2008年02月24日

アメリカ人はそんなときいつも気の利いたことを言う

一瞬で自分の世界に聴衆を引き込む大統領候補者の演説、短い時間の中で感情豊かにスピーチするアカデミー賞授賞者など、アメリカ人の気の効いたコメントにはいつも感心させられます。

時間制約の中で、記憶に残るスピーチをするコツについて、専門家のアドバイスが載っていました。
※(一部略)

1.心の準備をする

言いたいことをあらかじめ3つにまとめておいて、スピーチの瞬間がきたら、即興を交えて話す。
なにを言いたいのか、どんなメッセージを発信したいのか、前もって理解しておく。

2.簡潔にする

これまで世話になったすべての人物の名前を列挙するのは不可能。「これまでの人生で出会ったすべての人に感謝する」がお薦め。

3.ジョークは控える

ただし、自虐的なジョークならOK。
面白くなくても、好印象を与えることができ、自分を下げてみせることで、観客を味方につけることができる。

4.パーソナルにする

受賞スピーチにおいてもっとも大事な要素は、パーソナルで正直な気持ちを述べること
素晴らしいスピーチは、それまで知られていなかった一面を見せることができ、また参集した人々にこの場にいる意味を思い起こさせる。

会社の朝礼で「1分スピーチ」をしなければならないときにも、役立ちそうですね。

※「アカデミー賞授賞式に学ぶ、記憶に残るスピーチをするコツ」(VARIETY 2/20)

参考 :
オシム・コミュニケーション (2006.2.22)
オシム・モチベーション (2006.2.23)
硫黄島の彼方 (2007.1.14)
アカデミー賞を活用したキャンペーン (2007.2.26)
男がギムレットを飲みたいとき (2007.4.5)
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2008年02月11日

物心ランドマーク喪失

ソウルに残る最古の木造建築物で、韓国の国宝第1号に指定されている崇礼門(南大門)が、5時間燃え続けた後、焼失しました。

その燃え方はまるで黒澤明監督の「乱」の天守閣炎上のように激しく、また焼け落ちた姿は「羅生門」のように凄絶です。

火災の原因は放火の可能性が高いようですが、1398年に建てられ、600年以上にわたり韓国国民の誇りだった崇礼門の焼失は、韓国の人々に深い精神的な痛手を与える気がします。

日本でも金閣寺が炎上したことがありましたが、崇礼門が韓国人の日常的なランドマークだったことを考えると、ニューヨークの世界貿易センタービル崩壊と似た喪失感覚ではないかと思います。

長い年月、確固と存在した建物がなくなってしまったことによる計り知れない喪失と後悔。

今回の崇礼門焼失を機に、日本でも国宝やさまざまな建築遺産を守るための一層のハイテク機器の活用 (画像認識やセンサーを用いた不審者監視強化など)が、検討されるかもしれませんね。

※日本の国宝に指定されている建築物は、法隆寺五重塔や清水寺本堂、姫路城や松本城天守など213件(257棟) ウィキペディア参照

参考 : 遺産過多に踊る (2008.1.19)
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2008年01月26日

人知らずしてうらみず

昨年末、高校1年のとき以来久しぶりに「論語」を読みました。

「子の曰く、学びて時に之を習う、亦よろこばしからずや。朋あり、遠方より来る、亦楽しからずや。人知らずしてうらみず、また君子ならずや」
で、はじまる論語には、
「巧言令色。すくなし仁」や、
「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり」
など、人間の本質をついた言葉がたくさん出てきます。

しかし、あらためて読んでみて、しみじみとしてしまったのは孔子の晩年の日々をつづった箇所でした。

孔子は、魯の国政に失望して55歳から69歳まで、弟子と共に諸国を放浪することになるのですが、
「仁」により、国を治めることを説く孔子を、戦国時代に受け容れる国などは無く、陳の国では1週間飲まず食わずの状態が続き、餓死寸前にまで追い詰められます。
やがて、最愛の弟子の顔回が赤貧を貫いて死に、子路も主君を守って惨殺されてしまいます。

志も実力も経験もありながらの14年に渡る放浪生活、60歳過ぎてからの飢餓、そして愛弟子の理不尽な死。
それらの苦しみは、いかばかりのことだったでしょう。

人間としての尊厳や誠実さ、誇りさえ、ずたずたにされたのではないでしょうか。

さすがの孔子も「道、行なわれず、いかだに乗りて海に浮かばん」と
嘆いたりしています。

それだけに「論語」冒頭の「・・・人知らずしてうらみず、また君子ならずや」の言葉の意味は、深く、重い。
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2008年01月19日

遺産過多に踊る

富士通は1959年に製造し、今も自社内で使っている世界最古級のコンピュータを2020年ごろまで使い続ける方針を決めました。
旧型機を使い続けることで若手への技能伝承と、歴史の“生き証人”として外部にも公開していくといいます。

日本には国宝、重要文化財から世界遺産、温泉遺産まで多くの「遺産」があります。
最近では、明治から昭和にかけての産業遺産が「大人の社会科見学」の地として人気を集めています。

日本機械学界は昨年、機械技術面で歴史的意義のあるモノを「機械遺産」として認定しました。

これまで、ただ古く、無用な長物であったモノが、「お墨付き」を得ることで脚光を浴び、再評価され、地域の新たな観光資源として活用されようとしています。

やがて、富士通のコンピュータも「情報処理遺産」として、またASIMOやAIBOも「ロボット遺産」として認定される日もくるでしょう。

文化財や歴史的建造物などを後世にしっかりと継承していくことは、とても大切なことで、特に若いときに本物に出会い、接することの意味は人間形成の面からも大きいと思います。

しかし、なんでもかんでも「遺産化」させる傾向は、カタチを変えた「ハコモノ行政」のようで、「カネ」の臭いも漂います。

「遺産」過多に踊らされぬよう、しっかりとしたいものです。

参考 : 三つ星ロボット (2007.11.20)
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2008年01月03日

中東の王子の夢は迷いのないスコーンと抜けた未来志向

今年の初夢に富士山、鷹、茄子を見られた人がどれほどいたかはわかりませんが、夢は夢でも中東の王子の夢はやはりスケールが違います。

ヨルダンのハッサン王子がEUに提案した太陽光発電施設は、
北アフリカの地中海沿岸の砂漠地帯で発電した電力をEU加盟国に送電し、EUの炭素排出量を大幅に削減すると共に、発電の過程で生成された淡水をアフリカ諸国へ供給するという、一石二鳥を狙った力技です。

しかも、この太陽光発電は、ソーラーパネルを使うのではなく、反射板で集光した太陽熱により海水を加熱し、高温となった温水で発電するというもの。

火力発電の2倍の費用がかかるこの発電施設ですが、原油先物相場が1バレル100ドルを越え、石油価格が1年で4割も高騰する現状では、ハッサン王子の提案も今後現実味を帯びてくるかもしれません。

ドバイの想像を絶する巨大プロジェクトの進展をはじめ、中東の王子の夢はどれも迷いのないスコーンと抜けた未来志向が特徴です。

資源を持つ国と持たらざる国との違いはあるとはいえ、昭和懐古と結果責任に明け暮れる今の日本に、子供のとき夢見た21世紀の未来はなく、今や中東にこそある気さえします。

参考 :
未来は、今 (2006.3.18)
千葉県に住む不思議ないきもの (2007.1.18)
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2007年12月31日

年末聖橋慕情

JR御茶ノ水駅東端、神田川に架かる聖橋(ひじりばし)。

湯島聖堂(孔子廟・昌平板学問所)と東京復活大聖堂教会(ニコライ堂)を結ぶ事から「聖橋」と命名されています。

湯島聖堂の先に東京でもっとも古い神社のひとつ、神田明神があります。

それほど広くない境内には、イルカやタイやトビウオに守られた恵比寿像や架空の人物「銭形平次」の碑、そして獅子山や小唄塚などが、なんの脈絡もなく雑多に配置され、缶入り飲料の自動販売機が他の碑や像より目立つ場所に堂々と置かれていたりします。

また商売繁盛、縁結び、IT情報安全お守りなどが販売されている神札授与所の脇では、電動獅子舞によるおみくじもあり、クレーンゲーム感覚で明日の運勢も占えます。

そんな「なんでもあり」の俗っぽい神田明神ですが、それゆえに大晦日に行われる一年の罪穢れを形代(かたしろ)に託して祓い、新年に向けて無病息災を祈念する「師走大祓」(しわすおおはらへ)は、妙に説得力があるように感じます。

新しい年がロボットに関わる全ての人にとって、良い年となりますように。

参考 : 幸せな年に (2006.12.31)


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2007年11月20日

三つ星ロボット

「ミシュランガイド」東京版が発表されました。

日本人2人を含む5人の覆面調査員(インスペクター)が普通客を装い、都内1500の料理店の調度品、照明、酒類、サービスの質、清潔感などをチェックし、
提供される料理を、「素材の鮮度と品質」「調理技術の高さと味付けの完成度」「オリジナリティー」「コストパフォーマンス」「クオリティーを保つ全体の一貫性」の5つのポイントで評価。

一つ星=そのカテゴリーで特においしい料理、二つ星=遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理、三つ星=そのために旅行する価値がある卓越した料理、として格付けします。

日によって出てくる料理にむらがないかや、調査員による味の好みを避けるため、10回以上通った店もあるといいます。

週6日、400〜450回も高級料理を食べる調査員も大変ですが、それにより東京版では、三つ星8店、二つ星25店、一つ星117店の計150店が星を獲得。
その6割以上を、会席、すし、天ぷらといった日本料理が占め、星の獲得総数191は世界最多だということです。

都内約16万軒の料理店の内、星を獲得したのはわずか150店ですから、大変栄誉なことでしょう。
星が付くか付かないかで、銀行の融資の対応も違ってくるといいます。

世界的な日本食ブームもあり、「ミシュランガイド」で評価された店には美食を求めて世界中からお客がやってくることでしょう。

また世界基準での評価は、美食テレビ番組などあまりにも多くの情報があふれている日本人にとっても、「なにが本物か」を判断する基礎材料にはなると思います。

とはいえ、世界の観光地を訪ね歩き、舌の肥えた日本人にとって、「ミシュランガイド」東京版は、「今さら」という感じもします。

古くは浮世絵や黒澤作品をはじめとする日本映画、最近のマンガやアニメ、そして今回の日本食と、欧米から評価されて、日本人はあらためてそのすばらしさに気づく。
もうそんな恥ずかしいことは止めにしたいものです。

今からでも遅くありません。世界のロボットの評価は日本人が自信を持って、格付けしてやりましょう。

三つ星ロボット=幸せな生活を送るために絶対買う価値のある卓越したロボット。
もちろん、ロボットに星が付く日はまだ先ですが ・・・

参考 : フランス料理が得意なロボット研究者 (2006.9.11)
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2007年10月07日

エンテン・アラビアンナイト

電子マネー「円天」で巨額の資金を集めた「エル・アンド・ジー」。
いかにも胡散臭い話にも係わらず、
今回もまた高齢者や主婦が被害にあっているようです。

9世紀頃、バグダッドで編纂されたとされる「アラビアンナイト」(千夜一夜物語)。

「アラジンと魔法のランプ」や「アリババと40人の盗賊」で有名ですが、改めて全篇を読んでみると、その奇想天外な話に潜む人間のダークサイドの描写に驚きます。

アラビアンナイトは、妻の不貞により「女のいる世の中は、ひとつの悪に過ぎない」と悟った王が、姦通した妃やその相手を殺し、大臣に毎日処女を連れてくるように命じて、一晩楽しんだ後、翌日殺戮します。その行いは3年(1095人)にもおよび、もう連れてくる処女が居なくなった大臣は遂に娘シェヘラザードを差し出します。
そしてシェヘラザードは明日の命をかけて千と一の物語を話しはじめます。

女たらし、姦淫、密通、裏切り、詐欺、謀略、泥棒、いかさま、ペテン、邪悪、狂恋、殺人、情夫、恨み、浮気、策略、悪戯、道化 ・・・

男女のあらゆる「暗部」、心の闇がこれでもかこれでもかと語られます。

ディズニー映画でお馴染みの「シンドバッドの冒険」も、バグダッドで大富豪となり遊楽と放蕩の限りを尽くしていたシンドバッドが、実は金と欲の邪悪な心に突き動かされて7回も危険な航海に出るという話で、航海中も生きのびるためなら平気で人を殺したりしています。

いかさま師があらゆる手を使って善良な人をだまし、悪者が生きのびる邪悪な世界。

「あいつらうめぇことやりやがったな、だまされるほうがバカなんだ」とほくそ笑むアラビアンナイトの世界に、私たちは今生きているのだということを肝に銘じるべきなのでしょう。
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2007年09月17日

松虫寺建立を巡る小さな歴史ロマン

先週は、ロボット関連の行事が続き、心身ともに疲れたので、気分転換を兼ねて佐倉の老舗割烹にうなぎを食べに行きました。

その後、佐倉城址などを散策し、印旛村にある寺に足を伸ばしました。
「松虫寺」という名前にひかれて・・・

千葉ニュータウンの開発の波が間近まで迫る中、昔ながらのこんもりとした森の中に松虫寺はありました。

寺創建にかかわる言い伝えによると、
奈良時代、聖武天皇の第三皇女・松虫姫が重い病気にかかったとき、仏の夢のお告げによってこの地の薬師を訪ね、仏に祈ったところ、病が治った。
大いに喜んだ天皇は、僧の行基に命じて寺を建てさせ、その寺を姫の名をとって松虫寺と名づけた。

という誠由緒正しそうな言い伝えなのですが、実際の松虫寺はよく言えば質素、普段あまり手入れがなされていない印象を受けました。

今でも辺境なこの地に、いくら仏のお告げがあったとはいえ、何故高貴な皇女がやってきたのか。

実在の松虫姫 = 不破内親王の生涯は、有力な皇嗣候補であった塩焼王の妻となったことで、政治的な謀略と、その勝気な性格が災いして、何度も地方に幽閉されるなどの憂き目にあったようです。

なので、不破内親王本人というより不破内親王に仕えた侍女などがなんらかの理由により印旛村に飛ばされ、そのとき受けた手厚いもてなしへの礼として寺を興すことになったのかもしれません。

ロボット研究者の研究費を巡る貪欲な駆け引きや一向にブレークせず元気のないロボットビジネスの話ばかりを見聞きしてきた身には、伝説の松虫寺建立を巡るこの小さな歴史ロマンは、どこかほっとする心持ちがしました。

ちなみに、本尊の七仏薬師瑠璃光如来は国の重要文化財に指定され、秘仏として33年に一度開帳されるそうです。
この33年というところがまたなんとも、いい感じですね。
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2007年08月25日

もうひとつの「チャレンジ」U

英国のロックバンド「クイーン」のギタリスト、ブライアン・メイが、宇宙塵に関する天文学の研究論文を36年ぶりにまとめ、ロンドン大学から博士号を授与されたそうです。

当時、ブライアン・メイは音楽活動のために研究を棚上げ。しかし、長い年月の末、遂に果たせなかった夢を成し遂げました。

夢をあきらめる気持ちになったとき、とても勇気づけられる話ですね。

ロックといえば、トヨタ・ISTのCMにキング・クリムゾンの「EASY MONEY」が流れています。
34年前のフィフスアルバム「太陽と戦慄」から。

思わず、「宮殿」から「スラック」まで一気通巻で聴いてしまいました。

参考 : プログレッシブ・ロボット (06.2.25)
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2007年08月21日

賞賛すべきは賞賛し

二人の整備士の迅速な対応が165人の命を救いました。

中華航空120便の爆発炎上事故は、現在事故原因を調べていますが、国土交通省によると、
国際線41番スポットに待機していた中華航空の整備士が、機体から燃料が垂れているのを見つけ、同社が整備を委託していた日本トランスオーシャン航空(JTA)の補助整備士に連絡。
補助整備士は右翼第2エンジンから煙が出ていることから、インカムマイクを機体に接続して機長に、エンジンの停止と消火装置の作動、緊急脱出を要請。
すぐに4カ所の脱出用シューターが下ろされ、90秒ほどで乗客乗員全員が機外へ脱出。その直後、機体は爆発した。
2人の整備士は、第2エンジンに近づいて消火作業を行い、爆発による爆風で1人が右腕に軽傷を負った。
機長は、乗客らの脱出が終わるまで機内にとどまり、コックピットの窓から機外へ脱出した。

空港の管制官が煙に気づいたのは、整備士の連絡から約2分後。最初の爆発の約1分前でした。管制官の連絡後に避難を始めていたら、爆発前の脱出完了は不可能でした。

まさに間一髪。幸い多くの人命が救われたわけですが、今のところ(21日12時)、この二人の整備士の名前は公表されていません。

本人の希望なのか、会社側の意向なのか、それとも事故調査に関わることからなのか、その理由はわかりませんが、早くその名前を発表し、栄誉を大きく称えるべきでしょう。

本人はプロとして当たり前のことをしただけかもしませんが、賞賛しすぎるということはないので、国は二人を国籍の区別なく表彰すべきでしょう。

参考 : 産経新聞(8月21日)
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2007年08月02日

飲んだら飛ぶな 宇宙禁酒法

映画「ライトスタッフ」で描かれているように、アメリカで宇宙開発が始まった当初、過酷な打ち上げに耐える体力と不測の事態への対処が必要なことから、軍のテストパイロットが宇宙飛行士になることが多かったようです。
そんなテストパイロット出身の宇宙飛行士の間では飲酒飛行が結構行われていたといいます。

最近でもその「伝統」が受け継がれていたことがNASAの外部委員会から発表されました。

飲まずにはいられないほどのストレスがあったのか、単なる大酒飲みだったのか、詳細はわかりませんが、少なくとも2件あったようです。

外部委員会は、「飲んだら飛ばない」という規律を徹底させるため、文書化することを提言しています。

もっとも、宇宙空間で飲む酒はあまり「美味くない」という話を聞いたことがあります。
でも、だからといって積極的に美味しい宇宙酒を研究しているわけでもなく、任務に支障があるからあえて公表しないというところが真実なのかな。

今後、長期に渡る月探査や火星探査が本格化すると、酒を飲んだ人間による不測の事態(ヒューマンエラー)を懸念する当局により、「宇宙禁酒法」が制定されるかもしれません。

でも飲むなと言われれば余計飲みたくなるのが人間の常。
必ず「法」を破る輩が出てきます。

そうなると、酒を飲まずに任務を遂行できるロボットがますます重宝されるかもしれませんね。

参考 :
男と女 U (07.2.11)
宇宙を駆けるパブリシティ (07.4.19)
必要なのは、宇宙日本酒 (07.6.28)

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2007年07月28日

夏祭り バチ当り

夏休みに入り、ふるさとで夏祭りに参加する方も多いことと思います。

浅草神社と同神社奉賛会は、来年5月の三社祭での本社御輿の宮出し、宮入り、各町渡御(とぎょ)の中止を発表しました。

神社側の「ご神体を踏みつけるなどの行為は神様への冒涜」とする再三の注意にも関わらず、今年の三社祭で二十数人が御輿によじ上り、逮捕者まで出たために踏み切りました。

上野に生まれ育った者として、大変残念です。
三社祭は、小野照崎神社の例祭と共に小さい頃から親しんだお祭り。

最近でこそ江戸が再評価され、脚光を浴びるようになりましたが、高度経済成長時代、下町はどこもそうだと思いますが、町の御輿の担ぎ手がいなくなり、お祭りもどこか寂しい感じになっていました。

やがて、担ぎ手不足から刺青をしたコワモテや単に騒ぎたいだけの若者が加わり、地元民からヒンシュクを買うようになりますが、下町ブーム、御輿担ぎブームもあり、三社祭自体が肥大化。
最終日の夜に行われる本社御輿の宮入りなどは警察による大掛かりな規制が敷かれ、華々しくライトアップされる一大イベントになってしまいました。

そして最近は、勇壮なだんじり祭りなどの影響からか、御輿の上に挙がって虚勢を挙げる「バチ当り」な輩が目立ち始め、神社側は「正常な形の祭り」に戻すため、上記の措置を決定しました。

ご神体として一般の人間(漁師と僧侶)を祀っている浅草神社は、確かに「神社の格としては江戸一低い」でしょう。

でも、ヒトとしてやってよいことと、悪いことがあります。
ふるさとの祭りがよそ者に踏みにじられて、よい気持ちがする人はいません。
「バチ当り」を許してはなりません。
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2007年05月14日

ロボティック・プリズンとスーパーAの活用法

山口県美祢(みね)市に、建設と管理運営の一部を民間に委託した国内初の刑務所「美祢社会復帰促進センター」がオープンしました。

この施設ではいろいろ新しい試みがなされるようですが、セコムが実施主体ということもあり、受刑者の上着にICタグを取り付け、受刑者の居場所や移動の軌跡を警備室のモニター画面で監視すると共に、受刑者が居室などに出入りするたびに指静脈画像による本人確認を行うなど、ハイテク警備をウリにしています。

この施設に収容される受刑者は初犯の者に限られ、なおかつ就業経験や出所後の身元引き受け等も問題無い「スーパーA」と言われる人たち。
ロボティック・プリズンとしての実証実験も兼ねているのかもしれません。

世界初という「刑務作業としてのソフトウェア開発」も注目されます。

これまで刑務作業といえば木工や印刷などの単純手作業が中心なため、最近では人件費のより安いアジア諸国に発注されることが多く、刑務所での受注が減ってきており、また受刑者が出所後にその技術を活かせることも少ないという現実があります。
そこで受刑者の中からソフトウェア技術者を養成して、ソフトウェア開発のアウトソーシング業務を実施しようとなったようです。

平成17年の全国の受刑者数は約6万6千人。そして毎年新たに約3万3千人の受刑者が出て、再犯受刑者はその半数を占めます。(※)

再犯防止やソフトウェア労働力確保の観点からも「刑務作業としてのソフトウェア開発」はおもしろい取り組みだとは思いますが、そのアウトソーシング業務を行うプリズニーズという会社の実態がよくわからないので、推移を見守る必要があるでしよう。

※ 平成18年版犯罪白書 資料編
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2007年04月05日

男がギムレットを飲みたいとき

レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」(清水俊二版)は、高校生のときに読んで以来、これまで繰り返し読み続けている小説。
主人公フィリップ・マーロウは大人の男の永遠の理想像でもあります。

「ロング・グッドバイ」のタイトルで村上春樹版が刊行(早川書房)されています。

村上春樹ブランドにひかれて、これまで男の小説(ハードボイルド)だからと読むのを躊躇していた女性たちが手にとるきっかけになればと思います。

「長いお別れ」には、有名なセリフがいくつもありますが、清水版と村上版では微妙にニュアンスが違います。
どちらの訳が好みか、読み比べてみるのもいいでしょう。

清水俊二版 「アルコールは恋愛のようなもんだね」と彼は言った。「最初のキスには魔力がある。二度目はずっとしたくなる。三度目はもう感激がない。それからは女の服を脱がせるだけだ」

村上春樹版 「アルコールは恋に似ている。最初のキスは魔法のようだ。二度目で心を通わせる。そして三度目は決まりどおりになる。あとはただ相手の服を脱がせるだけだ」

清水俊二版 「こんなとき、フランス語にはいい言葉がある。フランス人はどんなことにもうまい言葉を持っていて、その言葉はいつも正しかった。
さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」

村上春樹版 「フランス人はこんな場にふさわしいひとことを持っている。フランス人というのはいかなるときも場にふさわしいひとことを持っており、どれもがうまくつぼにはまる。
さよならをいうのは、少しだけ死ぬことだ」

それにしても、いつの間にかマーロウの年齢を越えてしまった。
ギムレットを飲むのは、早いほうが、いい。
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2007年03月22日

