2006年07月11日

陸・海・空 ロボット

先日、対人地雷に関する発表展示会に行ってきました。

内戦や戦争で埋められている対人地雷は世界で1億個以上。
毎年1万5千人にのぼる犠牲者が出ています。

実際の現場は、安全な地帯と地雷原とが明確にわかれている場合が多く、最近では大型重機で地雷を爆破させた後、金属探知機と地雷犬を使って最終確認を行っているそうです。

日本は2002年から「人道的な観点」から地雷の探知・除去の技術研究開発をスタートさせ、これまで地雷探知車などを開発、実証実験を行っています。

荒れ地やぬかるんだ大地では概ねよい結果が出ているようですが、草木がうっそうと生い茂った土地での探知は、今後の課題のひとつ。

また最近の対人地雷はプラスチック製が多くなり、金属探知機で検知できないことがあるため、電磁波や中性子を使った「爆薬自体を直接探知」する技術の開発が進められています。

地雷探知・除去は、「人に役立つロボット」の開発であり、また誰もが納得する「目に見える国際貢献」でもあるだけに、コスト面も含めはっきりした成果が挙げられることを期待しています。
<つづく>
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2006年06月12日

残された10年

ロボットの新製品発表会に行くたび、その「実力」以上に多くのメディアが取材に来ていることに驚かされます。
ロボットが「絵になる」ということもありますが、ロボットへの「期待」の表れでもあるのでしょう。

先日、経済産業省が発表した「新経済成長戦略」。
人口減少下でも国が「成長」を続けていくためのシナリオを提起しています。

成長のためのキーワード は、「イノベーション」。
「世界のイノベーションセンター」として、ヒト、モノ、カネ、ワザ、チエの構造的施策の重要性を強調しています。
そして、燃料電池、ロボット、情報家電などの戦略重点分野への集中と加速、双方向連携の「イノベーション・スーパーハイウェイ」構想を宣言しています。

インターネットや携帯電話で情報が飛び交い、ロハスや農的生活を求める人が増える中、人々のニーズが一体どこにあるのか、欲っするものをほとんど無理やり探しつづけなければならない今の日本にあって、
ロボットは、スポーツ、宇宙と並び、人々の「ハートに火をつける」存在として、今後も注目を、集めるでしょう。

そして国の重要戦略分野として、ロボットの研究開発に予算が重点的に振り向けられます。
それは、多額の税金が使われるということ。
ロボットに向けられていた優しいまなざしが、いつ厳しい目つきに変わるかわかりません。

「新経済成長戦略」では、イノベーションを進めるこれからの10年を
明るい未来が来ることを示す残された10年」と述べています。

ロボット開発の本当の「実力」が問われます。
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2006年06月02日

4つの将来のゴール

<つづき>
経済産業省が4月に発表した「技術戦略マップ2006」。

情報通信、ライフサイエンス、環境・エネルギー、製造産業の4つの分野について、現状把握と向こう30年に渡る、新しい技術の導入シナリオ及び技術ロードマップが、300ページを超える分量で事細かに記述されています。

ロボット、宇宙、ナノテクなどを扱う製造産業分野で、「人間生活」という項目があります。
これは、「健康寿命80歳」を見据えての、人間の感性や生活空間と親和する技術革新について扱っており、誰もが安全・安心で健康に暮らせるための「4つの将来のゴール」を設定しています。

その4つの将来のゴールのひとつが、「安全快適なモビリティーの実現」。
それは、「乗ると元気になるモビリティーがあり、誰もが安全、快適かつ省エネで自由に移動することができる社会」を目指すというもの。

ここで重要なのは、移動する手段が「車」ではなくて、「モビリティーとしているところ。

高齢になっても、誰もが健康で生き生きとした生活をおくることを望んでいます。
肉体や感性の衰えがあったとしても、それを技術が補い、自由に移動できる手段(モビリティー)があれば、家に引きこもってしまうことも少なくなるでしょう。

機械に人を合わせるのではなく、機械が人間に親和すること。

昨年トヨタが発表した「i-swing」は、「安全快適なモビリティー」を具現化したものと思われます。

ロボットの要素技術は、ロボット単体だけでなく、人々の暮らしを豊かで幸せにする技術として、家やクルマ、環境など様々な分野にどんどん取り入られていくでしょう。

ロボットと暮らす上質で新しい生活、「ロボティック・ライフスタイル」は、静かに、そして確実に始まっています。
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2006年05月31日

一日3機のジャンボジェットが墜落

<つづき>
1970年に16,000人を超えた交通事故による死亡者数は、35年をかけて7,000人を割るまでになりました。その反面、事故件数は増加傾向にあり、100万件近くに上っています。

先日、開催された「人とくるまのテクノロジー展2006」。

第三期先進安全実験車プロジェクト「ASV-3」(Advanced Safety Vehicle)のデモンストレーションをはじめ、最新技術モデル車の展示(トヨタ・エスティマ、ホンダ・シビックなど)を通して、これからの「安心・安全」技術をわかりやすい形で紹介していました。

併催セミナーで講演された芝浦工業大学の古川修氏によると、

交通事故原因の58%はドライバーの認知ミスによるもので、判断ミスが23.5%、操作ミスが17.5%。
これらのミスを少しでもなくすためには、自律型先進運転支援システムと協調型運転支援システムとの連携が重要だと述べていました。

つまりクルマと道路(環境)の知能化が共に必要で、車と車、路と車、歩行者と車の「インフラ協調システム」の研究を現在進めているそうです。

ただし、ドライバーがシステムに依存してしまってはいけないので、システムによる効果との兼ね合いが難しく、事故低減効果の評価手法の確立を今後の課題に挙げていました。

また、トヨタ自動車の井上秀雄氏によると、

衝突安全、自律型予防、インフラ協調システムが実現すれば、交通事故を現在より60%低減できるだろうということです。

ちなみに、交通事故による死亡者数は先進国で10万人、世界では50万人。
これは1日3機のジャンボジェット機が墜落しているのと同じ数だそうです。

毎日こんなに死傷者が出ても社会的に受容されるのは、例えリスクがあっても
車が、便利で、役に立ち、効用がある、と人々が認めているからです。

自律型ロボットもそうなっていくのでしょうか。
<つづく>

参考項目 : 「効用」のないロボットなんて(5/23)


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2006年05月23日

「効用」のないロボットなんて

<つづき>
ロボット政策研究会の報告書は、昨年の中間報告で取りまとめられたことを踏まえて、市場環境、安全性、技術開発の3つを柱に構成されています。

特に「安全性確保」に関しては、資料編での事例を含め、かなりのページを費やしています。

トヨタや松下電器など大手メーカーが表だってロボットの開発を発表しないのは、技術的なことプラス、なによりもこの「安全性確保」がまだなされていないことにあります。

安全性の確保は、今後、法律も含め時間をかけて整備されていくことと思いますが、報告書では、ロボットの安全性の検討にあたっては、
ユーザーがサービスロボットを使うことにより、効用を感じるからこそ、その代償としてリスクを受け入れる
ということを認識すべきとしています。

つまり、研究のためのロボットの安全性を検討するのではなく、ロボットが現実に使われること、つまり「効用」があることを前提に安全性も考えるべきとしています。

服用されない薬について、その安全性をいくら研究してもあまり意味がないというのと同じかもしれません。

参考 :
ロボット適応分野の拡大、或いは市場失敗に備えて(4/24)
チャレンジングなミッション(4/21)
posted by カーサ at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月20日

「市場」としてのロボット

先日、ロボット政策研究会の報告書が発表されました。
今後のロボット政策についてとてもわかりやすくまとめられています。

まず、ロボットを
「人間の活動領域を拡げうる技術・製品」と位置づけ、
そして、
「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」のことを「ロボット」と定義しています。

「ロボット」のイメージは、「検索ロボット」から「ヒューマノイド型ロボット」まで非常に幅広く、これまでもいろいろな定義づけがなされてきたのですが、
ここではロボットを「カタチ」ではなく、

市場で必要とされる機能を発揮するために要素技術を統合したもの」

として、3要素あれば自動車や情報家電もロボットとみなし、ロボットを広い視点で捉えていこうとしています。

これは、ロボットの市場を拡げていく上でとても大切な「見方」です。

この定義を踏まえ、報告書は今後のロボット政策の方向性に関し、
@市場環境の整備
A安全性の確保
B具体的な用途を想定したロボット技術開発
を提言しています。

<つづく>

ちなみにロボカーサ・ドットコムでは、
「ロボット単体のイメージにとらわれることなく、人間の要求や環境によって作動、または人間の行動を自動的に支援する商品」
としてのロボットを紹介し、車、家を含めた空間のロボット化や人間のロボット化により、今後我々の暮らしはどう変わっていくのかについて取り上げています。


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2006年04月24日

ロボット適応分野の拡大、或いは市場失敗に備えて

<つづき>

家庭用のロボットを分類すれば、   <( )内は代表的なロボット>

@エンターテインメントロボット(AIBO)
Aホビーロボット(KHR-1)
B見守り・監視ロボット(ロボリア)
C掃除ロボット(ルンバ・ディスカバリー)
D介護・福祉ロボット
E生活支援ロボット

などがあり、現在@からCの分野には、ロボットベンチャーを含め、様々な企業が参入しています。

ただし、多くの人が求めているロボットは、D、Eに代表される「人に役立つロボット」。

経済産業省の「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」も将来の市場や社会的ニーズを満たす「要素技術の開発」を目的にしており、ロボット技術がロボット以外の製品分野(自動車や情報家電など)にも広く波及することを期待しています。

これは、ロボット開発をロボット単体だけにとどめるのではなく、体力のある企業(自動車、エレクトロニクス産業)を巻き込んで、ロボット技術を既存分野に応用させることで基幹産業の国際競争力を強化すると共に、ロボット市場を早期に立ち上げようとするものです。

今後、車や家を含めあらゆる空間がロボット化することを踏まえれば、ロボット単体の開発にこだわるのではなく、ロボット適応分野の拡大を目指す経済産業省のこのプロジェクトは、正しい方向性だと思います。

ただし、経済産業省は、次のように言うことも忘れていません。

「・・・市場の失敗に対応すべく、国として関与すべきミッション
posted by カーサ at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月21日

チャレンジングなミッション

経済産業省は、ロボット産業を日本の基幹産業のひとつに成長させることを目的に「21世紀ロボットチャレンジプログラム」を2004年からスタートさせています。

@次世代ロボット実用化プロジェクト('04-05 41.3億円)

「愛・地球博」で披露された65種類のプロトタイプロボットと生活及び福祉分野の9種類のロボットの実証試験。

A人間支援型ロボット実用化プロジェクト('05-07 9億円)

福祉・介護ロボットのモデル開発と実証試験。

B次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト('05-07 4億円)

ロボットのパーツの共通基盤化技術の開発。

Cサービスロボット市場創出支援事業('06-07 4.2億円)

ユーザーとメーカーが一体で事業に取り組み、成功事例として実用化を目指すもの。

D戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト('06-10 11億円/初年度)

2025年までのロボットの技術戦略マップに基づく、チャレンジングなミッション。

注目は、やはりDです。

これは、政府の総合科学技術会議が決めた今後5年間に集中投資すべき62のテーマのひとつ「ロボット中核技術」を受けて実施されるもので、
将来の市場ニーズと社会ニーズが高いと考えられる
「製造分野」「サービス分野」「特殊環境下での作業」の3分野に特定した、「ステージゲート制度」を採用。
イノベーションを加速させることを目的にステージを2段階に分け、3年後に1分野1研究に重点的に予算を振り向けるというもの。
アメリカの「グランドチャレンジ」に相当する国家プロジェクトです。

達成すべき技術仕様の落とし込みを明確にしていることやステージゲート制という競争原理を取り入れていることも他のプロジェクトとは異なる点ですが、なによりポイントは、
達成したロボットの要素技術をロボット以外の製品分野(自動車や情報家電など)にも広く波及させようとしていることです。

<つづく>




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2006年03月19日

皆さん方におまかせします

先日の新聞に、政府の総合科学技術会議は、「ガン医療」や「ロボット」など62のテーマについて今後重点的に投資していくことを決定、とする記事が載っていました。

政府の総合科学技術会議というのは、小泉首相を議長とするわが国の科学振興の基本プランを決定する会議。
実際どのようなことが話し合われているかと思い、第52回会議の議事録を読んでみました。

出席した議員や大臣からそれぞれの立場で科学振興に関する発言がなされていますが、ロボットに言及した箇所は松経済産業副大臣の
「世界をリードする新産業の創出のためには、次世代自動車向けの電池、ロボット、がん対策にかかる先進的医療機器・・・」、
のたった1ヶ所だけです。

あとは、会議で配られた8つの参考資料の中の、そのまた9つの資料のうちのひとつ「ものづくり技術分野」の中で2ヶ所、300文字程度で語られているだけ。

科学技術といっても研究分野も対象も幅広いので、小泉首相の発言ではありませんが、

「280の課題を選んだけれども、研究者は皆、自分の研究は全部重要だと思っているから、メリハリをつけるのは大変だと思いますが、そこを戦略的に考えて、重点化、選択と集中、よろしくお願いしたいと思います」

というのも仕方ないかと思いますが、「ロボット技術への強い期待」を匂わせる新聞の見出しとのギャップを感じます。

会議をしめくくる首相の言葉が、ロボットに対する多くの国民の今の気持ちを代弁しているようにも聞こえました。

「私どもは余り専門的な知識はないから、皆さん方にお任せします」
<つづく>

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2006年01月22日

脳マシーンインターフェース

先日、NHKBSで放送された立花隆氏の「サイボーグ革命 ロボットと人間の融合」を見ました。

サイボーグ医療の時代」の総集編的な作りで、筑波大学の山海教授も出演し、ロボットスーツ「HAL」も紹介されていました。

人間の脳とコンピュータを直結して、機械を動かす「脳マシーンインターフェース」。

人間の中に機械とコンピュータが入いることにより、インターネットを介して、遠くの地点のモノを動かしたり、感触をためしたりできるようになるといいます。
人と人との関係=コミュニケーションを根本的に変える革命が起こりつつあるようです。

テクノロジーの中で生きることにより、進化を止めたホモ・サピエンスは、テクノロジーにより拡張していく。

今世紀中に、ヒトとロボットのハイブリッド種「ロボサピエンス」が本当に誕生するかもしれませんね。

アメリカでは、脳神経倫理学「ニューロエシックス」に関する委員会が発足し、人間の脳にどこまで医療技術が介入してよいか、議論が始まったということです。

参考項目 : ロボサピエンス (12/16)
身体のロボット化 (1/5)
posted by カーサ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボティック・ミッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする