2011年11月14日

見ている分には面白いからの脱却

先週開催された2011国際ロボット展

開催直前にトヨタの福祉・介護パートナーロボットや本田の新型ASIMOの発表があり、また、原発事故でロボットが取り上げられることが多かったことから、前回よりも来場者が多かったようです。

ロボットは見ている分には、やはり単純に面白いと感じた来場者も大勢いたのではないでしょうか。

会場には、福祉・介護に関わるロボットも多く出展していました。

僕もたずさわった神奈川県主催の福祉・介護に関するセミナーも大変盛況で、介護・福祉分野に参入又は今後参入を考えているメーカーの担当者(製造、医薬、化粧品など)、介護・福祉の施設担当者、自治体の担当者、メディアなど幅広い業種の人たちが参加し、ロボットテクノロジーを介護・福祉の現場でどのように活用し、普及していくためには何が必要なのか、白熱した討論が行われました。

ロボットをどうすれば現場や生活に導入し、普及していくことができるのか。

ロボットが見ている分には面白いから脱却する道筋がほんの少しでも垣間見られたなら、幸いです。


ロボット導入の呼び水となり、さきがけとなるか(20109.16)
神奈川県で、3つ (2011.4.23)
ハードから、ソフトへ(2011.6.8)

ASIMOから10年、未夢からの10年 (2010.10.18)
テクノロジーを用いて大きな問題を解決する (2010.10.15)
ロボットの水平展開 (2010.11.15)
制御ソフトの開発は、複数人で長編の推理小説を書くようなもの(2010.11.19)
ロボットとは、ウォンツを満たす機械システム(2010.11.22)
今年のロボット大賞候補になるより、2013年問題(2011.3.1)
この重大な危機に、ロボットを使わなくて、いつ使うのか。(a>2011.3.16)
ネズミ一匹とならんことを (2011.4.13)
3月11日以前と以後も、ロボット関係者の心のありかたは同じなのか(2011.4.14)


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2010年05月02日

上海万博 失敗を経験したからこそ将来につながる「見本」市

前原国土交通相がアメリカへの新幹線の積極的な売り込みを発表したその日、上海万博がはじまりました。

日本館の展示内容は、TVで見る限り、トヨタのバイオリンロボットにしろ、パナソニックのライフウォールにしろ、最先端の展示という感じはしませんでしたが、それもそのはず、基本コンセプトが「愛・地球博」の理念「自然との共生」の継承とのこと。

日本産業館」も併せ、
市場投入のタイミングを見計らっている製品や、商品化したばかりの新製品をいかに中国市場に売り込み、浸透させていくか、そのショーケースとしての万博という位置づけになっており、今月半ばにNEDO主催で行われる人間支援型ロボットのイベントも同じ趣旨を感じます。

先端技術をわかりやすい展示やショーを通じて紹介しつつ、日本の製品を中国市場に売り込むというソフト戦略は、大阪万博から愛知万博まで、バブル期間を通じて数多くの開催された地方博を通じて養ってきた日本のイベント行政の成果ともいえます。

イベント行政は税金のムダ使いと目の敵にされていますが、巨額の予算をかけて数々の失敗を経験したからこそ将来につながることもある「見本」のような気がします。

「生命体のように呼吸する」環境を前面に押し出した日本館も、紅紫色の蚕をイメージした外観デザインを含め、とても洗練された印象で、これもさまざまな展示イベントを通して経験してきた大きな成果でしょう。

それにしても、発展する中国市場を狙っては、欧米も万博外交などを通じて積極的に攻勢をかけており、19世紀末の列強による武力侵略を少しほうふつさせるものがあります。
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2009年10月24日

テレヤッホー!!!