お彼岸に。ある天文学者の別れの言葉

今年1月20日の朝日、毎日、読売新聞の社会面に載り、マスコミも取り上げていたのでご存知の方も多いかと思いますが、昨年12月31日に亡くなった天文学者・磯部e三氏の死亡広告(全文)を、ご紹介します。

「私共の夫であり、父である磯部e三が2006年12月31日に亡くなりましたので、お知らせいたします。本人の遺言状による強い希望で葬式等は執り行わず、本状にて失礼いたします。
磯部良子 琴葉

私は1942年7月16日に大阪で誕生以来60有余年の人生を終えることになりました。その間、各年代毎に多くの方々にご支援いただきありがとうございました。私を支持して下さった方はもちろん、敵対された方々の行動も私の人生を飾り付け変化に富んだ楽しいものとして下さいました。
 
私は元々神の存在を信じておりません。そのような者が死んだ時だけ宗教に色どられた形式的なふるまいをするのは、理にかなっておりません。ひょっとしたら、私が亡くなればこの宇宙全体も無くなるのではと思ったりしています。万一、皆様の存在が残る場合には、有意義な人生をすごされるよう願っております。
私自身の葬式等一切の形式的な事はしないよう、また、遺骨等を残さないように家族の者に遺言してありますので、ご理解下さい。

そのような訳でお香典などは固くお断り申し上げます。もし、私に好意を持っていて下さった方々にお願いできるものでしたら、妻良子、娘琴葉に私との付き合いがどのようであったかなどを書いた手紙を送ってやっていただければ、この上もない幸いです。娘も、父がどのような人間であったか、理解してくれるでしょう。
短くもあり長くもあった私の人生でしたが、ありがとうございました。   磯部e三」

参考 : 朝日新聞 1/20朝刊
参考コラム :
ロボット 愛の死 (06.2.14)
イタコイズ・ヒーリング (06.8.2)
posted by カーサ at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | エトセトラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

男と女 V

<つづき>
イタリア北部のベローナ近郊で、抱き合ったままの姿勢で埋葬された2体の遺骨が発見されました。
共に見つかった矢じりやナイフなどから、5〜6000年前の新石器時代の若い男女と見られています。

なぜ、抱き合ったままで埋葬されたのか。真相は謎ですが、
例えどんなに愛しあっていた男女だとしても、通常、埋葬は別々にされるのでしょうから、2人の間になにか余ほどの理由があったのかもしれません。

この2つの遺体は近い将来、「永遠に愛する男と女」として、多くの観光客を呼び寄せ、きっと日本でも公開されることでしょう。

そして、その「永遠に愛する男と女」を前に、人々は様々な「愛」について想いを巡らすはずです。

「永遠の愛」など、本当にありえるのか。死んでも2人の「愛」は永劫続くのか。
でもやっぱり、「永遠」と「愛」はイコールと、そう思いたいですね。
posted by カーサ at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | エトセトラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月11日

男と女 U

映画監督の溝口健二は大正十四年(1925)、同棲していた女性からカミソリで背中を斬りつけられたことが新聞沙汰になり、撮影中だった作品を降板させられ、しばらく謹慎する羽目になります。
この傷は一生残り、冗談混じりに「君、こんなことで驚いては駄目ですよ、これでなきゃ女は描けませんよ」と語ったといいます。

NASAの女性宇宙飛行士が同僚の宇宙飛行士を巡って殺人未遂容疑で逮捕された事件。

容疑者はスペースシャトルのミッションスペシャリストとして、地球と国際宇宙ステーションをスペースシャトルで往復した経験を持つ、米海軍大佐(テストパイロット)で3児の母。誰もが賞賛するヒロインが犯した事件だけに、それこそ「全米を揺るがす」スキャンダルになっています。

三角関係のもつれから凶行に及んだ犯行自体は容認できませんが、多かれ少なかれ似たような恋愛経験は皆あるわけで、「宇宙飛行士も人間だ」と容疑者への同情の声は挙がっているようです。

時には間違ったこともするというとても人間らしい行為なわけですが、NASAにとってはそこが大問題。
特に今回は、三角関係の当事者の男性も現役宇宙飛行士(スペースシャトルのパイロット)ということもあり、NASAでは今後宇宙飛行士の選別に当たって心理学的な性格診断テストを重視するとの方針を明らかにしました。

長期にわたり宇宙に滞在する宇宙ステーションや惑星間飛行などで、男女の恋愛のもつれから殺傷沙汰が起きるようなことがあったら、大変なことになるでしょう。

今回の事件は、知力・体力とも秀でた宇宙飛行士でさえ、軌道を逸した恋愛に走ることがある、つまり良い意味でも悪い意味でも人間は間違いを犯す生き物だ、ということを改めて印象づけました。

極限の宇宙空間において、感情に左右されることなく、正確に任務をこなすロボットの重要性がより増してくるかもしれません。

それにしても、びっくりするのは容疑者がテキサス州からフロリダ州までの1600kmをノンストップで車を飛ばしたこと。
青森―東京-福岡に相当します。
激情愛ゆえに成せる技ですが、NASAの特製オムツをつけての激走だといいます。

この事件に一番反応したのは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のスピンオフ担当者かもしれませんね。
(つづく)

参考コラム 男と女(2/2)
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2007年02月02日

男と女

柳沢伯夫氏の「女性は産む機械」発言は、本人からすれば悪気があったわけではなかったのかもしれませんが、女性議員から「はずかしい国」発言だと一斉反発され、反省の弁を言えば言うだけ、油を火に注ぐ感じです。

女性への反省の弁でもイタリアの政治家は違います。

『ベルルスコーニ前首相はテレビ番組の後の夕食会に出席したモデルや元ショーガールの議員女性に
「もし私が結婚していなかったら、すぐにでも君と結婚する」「君とならどこへでも行ける」などと言い寄ったことが、夫人の怒りをかい、
「女性としての尊厳を傷つけられた。冗談ではすまされない」と公の人物である夫の新聞での「公の謝罪」を要求。

これには70歳になっても整形による若作りでプレイボーイを装い、政界ではめったに謝罪しない同氏もさすがにまいったようで、夫人あてに
「君は、私たちが初めて会い、恋に落ちた瞬間から寄り添ってくれた。
私は軽率な言葉を吐いている時でも君の尊厳を心から大切にしている。
どうか私を許し、この公の表明を愛の形として受け取ってほしい」との手紙を公表した』。※

同じ頃、チリ人妻アニータ・アルバラードが6年ぶりに来日。
自分のために14億円の公金横領で服役している夫の刑務所を間違えても、反省の弁は一言もなし。

男と女の関係は、やはり難しい。

※一部引用 : 毎日新聞 2/1
posted by カーサ at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | エトセトラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月31日

幸せな年に

大晦日、秋葉原で打ち合わせがあったこともあり、神田明神の師走大祓 (おおはらえ)式に参列しました。

大祓は、日常生活で知らず知らずに犯してしまった罪けがれを人形(ひとがた)に託して身体を清め、新年を迎えるにあたり、心新たに生活を営む精神的な大掃除とも言うべき行事。

雅楽の演奏と共に神職が、社殿前に到着。祭壇に向かって祓詞(はらいことば)を奏上した後、参列者全員で大祓詩(おおはらへのことば)を唱和。その後、身体の左右に切麻(きりぬさ / 小さく刻んだ白い紙切れ)をふりかけた後、境内の茅の輪を3回くぐり、罪けがれをお祓い。それから拝殿内に進み二拝二拍手一拝をして終了しました。
最後にお清めの酒を一口、そして「潔斎の湯」という入浴剤を戴きました。

初めての体験でしたが、なんだかとてもよい気分になりました。

神田明神は、奈良時代に創建され、関ヶ原の戦いで徳川家康が合戦に臨む際、戦勝の祈祷をして見事天下統一を果たしたという縁起の良い神社。現在の地は江戸城の表鬼門守護の場所にあたります。
御祭神は商売繁昌の神・えびす様、縁結びの神・だいこく様、除災厄除の神・まさかど様。

新しい年が、ロボットに携わるすべての人にとって幸せな年でありますように。
posted by カーサ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | エトセトラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする