージゲート制を導入しています。

ふるい落とされた委託先は助成金を返金する、くらいの気持ちでなんとしても市場ニーズを満たすロボットの技術開発に取り組んでほしいと思います。
<つづく>

参考項目 : チャレンジングなミッション (4/21)
ロボット適応分野の拡大、或いは市場失敗に備えて (4/24)

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2006年08月07日

市場規模0円

先月、経済産業省で行われた「ロボット技術戦略マップ2006 成果報告会」。

現状のロボット技術の課題と2025年までのロボット技術の方向性について、下記分野ごとに報告がありました。

@生活支援分野
A製造技術分野
B特殊環境分野
CRT(Robot Technology)の他分野への応用
 <A〜Cは今回追加調査(ローリング)が行われたもの>

当日配布された220ページを超える「成果報告書」。

その冒頭、
生活支援分野における2025年の市場規模予測 4兆円に対して、

「・・・この統計が現実のものになるには、人手を代替できる具体的なロボット製品が開発されることが前提になるが、現時点では、
そのようなロボットを開発すべきという期待は存在するものの、まだ、具体的な製品は存在しない

したがって、統計が示す将来のロボットの市場規模は、期待の上限値と解釈すべきで、適切なニーズに答えるロボットが開発されない場合は、
市場規模0円もありえることに留意する必要がある・・・」

とノッケからシビアな現状認識を示しています。

なんだか夏休みに出された難しい宿題を前に考え込んでしまう子供のように、ちょっと気が重いのですが、
この報告書のポイントと僕なりの感想を述べていこうと思います。
<つづく>

技術戦略マップとは

経済産業省が、産官学約400名の知見を集めて、原案を作成。
新産業のために必要な技術目標や製品・サービスの需要を創造するための方策を示したもの。
ロボット、宇宙、がん対策など市場や社会ニーズ実現に必要な24の技術分野を取り上げており、
@導入シナリオ A技術マップ B技術ロードマップ
の3部構成で、研究開発の成果が世の中に出て行く道筋を示す。
定期的に見直す(ローリング)ことで情報の質と制度の向上を目している。

参考項目 : 「市場」としてのロボット (5/20)
       「効用」のないロボットなんて (5/23)


posted by カーサ at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月16日

ハワイまで3時間

<つづく>
先日、知人がハワイに行ってきました。
あらためて驚いたのは、その飛行時間(往7時間、復8時間)。
25年前と変わらないのですね。
インターネットや携帯電話がこれほど普及し、科学技術も日夜進歩しているのに、飛行機の飛行速度は25年前とほとんど変わらない。

空の旅の安全性、快適性(食事、TVモニターやシートの座り心地など)の向上はうれしいことですが、それでも目的地に早く着くに越したことはないわけです。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、旅客機の国産化を目指し、今後次のようなシナリオを描いています。

@2015年頃までに環境に配慮したエンジンの開発と高性能小型航空機の運行

A2020年頃までにマッハ2クラスの超音速旅客機(SST)を国際協同開発して、太平洋を5時間で横断

B2025年頃までに極超音速無人実証機を開発して、マッハ5クラスの技術を実証

Cその極超音速技術を宇宙輸送に展開

SSTやリニア新幹線の話は、僕が子供の頃から一向に実用化されない代表的な科学技術。

科学技術創造立国を目指す日本は、科学技術関連予算を毎年大幅に増加させます。
その見返りとして、これまでの「研究のための研究、技術開発偏重」から利用者ニーズにあった「技術成果の社会還元、社会貢献」に大きくシフトします。

宇宙・航空分野も「宇宙・航空の利用、産業化」と国民に「成果が見える」ことが求められています。

JAXAもそれで目覚めたのでしょうか。
一時期のどん底の不振がウソのように次々と人工衛星打ち上げに成功しており、小惑星探査機「はやぶさ」や地球観測衛星の「だいち」など目に見えるすばらしい成果を挙げています。

そして尻に火がついたように今後、
月周回衛星の打ち上げ、宇宙ステーションの建造、そして2025年頃の月探査実現など怒涛の長期計画をぶちあげています。

アメリカの15分の1の宇宙開発予算を少しでも維持拡大するためには、国民の合意と支持がどうしても必要です。

そのためにも、ハワイまで3時間で行かれる日が早くきてほしいものです。

参考項目 : 残された10年(6/12)
posted by カーサ at 13:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月12日

海底下のロボット対抗戦

<つづき>
日本の国土は、世界で60番目の大きさですが、領海と排他的経済水域を合わせると世界6番目になる海洋大国です。

先月、文部科学省より今後10年間の深海探査技術の開発計画が発表されました。

それによると、
・地球深部探査船「ちきゅう」を使って、海底4000mの深さから地球深部7000mを掘り進み、マントルの地質試料を取得する
(現在の地球深部記録は2111m)

・新型の深海巡航探査機で、3000kmの連続航行と深度6000mの無人探査を行う
(現在の連続航行記録は317km)

・新型の大深度高機能無人探査機(深海作業ロボット)を使って、深度7000mでの地震計やケーブルの設置・修理、また微生物の試料採集を遠隔操作で行う

などの「海洋地球観測探査システム」を今後約350億円をかけて推進していくようです。

海面下の観測は、地球温暖化や地震のメカニズムを知る上での貴重なデータとなり、また海面下の微生物の採取は、医療や他分野への応用が期待されます。

しかし、なによりポイントは、
この「海洋地球観測探査システム」が安全保障に貢献する「国家基幹技術」のひとつに位置づけられている点です。

つまり、日本の排他的経済水域を高性能ソナーや各種センサーを駆使してくまなく探査することで、精密な海底地形図を作り上げ、将来のエネルギー源として期待されるメタンハイドレートなどの資源探査を実施することにあります。

竹島、尖閣諸島、沖ノ鳥島周辺海底下で、日中韓台4ヶ国によるエネルギー安全保障対抗戦が始まっています。
<つづく>

※15日から公開される映画「日本沈没」に、地球深部探査船「ちきゅう」も出ているんですね。
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