(つづき)
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故におけるロボットの活用について、その活動報告会と公開シンポジウムが行われました。
その中であきらかになったこと。
(4)日本の災害対策ロボットの課題と中長期的に果たす役割
・災害対策技術を開発し、それを国家規模で運用するためには消防や自衛隊との連携が必要である。
・ロボットの評価基準ができれば自治体への導入も進むのではないか。
・フランスでは事故が起こった場合に備え、法律に基づいてロボットの開発、操縦者の養成・育成、事故訓練などをする組織(Group Intra※)がある。日本にも同様の組織を作る必要がある。
・災害対策ロボットを国家規模で運用する組織を作るならば、防衛と災害対策を自衛隊の任務と位置づけ、その上で災害分野に限った部門と大学等の研究機関の連携を築くように検討がなされるべきである。
・長期的な震災の復興にむけてロボット技術だけでなく関連する技術について広く知恵を集め、そこから適時に、適した技術、適した運用を提案してゆくシステムの枠組みを作る必要がある。
ロボット研究者は自らよく動き、本当によくやっていると思います。
しかし、災害対策ロボットは「即、役立つこと」が必須に求められる分野。
個々人で動くことの限界もあきらかになっており、東京大学の中村氏が指摘されているように、
「ロボット技術に限らず科学技術の突破力を引き出すことのできる社会のシステムを作る」必要性を感じます。
※Group Intra
フランスの電力庁、原子力庁、核燃料公社の共同出資で1988年に設立。
事故が起こった場合、24時間以内に専門職員と設備を派遣、輸送。施設専属のロボットオペレーターが想定される事故に対処できるよう訓練を積んでいる。遠隔操作ロボットは発電施設の運転室内操作盤の操作や配管の脱着などの工事作業、屋外の土木工事対応など、想定される緊急事態に備えている。
能登半島地震と、遠い夜明け (2007.3.26)
救助用ロボット (2007.6.18)
レスキューロボット実戦配備 中期5ヶ年計画 (2007.8.6)
アーバンとガンダムに見る両用技術戦略の大きすぎる溝 (2007.11.9)
前へ、ロボット (2007.11.18)
ロボットの3Dとアンダーウォーター (2008.10.14)
地震・雷・ロボット・システム (2009.8.12)
原子力発電所オールインワンパッケージ (2010.1.24)
テクノロジーを用いて大きな問題を解決する (2010.10.15)
この重大な危機に、ロボットを使わなくて、いつ使うのか。 (2011.3.16)
ネズミ一匹とならんことを (2011.4.13)
3月11日以前と以後も、ロボット関係者の心のありかたは同じなのか (2011.4.14)
震災・原発事故におけるロボット活用について、あきらかになったこと(1) (2011.5.2)
震災・原発事故におけるロボット活用について、あきらかになったこと(2) (2011.5.4)
震災・原発事故におけるロボット活用について、あきらかになったこと(3) (2011.5.6)
2011年05月08日
2011年05月06日
震災・原発事故におけるロボット活用について、あきらかになったこと(3)
(つづき)
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故におけるロボットの活用について、その活動報告会と公開シンポジウムが行われました。
その中であきらかになったこと。
(3)原発事故で導入する日本のロボットの動向
A.どんなロボットが検討されているのか
・レスキューロボット「Quince」、「T-53援竜」から、メンタルコミットメントロボット「パロ」まで、様々なロボットが候補に挙がっている。
B.いつ頃投入される見込みか
・現場の状況がどんどん変わっており、優先順位がどうなっていくかわからないため、どのロボットがいつ投入されるのか、わからない。
・候補に挙がっている中ではQuinceが最右翼だと思うが、その投入予定はわからない。
・投入された場合は、本格的な操作訓練に3日、その他ミッションに合わせた訓練が数日必要になる。
C.Quinceの優れたところはどこか、また使用用途はなにか
・高い運動性能。階段を登る事が出来、特に瓦礫走破が巧み。
・情報収集がメイン。屋外の線量率測定、原子炉建屋内の状況調査と軽作業。
・電波の関係もあり、2台1組での投入が検討されている。既に福島第一原発と構造の同じ浜岡原発でシミュレーションを行っている。
D.投入後、Quinceは繰り返し使用できるのか
・除染して繰り返し使いたいと考えているが、線量が強い場合は使い切って捨てることになる。
(つづく)
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故におけるロボットの活用について、その活動報告会と公開シンポジウムが行われました。
その中であきらかになったこと。
(3)原発事故で導入する日本のロボットの動向
A.どんなロボットが検討されているのか
・レスキューロボット「Quince」、「T-53援竜」から、メンタルコミットメントロボット「パロ」まで、様々なロボットが候補に挙がっている。
B.いつ頃投入される見込みか
・現場の状況がどんどん変わっており、優先順位がどうなっていくかわからないため、どのロボットがいつ投入されるのか、わからない。
・候補に挙がっている中ではQuinceが最右翼だと思うが、その投入予定はわからない。
・投入された場合は、本格的な操作訓練に3日、その他ミッションに合わせた訓練が数日必要になる。
C.Quinceの優れたところはどこか、また使用用途はなにか
・高い運動性能。階段を登る事が出来、特に瓦礫走破が巧み。
・情報収集がメイン。屋外の線量率測定、原子炉建屋内の状況調査と軽作業。
・電波の関係もあり、2台1組での投入が検討されている。既に福島第一原発と構造の同じ浜岡原発でシミュレーションを行っている。
D.投入後、Quinceは繰り返し使用できるのか
・除染して繰り返し使いたいと考えているが、線量が強い場合は使い切って捨てることになる。
(つづく)
2011年05月04日
震災・原発事故におけるロボット活用について、あきらかになったこと(2)
(つづき)
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故におけるロボットの活用について、その活動報告会と公開シンポジウムが行われました。
その中であきらかになったこと。
(2)原発事故での活動
これまでに投入されたロボット(無人機)
4月6日
無人化施工機械 バックホウ、クローラダンプなど4台(総数17台)
大成建設、鹿島建設、清水建設JV
4月10日
小型無人ヘリコプター 1台
T-Hawk (米ハニーウェル社)
4月17日、18日
モニタリングロボット 2台
Packbot (米アイロボット社)
追記:4月26日、5月3日にも投入
A.何故もっと早くロボットを投入出来なかったのか
・安易に導入し、放射線でロボットが故障すれば、その後の作業の妨げとなり、全体の作業が遅れる。
・瓦礫が散乱している。
・無線電波が届かない。放射線が外気に出ないよう、建物内が入りくんだ作りになっている。
・ロボットを操作するための訓練が必要。
B.何故アメリカのロボット(Packbot)が最初に使われたのか
・行うミッションでどれが一番最適なロボットか検討した結果、米軍に3000台が配備され、実績のあるPackbotが選ばれた。また、オバマ大統領の強い意向も反映されたのではないか。
C.何故過去の原子力ロボット関連プロジェクトで開発したロボットを使わないのか
・点検・メンテナンスロボットとして開発された専用機であり、災害対策などさまざまな状況に対応できる汎用的機能は持っていない。
・当時は実用機としてのニーズがなかったため、要素技術として開発。プラントが故障しなければ、ロボットは必要ない。
・維持、運用するプロジェクトまで進まなかった(費用がでなかった)。
(つづく)
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故におけるロボットの活用について、その活動報告会と公開シンポジウムが行われました。
その中であきらかになったこと。
(2)原発事故での活動
これまでに投入されたロボット(無人機)
4月6日
無人化施工機械 バックホウ、クローラダンプなど4台(総数17台)
大成建設、鹿島建設、清水建設JV
4月10日
小型無人ヘリコプター 1台
T-Hawk (米ハニーウェル社)
4月17日、18日
モニタリングロボット 2台
Packbot (米アイロボット社)
追記:4月26日、5月3日にも投入
A.何故もっと早くロボットを投入出来なかったのか
・安易に導入し、放射線でロボットが故障すれば、その後の作業の妨げとなり、全体の作業が遅れる。
・瓦礫が散乱している。
・無線電波が届かない。放射線が外気に出ないよう、建物内が入りくんだ作りになっている。
・ロボットを操作するための訓練が必要。
B.何故アメリカのロボット(Packbot)が最初に使われたのか
・行うミッションでどれが一番最適なロボットか検討した結果、米軍に3000台が配備され、実績のあるPackbotが選ばれた。また、オバマ大統領の強い意向も反映されたのではないか。
C.何故過去の原子力ロボット関連プロジェクトで開発したロボットを使わないのか
・点検・メンテナンスロボットとして開発された専用機であり、災害対策などさまざまな状況に対応できる汎用的機能は持っていない。
・当時は実用機としてのニーズがなかったため、要素技術として開発。プラントが故障しなければ、ロボットは必要ない。
・維持、運用するプロジェクトまで進まなかった(費用がでなかった)。
(つづく)
2011年05月02日
震災・原発事故におけるロボット活用について、あきらかになったこと(1)
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故におけるロボットの活用について、その活動報告会と公開シンポジウムが行われました。
その中であきらかになったこと。
(1)震災での活動
国際レスキューシステム研究機構(IRS)のロボット研究者たちの対応と行動は、素早かった。
震災当日(3月11日)、アメリカのCRASAR( Center of Robot-Assisted Search and Rescue災害対応訓練所)でレスキューロボット「Quince」の実証試験を行っていた田所会長は、震災の報を聞くと直ちにCRASARに出動を要請。
翌12日には、テキサスA&M大学のRobin Murphy(ロビン・マーフィー)教授(9.11などの災害現場にロボットを出動させた実績あり)に支援の意向を知らせた。
日本に急ぎ戻り、13日に仙台市消防局に「能動スコープカメラ」の適用を申し込み、14日には東北経済産業局、宮城県、仙台市に適用可能なロボットのリストを配布。「Quince」をスタンバイした。
15日から19日にかけては久慈市や八戸港、鹿島コンビナートなどでニーズ調査も実施している。
しかし、自治体から倒壊家屋への支援要請は、なかった。
その理由として、
・阪神淡路大震災と違い、建物崩壊で亡くなった人が少なかった。
・津波で取り残された人を助け出すことが優先された。
・津波による被害は大規模かつ広範囲で自治体もどこから探していいのかわからない状況だった。役場にも電話が通じず、ほとんどの人が被災者となり、対応できる職員も居なかった。
・被災現場へのアクセスが格段に悪かった、など。
その後、港の復旧にニーズがあることがわかり、4月19日から23日にかけて沿岸部の海中の遺体を捜索する水中ロボットによる調査を実施した。
これは、自治体(宮城県三陸町の町長と岩手県災害対策本部)からの要請で行う初めてのケースとなった。
(つづく)
その中であきらかになったこと。
(1)震災での活動
国際レスキューシステム研究機構(IRS)のロボット研究者たちの対応と行動は、素早かった。
震災当日(3月11日)、アメリカのCRASAR( Center of Robot-Assisted Search and Rescue災害対応訓練所)でレスキューロボット「Quince」の実証試験を行っていた田所会長は、震災の報を聞くと直ちにCRASARに出動を要請。
翌12日には、テキサスA&M大学のRobin Murphy(ロビン・マーフィー)教授(9.11などの災害現場にロボットを出動させた実績あり)に支援の意向を知らせた。
日本に急ぎ戻り、13日に仙台市消防局に「能動スコープカメラ」の適用を申し込み、14日には東北経済産業局、宮城県、仙台市に適用可能なロボットのリストを配布。「Quince」をスタンバイした。
15日から19日にかけては久慈市や八戸港、鹿島コンビナートなどでニーズ調査も実施している。
しかし、自治体から倒壊家屋への支援要請は、なかった。
その理由として、
・阪神淡路大震災と違い、建物崩壊で亡くなった人が少なかった。
・津波で取り残された人を助け出すことが優先された。
・津波による被害は大規模かつ広範囲で自治体もどこから探していいのかわからない状況だった。役場にも電話が通じず、ほとんどの人が被災者となり、対応できる職員も居なかった。
・被災現場へのアクセスが格段に悪かった、など。
その後、港の復旧にニーズがあることがわかり、4月19日から23日にかけて沿岸部の海中の遺体を捜索する水中ロボットによる調査を実施した。
これは、自治体(宮城県三陸町の町長と岩手県災害対策本部)からの要請で行う初めてのケースとなった。
(つづく)
2011年04月29日
ロボティック・ライフスタイル・ニュースクリップ 2011.4
2011年4月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カー>
・次世代テレマティクスの戦略的提携を発表 (トヨタ自動車、マイクロソフト)
<ロボティック システム>
・関東ロボットセンタを開設 (安川電機)
イベントレポート
「震災・原発でのロボット活動報告会」
ロボティック・ライフスタイル・ニュースクリップ 2011.3 (2011.4.2)
<ロボティック・カー>
・次世代テレマティクスの戦略的提携を発表 (トヨタ自動車、マイクロソフト)
<ロボティック システム>
・関東ロボットセンタを開設 (安川電機)
イベントレポート
「震災・原発でのロボット活動報告会」
ロボティック・ライフスタイル・ニュースクリップ 2011.3 (2011.4.2)
2011年04月23日
神奈川県で、3つ
(3/1からのつづき)
昨年度、僕も関わった神奈川県のロボット事業について。
ひとつは、
「介護・医療分野ロボット普及推進事業」。
これはHAL、パロ、眠りSCANなど4機種を県内の7施設に無料で貸与し、使ってもらい、その評価を行う「介護ロボット試験導入」と、
県内830余りの介護保険3施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホームなど)へのアンケートと訪問ヒヤリングによる「介護施設からのニーズ調査」などからなり、ロボットを普及推進するための課題と今後取り組むべき方向性を明らかにしようとしたもの。
ロボット導入・利用について、施設側のニーズと具体的な意見をここまで明らかにした報告書は、これまで初めてだろう。
もうひとつは、
「ロボット等新製品開拓事業」。
こちらは、国の雇用対策基金制度を活用して、3つのロボット等の開発を行ったもの。
高所作業用延伸アーム、上半身マネキンロボット、子供の成長記録(ライフログ)を自動記録する姿見などが開発された。
3月下旬にこれらの開発成果報告が予定されていたが、地震の影響で中止となり、4月25日のセミナーで一部展示される。
それと、やはり地震のため中止になってしまった、
「移動ロボットによる実証実験」(川崎地下街「アゼリア」)
これはイベント広場内に小型の模擬店舗と通路をつくり、その中で、ロボットによる誘導案内やゲーム形式のデモンストレーションを実施しようとしたもの。
使用するロボットは、NEDOの「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」で開発された「全方向移動自律搬送ロボット」(MKR-003)。
こちらのほうは、今年度あらためて実施する方向で検討中。
ロボット導入の呼び水となり、さきがけとなるか (2010.916)
今年のロボット大賞候補になるより、2013年問題 (2011.3.1)
昨年度、僕も関わった神奈川県のロボット事業について。
ひとつは、
「介護・医療分野ロボット普及推進事業」。
これはHAL、パロ、眠りSCANなど4機種を県内の7施設に無料で貸与し、使ってもらい、その評価を行う「介護ロボット試験導入」と、
県内830余りの介護保険3施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホームなど)へのアンケートと訪問ヒヤリングによる「介護施設からのニーズ調査」などからなり、ロボットを普及推進するための課題と今後取り組むべき方向性を明らかにしようとしたもの。
ロボット導入・利用について、施設側のニーズと具体的な意見をここまで明らかにした報告書は、これまで初めてだろう。
もうひとつは、
「ロボット等新製品開拓事業」。
こちらは、国の雇用対策基金制度を活用して、3つのロボット等の開発を行ったもの。
高所作業用延伸アーム、上半身マネキンロボット、子供の成長記録(ライフログ)を自動記録する姿見などが開発された。
3月下旬にこれらの開発成果報告が予定されていたが、地震の影響で中止となり、4月25日のセミナーで一部展示される。
それと、やはり地震のため中止になってしまった、
「移動ロボットによる実証実験」(川崎地下街「アゼリア」)
これはイベント広場内に小型の模擬店舗と通路をつくり、その中で、ロボットによる誘導案内やゲーム形式のデモンストレーションを実施しようとしたもの。
使用するロボットは、NEDOの「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」で開発された「全方向移動自律搬送ロボット」(MKR-003)。
こちらのほうは、今年度あらためて実施する方向で検討中。
ロボット導入の呼び水となり、さきがけとなるか (2010.916)
今年のロボット大賞候補になるより、2013年問題 (2011.3.1)
2011年04月14日
3月11日以前と以後も、ロボット関係者の心のありかたは同じなのか
これだけ大きな出来事(大震災・原発事故)が起こると、誰もが自分で出来ることがあれば何かしたい、困っている人があれば手を差し伸べたいと思い、多くの方が積極的に行動を起こしています。
そんな中、山田洋次監督が新作映画『東京家族』の製作を延期し、2012年春の東京を舞台にした物語に脚本を見直すことが発表されました。
延期した理由について監督は、
「一年以上の歳月をかけて入念に準備を整え、間近なクランクインを控えてスタッフやキャストの気力が充実しきっていた時、3月11日の大災害が発生しました。
このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか。いや、もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか
僕は何日も悩み、会社ともくり返し相談した結果、それこそ苦渋の選択をしました。
撮影を中断して今年の終わりまでにこの国の様子を見よう、その時点で脚本を全面的に見直した上で戦後最大の災害を経た東京、つまり2012年の春の東京を舞台にした物語をこそ描くべきだ」と。
山田監督は1970年に長崎県の小さな島から北海道の開拓村まで旅する一家の姿を見つめた映画『家族』の中で、日本万国博覧会開催中の大阪や公害に悩む東京など、高度経済成長期の変わりゆく「今」の日本を描きました。
その山田監督が「3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか」「撮影を中断して今年の終わりまでにこの国の様子を見よう」と決断したのにはとても共感しますし、監督が2012年春の東京をどのように描くか今から期待したいと思いました。
同じ日、
日本学術会議の東日本大震災対策委員会は、福島第一原子力発電所の事故対策にロボット技術を活用すべき、との提言(※)を公表しました。
現場各所の放射線量監視、画像撮影、試料採取、また、廃炉作業の一部完全自動化、新規ロボットや新運用システムの開発、自動移動ロボットによる連続巡回モニタリングと自立作業ロボットによる除染作業の一部完全自動化、そして災害対策支援ロボットを維持・保守・改良し運用訓練を行う恒常的な組織・システムの構築 などなど。
まったくタイムリー、ではあります。
原発廃炉までには少なくとも10年、汚染除去後の更地まで30〜100年もかかるといわれている福島第一原発の事故処理。
提言通りにいけば、ロボット関係者は数十年、食いっぱくれがない、ウマすぎる商売になるわけです。
しかし、この危急時にこれまで開発してきた日本のロボットは全く役に立ちませんでした。
多額のプロジェクト予算で開発だけを繰り返し、「絵」になることでマスコミ受けだけは良く、本気で普及・運用を怠ってきたツケがあからさまになっていながら、その反省も、総括もなく、混乱に乗じて、カネずるを引っ張りこもうという魂胆が見え隠れしていると感じます。
3月11日以前と以後も、ロボット関係者の心のありかたは同じなのか
(※)
提言
補足説明
ネズミ一匹とならんことを (2011.4.13)
そんな中、山田洋次監督が新作映画『東京家族』の製作を延期し、2012年春の東京を舞台にした物語に脚本を見直すことが発表されました。
延期した理由について監督は、
「一年以上の歳月をかけて入念に準備を整え、間近なクランクインを控えてスタッフやキャストの気力が充実しきっていた時、3月11日の大災害が発生しました。
このままそ知らぬ顔で既に完成している脚本に従って撮影していいのだろうか。いや、もしかして3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか
僕は何日も悩み、会社ともくり返し相談した結果、それこそ苦渋の選択をしました。
撮影を中断して今年の終わりまでにこの国の様子を見よう、その時点で脚本を全面的に見直した上で戦後最大の災害を経た東京、つまり2012年の春の東京を舞台にした物語をこそ描くべきだ」と。
山田監督は1970年に長崎県の小さな島から北海道の開拓村まで旅する一家の姿を見つめた映画『家族』の中で、日本万国博覧会開催中の大阪や公害に悩む東京など、高度経済成長期の変わりゆく「今」の日本を描きました。
その山田監督が「3月11日以前と以後の東京の、あるいは日本の人々の心のありかたは違ってしまうのではないか」「撮影を中断して今年の終わりまでにこの国の様子を見よう」と決断したのにはとても共感しますし、監督が2012年春の東京をどのように描くか今から期待したいと思いました。
同じ日、
日本学術会議の東日本大震災対策委員会は、福島第一原子力発電所の事故対策にロボット技術を活用すべき、との提言(※)を公表しました。
現場各所の放射線量監視、画像撮影、試料採取、また、廃炉作業の一部完全自動化、新規ロボットや新運用システムの開発、自動移動ロボットによる連続巡回モニタリングと自立作業ロボットによる除染作業の一部完全自動化、そして災害対策支援ロボットを維持・保守・改良し運用訓練を行う恒常的な組織・システムの構築 などなど。
まったくタイムリー、ではあります。
原発廃炉までには少なくとも10年、汚染除去後の更地まで30〜100年もかかるといわれている福島第一原発の事故処理。
提言通りにいけば、ロボット関係者は数十年、食いっぱくれがない、ウマすぎる商売になるわけです。
しかし、この危急時にこれまで開発してきた日本のロボットは全く役に立ちませんでした。
多額のプロジェクト予算で開発だけを繰り返し、「絵」になることでマスコミ受けだけは良く、本気で普及・運用を怠ってきたツケがあからさまになっていながら、その反省も、総括もなく、混乱に乗じて、カネずるを引っ張りこもうという魂胆が見え隠れしていると感じます。
3月11日以前と以後も、ロボット関係者の心のありかたは同じなのか
(※)
提言
補足説明
ネズミ一匹とならんことを (2011.4.13)
2011年04月13日
ネズミ一匹とならんことを
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、連日、国内外のロボット(無人化技術含む)を現場に導入しよう(導入した)というニュースが流れています。
●導入している(導入した)と報道されているロボット
・RQ-16A Tホーク(米・ハネウェル社) 軍事用無人ヘリコプター
・RQ-4グローバルホーク(米・ノースロップ・グラマン社) 軍事用無人偵察機
・無人飛行機(エア・フォート・サービスが運用)
・無人油圧ショベル(建設無人化施工協会) 無線による遠隔操作システム
●検討中又は検討されたと報道されているロボット
・タイロン(米・キネティック社) 爆発物処理ロボット
・パックポッド、ウォーリアー (米・アイロボット社) 爆発物処理/運搬ロボット
・遠隔操作ロボット(独) 原子炉の修復や汚染物質除去
・遠隔操作ロボット(仏・アルバ社) 原子炉の修復や汚染物質除去
・防災モニタリングロボット(原子力安全技術センター) 放射線モニタリングなど
・クインス、ケナフなど(国際レスキューシステム研究機構) レスキューロボット
・能動スコープカメラ(国際レスキューシステム研究機構) レスキューロボット
・アンカーダイバー3号機 AK-3(東京工業大学)水中探査ロボット
無人化システムの活用を検討する「リモートコントロールプロジェクトチーム」も発足し、現場に投入可能なロボットや無人化システムを精査して、東京電力との調整が始められており、
また、災害対策に寄与するロボット技術を発信する「対災害ロボティクス・タスクフォース」(日本ロボット学会、日本機械学会、計測自動制御学会)も動き出しています。
この重大な危機に多くのロボットが現場に導入され、国民の期待に応える結果(効果)を出すことで、ロボットが信頼を得、これを機に今後様々なロボットの導入、普及に弾みがつくなら、こんなにうれしいことはありません。
震災と原発事故を目の当たりにして、ロボット関係者もなんとか現場の役に立ちたい、あるいはここで名をあげておきたいと熱を帯びている状況かと思いますが、使う側からすれば、信頼できないものに命(責任・評判含む)を預けるわけにはいかないので、大山鳴動して鼠一匹、
その結果として、研究のための開発、メシの種だけの開発にまた多額の税金が使われることになりはしまいか、科学技術という甘い汁に群がる文化を身にまとった黒い輩がまた一層増えやしないか、心配でもあります。
この重大な危機に、ロボットを使わなくて、いつ使うのか。 (2011.3.16)
ロボット文化人 (2006.4.10)
●導入している(導入した)と報道されているロボット
・RQ-16A Tホーク(米・ハネウェル社) 軍事用無人ヘリコプター
・RQ-4グローバルホーク(米・ノースロップ・グラマン社) 軍事用無人偵察機
・無人飛行機(エア・フォート・サービスが運用)
・無人油圧ショベル(建設無人化施工協会) 無線による遠隔操作システム
●検討中又は検討されたと報道されているロボット
・タイロン(米・キネティック社) 爆発物処理ロボット
・パックポッド、ウォーリアー (米・アイロボット社) 爆発物処理/運搬ロボット
・遠隔操作ロボット(独) 原子炉の修復や汚染物質除去
・遠隔操作ロボット(仏・アルバ社) 原子炉の修復や汚染物質除去
・防災モニタリングロボット(原子力安全技術センター) 放射線モニタリングなど
・クインス、ケナフなど(国際レスキューシステム研究機構) レスキューロボット
・能動スコープカメラ(国際レスキューシステム研究機構) レスキューロボット
・アンカーダイバー3号機 AK-3(東京工業大学)水中探査ロボット
無人化システムの活用を検討する「リモートコントロールプロジェクトチーム」も発足し、現場に投入可能なロボットや無人化システムを精査して、東京電力との調整が始められており、
また、災害対策に寄与するロボット技術を発信する「対災害ロボティクス・タスクフォース」(日本ロボット学会、日本機械学会、計測自動制御学会)も動き出しています。
この重大な危機に多くのロボットが現場に導入され、国民の期待に応える結果(効果)を出すことで、ロボットが信頼を得、これを機に今後様々なロボットの導入、普及に弾みがつくなら、こんなにうれしいことはありません。
震災と原発事故を目の当たりにして、ロボット関係者もなんとか現場の役に立ちたい、あるいはここで名をあげておきたいと熱を帯びている状況かと思いますが、使う側からすれば、信頼できないものに命(責任・評判含む)を預けるわけにはいかないので、大山鳴動して鼠一匹、
その結果として、研究のための開発、メシの種だけの開発にまた多額の税金が使われることになりはしまいか、科学技術という甘い汁に群がる文化を身にまとった黒い輩がまた一層増えやしないか、心配でもあります。
この重大な危機に、ロボットを使わなくて、いつ使うのか。 (2011.3.16)
ロボット文化人 (2006.4.10)
2011年04月06日
はっきり言って、東京電力の電気は使いたくないし、電気代も払いたくない。
福島第一原発事故による放射能拡散、高濃度汚染水流出、計画停電、火力発電所再稼働 ・・・
はっきり言って、自宅では、
東京電力の電気は使いたくないし、電気代も払いたくない。
原発からではなく、再生可能エネルギー(太陽光、風力発電など)による電気を使いたい。
原発や火力発電所がなければ国内の全電力量を賄えないというなら、電力消費の3割を占める家庭用電力だけでも、再生可能エネルギーによる電気が使える電力会社を選択できるようにしてほしい。
政府内には東京電力の発電と送電の分離案もでているようなので、今回の原発事故を機にグリーンエネルギーやスマートグリッドの推進、電気自動車の普及などを視野に入れた電力事業の大改革が進むこととはおもいますが、
まず私たちにできること、それは、
統一地方選挙で再生可能エネルギーを推進する議員を増やすこと。
グリーンピース・ジャパンの2つのキャンペーンは参考になります。
・枝野さん、安全な電気がほしいです
・でんきをえらぶ 選挙でえらぶ
はっきり言って、自宅では、
東京電力の電気は使いたくないし、電気代も払いたくない。
原発からではなく、再生可能エネルギー(太陽光、風力発電など)による電気を使いたい。
原発や火力発電所がなければ国内の全電力量を賄えないというなら、電力消費の3割を占める家庭用電力だけでも、再生可能エネルギーによる電気が使える電力会社を選択できるようにしてほしい。
政府内には東京電力の発電と送電の分離案もでているようなので、今回の原発事故を機にグリーンエネルギーやスマートグリッドの推進、電気自動車の普及などを視野に入れた電力事業の大改革が進むこととはおもいますが、
まず私たちにできること、それは、
統一地方選挙で再生可能エネルギーを推進する議員を増やすこと。
グリーンピース・ジャパンの2つのキャンペーンは参考になります。
・枝野さん、安全な電気がほしいです
・でんきをえらぶ 選挙でえらぶ
2011年04月02日
ロボティック・ライフスタイル・ニュースクリップ 2011.3
2011年3月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カー>
・オーナー向け情報サービス「インターナビ・リンク」の提供を開始 (ホンダ)
・ITS技術を活用した被災地での通行実績情報を作成 (ITS Japan)
<ロボティック システム>
・テニスなどライン判定の英ホークアイを買収 (ソニー)
・指紋・顔認証技術を応用した個々の果物を写真で識別できる技術を開発 (NEC)
ロボティック・ライフスタイル・ニュースクリップ 2011.2 (2011.3.4)
<ロボティック・カー>
・オーナー向け情報サービス「インターナビ・リンク」の提供を開始 (ホンダ)
・ITS技術を活用した被災地での通行実績情報を作成 (ITS Japan)
<ロボティック システム>
・テニスなどライン判定の英ホークアイを買収 (ソニー)
・指紋・顔認証技術を応用した個々の果物を写真で識別できる技術を開発 (NEC)
ロボティック・ライフスタイル・ニュースクリップ 2011.2 (2011.3.4)