3Dやバーチャルリアリティなどのデジタルコンテンツの研究成果を展示・体験できる「DIGITAL CONTENT EXPO 2009」。

手作り感覚の学生作品から企業の最先端製品まで、種々雑多な展示品の中で、学生と大学研究室のナイスな作品をいくつか ・・・

テレヤッホーシステム 伝声管山彦通信 (東京大学 廣瀬・谷川研究室)

ランプシェードのような伝声管に大声で呼びかけるとジャングルに繋がっているもうひとつの伝声管が森のやまびこをとらえ、自分の声が返ってくる。
実際、西表島に伝声管を設置し、会場に流れる鳥のさえずりや水のせせらぎは、Live 。
"ヤッホー!!!"という「やまびこ」をただひたすら待つだけというその”ばかばかしさ加減”が、スゴイ。

・「Mommy Tummy」(金沢工大学園 感じるケバブ)
 
胎児に見立てた水袋をお腹に装着することで妊娠を疑似体験できるシステム。
これまでも妊娠体験用ボディスーツを着用して、妊婦の状態を再現するものはあったが、これはエアアクチュエータやセンサー、バイブレータなどで胎児の鼓動や胎児の「蹴り」の感覚まで再現。
妊婦姿の記念写真付き疑似母子手帳も気が利いている。

・「Air Hair」(東京工業大学ロボット技術研究会 ピノール・ド・チャイ)

散髪の感覚をバーチャルリアリティで再現した作品。
マネキンの頭部にハサミを入れると実際に髪を切っているような感触。また、ヘッドホンを装着して、そこから音声と、頭の上部に取り付けられた器具から吹きつけられる「風」で髪が切られる感覚も得られる。

・「花よ、咲け」(岐阜大学 シロ)

仮想環境の枯れ木の画面にめがけて、粒状の玉を投げかけると枯れ木が満開になっていくという単純明快な作品。
画面の両側に取り付けられた2台のカメラにより、左右別々の木に花を咲かせることができる。

・「海へ」 (慶応大学 70cmの鯛)

水の中を歩いているような感覚になるバーチャルリアリティ。
長靴型のデバイスをはいて、RFID付きの川の絵柄を踏むと浅瀬からひざ下まで3段階の川の深さを疑似体験できるようになっている。
これまた単純明快な作品。


埋込み型タイムマシーン (2008.4.06)
バリアフリー、Intimateな技術の活用 (2007.7.27)
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2009年10月10日

台風18号とセカイカメラ

台風18号の影響で交通機関が乱れ、さんざんな目にあった方も多かったと思います。

台風の強風域が予想以上に大きくなり、強風が長く引いたこともありますが、2005年の羽越線事故以降、JR東日本が風に対する社内規定を強化したことが混乱の一番の原因だったようです。

首都圏の通勤状況に関する調査によると、運行状況確認に約半数が「駅のアナウンスや掲示を見」、約3割が「携帯のインターネットで調べ」、約2割が「特になにも調べなかった」とのこと。

同じ頃、開催された「SEATEC JAPAN 2009」。

その中で、「セカイカメラ」が拡張現実感=AR※1の具現化として注目されていましたが、今回の台風18号による混乱時に、セカイカメラ内でどのような情報が飛び交い、それは実際どのくらい「役に立った」のか。

というのも、SEATECで開催されたARに関するシンポジウム※2で、「ARは人々の暮らしにどのように役立つのか」というコーディネーターからの質問に、ARに関係するパネリスト誰もが明確なイメージを持っていなかったからです。

現実空間とインターネットをつなぐ、新しいインタフェースとしてのセカイカメラは、インターネットの初期段階と同様それを使うユーザがどれだけ面白がっていろいろなアイディアや使い方を提案するかで、「実際の暮らしに役立つ」ものになるのかとうか明らかになっていくのでしょう。
非常におもしろい仕掛けだけに今後の成り行きに注目したいと思います。

それと、シンポジウムで紹介されていたARを見事に表現した動画
これは、秀逸です。


※1 仮想現実感(VR = Virtual Reality)が、コンピュータで人工的な環境を作り出し、あたかもそこにいるかのように感じさせることなのに対して、拡張現実感(AR = Augmented Reality)はコンピュータの世界に実空間を重ね合わせる技術のこと。
※2 AR技術が牽引する− コンテンツ技術が示す日本の未来

埋込み型タイムマシーン (2008.4.6)
posted by カーサ at 22:39| Comment(0) | TrackBack(3) | ロボット・エキシビション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月31日

横浜開港祭に出展する注目のロボット関連企業

明日から横浜開港祭がはじまります。
2日間にさまざまなイベントが行われますが、その中の
近未来ブース」のお手伝いをしました。

出展する企業をちょっとご紹介します。

潟Cクシスリサーチ 
小型ヒューマノイド「PINO」や組み立てロボット「KHR」にも深く関わっているロボットベンチャーを代表する企業のひとつ。伝統芸能とロボットの競演などユニークな試みも行っている。

新世代 
任天堂のファミコンやスーパーファミコンなどの開発に携わったスタッフが1995年に設立し、「世の中にない、まったく新しい商品を出す」ことを社是に、身体を使ったインタラクティブな商品はWiiにも影響を与える。

スピーシーズ 
ソニーの「AIBO」に携わり、現在インターネットからコンテンツをダウンロードできるロボット「MI・RAI RT」を展開している。アメリカ市場への進出を検討中。

レゴジャパン 
「レゴ マインドストーム」は、最先端の科学技術を親子で楽しめる素材として、世界でもっとも利用されているロボットの教育教材。

週末は天気も良さそうなので、ぶらりと立ち寄ってみてはいかがでしょう。

posted by カーサ at 10:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボット・エキシビション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月04日

ロボットイベントに想う

生誕100年ということでルキノ・ビスコンティ監督作品がNHKBSで放映されていました。
「ルードヴッヒ」や「ベニスに死す」などワーグナーやマーラーの音楽に負けない「画」の力強さに、あらためてすばらしいなと思いました。

この夏にトヨタオートサロン・アムラックスで行われた「ロボット大博覧会」。
トヨタの最新型のクルマの周辺で、家庭用ロボットが展示されていましたが、否応なしにクルマとの比較になります。
それは悲しい光景でした。
まるで小さなゲージに入れられた珍奇な動物たちのように見えました。

それに比べて、トヨタパートナーロボット(トランペット)や一人乗りのビークル「i-unit」はクルマに負けない存在感があり、ロボットならではと思える魅力を感じさせます。

ロボットのイベントでいつも思うことは、ロボットの動作環境を考慮せずに、単体でポツンと出品するケースが多いということ。
広いイベント会場では、ロボットにさまざまなセンサーがついているとしても、ロボット本来の力が発揮できるとは思えません。
幼い子供を見知らぬ場所に置き去りにしているようで、居たたまれない気持ちになります。

ロボットをイベントに出すのであれば、もっと動作環境に配慮すべきです。
そうでなければ、何度やってもまともな返答や動きができず、まだロボットはこんなものか、と思われるだけ。

多くの人に見せるからにはちゃんとしたものを出す、というトヨタやホンダのロボットイベントへの姿勢を、もっと見習うべきでしょう。
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2006年10月12日

オープン44マンス

名古屋にロボットミュージアムがオープンします。

この3ヶ月ほど展示の一部に関わってきました。
「一部」というのは、主催者から協力依頼があったときにはすでに展示コンセプトやゾーン展開など大方決まっていたからです。

展示内容についてはいろいろな意見も出ることでしょう。

でも主催者は、国や公的機関から「補助金」を受けることもなく、様々なリスクを背負ってこのロボットミュージアムを運営します。

44ヶ月のオープン期間を通して、お客さんの声をしっかり受け止め、よりよい展示内容になっていけばと思います。

最後に、ご協力いただいた企業、大学、研究機関のご担当の皆様にあらためて御礼を申し上げます。
posted by カーサ at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ロボット・エキシビション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする